キジマ タカユキが手がけた、坂本龍一愛用の私的なワークキャップが一般販売!

  • 写真・文:石川博也

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キジマ タカユキのデザイナー、木島隆幸さん

坂本龍一さんが愛用していたオーダーメイドの私的なワークキャップが、3月28日(木)から「WORK CAP for Ryuichi Sakamoto」として一般にも限定販売される。手掛けたのはキジマ タカユキのデザイナー、木島隆幸さん。

坂本さんの雰囲気に合うように細部まで徹底的にこだわり抜かれたこの特別なワークキャップは、どのような経緯で制作に至ったのか? どこがどう特別なのか? 木島さんに話を聞いた。

「きっかけは2019年のある夏の日。坂本さんの事務所の方から弊社に電話がかかってきたことでした。電話に出たうちのスタッフから、坂本龍一さんが帽子をオーダーしたいとおっしゃっていると聞いて飛び上がりました。その瞬間は、あの坂本さんが! と驚き、歓喜や興奮、緊張などさまざまな感情が入り乱れましたね」そう当時の様子を回顧する木島さん。

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ワークキャップには超強撚糸を使ったハリ感のある綿100%のキャンバス素材が使われている。

依頼を受けた理由についてはこう推測する。

「坂本さんが普段被られている帽子に関して、絶対にうちの帽子だなと確信したのは、今から10年以上前です。東日本大震災後に坂本さんが環境保護の活動に力を入れられてデモなどに参加される様子がメディアに映し出された時ですね。夏場にうちのブランドの代表的なペーパークロスのグレーのハットをずっと被っていらっしゃって。直接坂本さんに伺ったわけではありませんが、おそらくそのあたりからうちの帽子をいろいろと試していただくことで信頼を得て、ワークキャップの依頼につながったのではないかと思います」

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「WORK CAP for Ryuichi Sakamoto」の型紙。さまざまなパーツから作られていることがわかる。

そして、8月12日、坂本さんが木島さんの会社を訪れた。

「坂本さんからの依頼内容は、当日持参していただいたお気に入りのワークキャップをベースに、もう少しブラッシュアップしたものをオーダーメイドで作りたいというものでした。それ以上のご希望はなく、あとは任せると。そこで少しでも制作のヒントになればと思い、普段の服装や服の色などを伺いました。すると坂本さんは、最近は楽で心地よい服をよく着ていて、色は黒やグレーが好みだと教えてくれました。話し方もイメージしていた通りで、穏やかで落ち着きがあり、すごく品のある方だなという印象を受けました。そこで、そのようなご本人の雰囲気をワークキャップにも纏わせようと思いながら、制作に入ったのです」

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高さや角度など部分ごとに細かな調整が施されている。

キジマ タカユキの既存のラインナップの中には、ベースになり得るようなワークキャップがなかったため、採寸した坂本さんの骨格に合わせて、イチからデザインを起こして制作。何度も試作を行い、その都度、坂本さんが被っている姿をイメージしながら微調整を重ねていった。

「例えば、高さ。キャップの前後を比べると、後ろのほうが3mmほど高くなるようにデザインしています。そして、角度も前のほうがわずかになだらかになるよう調整しました」

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4つのパーツを縫い合わせたラインは、デザインのアクセントにもなっている。

さらにトップの部分にも秘密が隠されている。

「一般的なワークキャップでは、頭頂部にあたるトップの部分は一枚の生地を使ったフラットな形状になっていることがほとんどです。でもこのワークキャップは4等分した丸いケーキのように4つのパーツに分けて、それらを縫い合わせて作っています。ひとつひとつのパーツのラインに微妙にカーブをつけることで、縫い合わせた時にトップの部分がほんの少しだけ丸みを帯びた立体的な形状になるのです」

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強撚糸の素材が醸す、絶妙なシワ感やヨレ感も魅力だ。

素材にも坂本さんの雰囲気に合わせたこだわりが。

「坂本さんはビシッとされているというよりは、少しラフな雰囲気も感じたので、キャップも洗った方がしっくりくると思い、仕上げに洗い加工を入れてあります。ただし、一般的な綿100%の素材の場合は、洗うとシワ感やヨレ感が強く出過ぎる場合があるんです。僕のイメージではそこまでのラフな感じは坂本さんには過剰かなと思い、洗っても元の素材の風合いが変化しにくい、強く撚られた超強撚糸を使った素材を選びました。これによってハリ感がありながら自然な柔らかさと適度なシワ感が出てくると思います」

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キャップの内側には坂本さんのロゴ入りの特別なタグがつけられている。

全体としては、キジマ タカユキとしてこれまで培ってきたさまざまな技術や手法を盛り込み、坂本さんが理想だと感じるデザインにブラッシュアップすることで誕生したワークキャップだと木島さんは話す。

「坂本さんから依頼を受けて、坂本さんのために、坂本さんに似合うデザインで、愛用していただけたら嬉しいという思いで、生地選びから縫製、フィニッシュまでをトータルでやらせていただいたワークキャップです。購入された方には、坂本さんを思い出しながら、どうしてこのキャップが好きだったんだろう? とか、どういう風に被っていたんだろう? など、さまざまな思いに耽っていただけたら幸いです」

「WORK CAP for Ryuichi Sakamoto」の価格は19,800円。色はブラックのみで、3サイズでの展開となっている。販売は坂本図書ならびにキジマ タカユキ代官山で行われ、キジマ タカユキ オフィシャルウェブサイトでは受注販売が予定されている。

カジュアルな雰囲気でありながら品の良さも纏った、いわば紳士のワークキャップ。「WORK CAP for Ryuichi Sakamoto」が放つ唯一無二の存在感は、坂本龍一さんのファンならずとも見逃せない。

「WORK CAP for Ryuichi Sakamoto」販売店舗


坂本図書

3月28日(木)から店頭販売開始。完売しだい終了。
入場は完全予約制、場所は非公開。
詳細はインスタグラムまたはX(ツイッター)にてご確認ください。

インスタグラム 

X(ツイッター)


キジマ タカユキ代官山

http://www.kijimatakayuki.com/stores/

店頭販売は3月28日(木)から31日(日)の4日間のみ。

完売しだい終了。


キジマ タカユキ オフィシャルウェブサイト

http://www.kijimatakayuki.com/

4月1日(月)から7日(日)の期間限定で受注販売。

ただし、生地に限りがあり、受注上限を超えた場合は期間中でも販売終了。