「大人の名品図鑑」クリント・イーストウッド編 #4
ハリウッド、いや世界を代表する俳優であり、映画監督として知られるクリント・イーストウッド。今年で93歳になるが、いまだに現役で精力的に活動を続けている映画界の“生きるレジェンド”だ。今回はそんなイーストウッドが出演した数々の映画に登場する名品について考える。
『荒野の用心棒』(64年)などのウエスタン映画でスターダムにのし上がり、『ダーティハリー』(71年)などのアクション映画で世界中を魅了する俳優となって、さらに監督まで務めたイーストウッドだったが、アカデミー賞に代表される賞レースとは無縁だった。そんな彼が初めてオスカーを手にするのが1992年に主演・監督した『許されざる者』だ。第65回アカデミー賞で作品賞および監督賞など4部門を受賞するだけでなく、第50回ゴールデングローブ賞でもイーストウッドは監督賞を獲得、興行的にも大成功を収めた。
その後も『パーフェクト・ワールド』(93年)や『マディソン郡の橋』(95年)などに出演し大きな話題を集めるが、次にイーストウッドがオスカーを手にするのが04年に公開された『ミリオンダラー・ベイビー』だ。この作品は第77回アカデミー賞で7部門にノミネートされ、作品賞、監督賞を獲得、ヒラリー・スワンクは主演女優賞、モーガン・フリーマンは助演男優賞を獲得、アメリカだけでなく、フランス、イタリアなど諸外国でも多数の主要映画賞を獲得した。
この『ミリオンダラー・ベイビー』はボクシングと尊厳死を主題とする作品だ。イーストウッドが演じるフランキーはジムの経営者でありトレーナーで、昔は試合中、傷の手当てを行うカットマンで「名人」と呼ばれた人物。モーガン・フリーマン演じるエディはフランキーの親友でジムの管理人。そんなふたりの元にやってきたのが、貧しい家庭に生まれ育ったマギー・フィッツジェラルド。
マギーを演じるのは99年の『ボーイズ・ドント・クライ』で性同一性障害の主人公を演じてオスカーを獲得したヒラリー・スワンク。30歳を過ぎたマギーのジムの入部をフランキーは最初は断るが、かまわず毎日やってくるマギーをコーチするようになり、やがてふたりの間には親子のような絆が芽生えていく。メキメキと実力を伸ばしたマギーは試合を勝ち続け、やがて“青い熊”ビリー(ルシア・ライカ)と百万ドルを賭けたタイトルマッチに挑むが……。
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主人公たちが着る、グリーンの衣装の意味
この作品に登場するアイテムで注目したのが、タイトルマッチ戦でイーストウッドが着用する緑のジャンパーだ。スワンクも同じ色と素材のガウンを着て試合に臨むが、この緑という色に重要な意味がある。実はイーストウッド演じる老トレーナーのフランキーはアイリッシュ系カトリック教徒という設定だ。映画の中で何度も出てくるが、フランキーはアイルランドの古き言語であるゲール語を独学で勉強し、ボクサーとして成長したマギーに「モ・クシュラ(諸説あるが、ゲール語で汝は私の血という意味)」という名前を与え、ガウンの背中にもその言葉を入れる。
ふたりが着たジャンパーとガウンの緑はアイルランドを象徴する色であり、3月17日のセントパトリックデーには緑色を身に着けた人が世界の街でパレードをすることはよく知られている。ふたりが大事な試合でアイルランドの誇りと共に戦うことを、この衣裳の色ひとつで表現しているというわけだ。
そんな緑のジャンパーに似たアイテムがアメリカのアウトドアブランドの雄、ザ・ノース・フェイス パープルレーベルの「フィールドジャケット」というモデル。シンプルなジャンパーに見えるが、同ブランドの定番素材「ベイヘッドクロス」を採用し、可動域が確保されたラグラン・スリーブのデザインやストライプの入ったリブがスポーツをテーマのひとつにしたこの作品とイメージが重なる。
シンプルなデザインのブルゾンなので、誰にでも似合うアイテムだが、イーストウッドのようなキャリアを積んだ人が着用すれば、さらに魅力が増すことは確実。そんな大きなポテンシャルを持ったアイテムだ。
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