スパイ容疑をかけられた鳩が、8カ月も拘留された理由とは?「足に謎のリングが結ばれ…」

  • 文:宮田華子

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@NBCNews – Xのキャプチャ画像。

インドで「ある動物」がスパイ容疑をかけられ、何と8カ月もの間警察に拘束されていたという。

その動物とは… 「鳩」。

インドの通信社プレス・トラストの報道によると、この鳩は2023年5月にインド・ムンバイの港の近くで捕獲され、その後警察によって拘束されていたという。

Sky Newsによると、この鳩の足には、中国語と思われる言葉が書かれた2つのリングが結ばれていた。インド警察は「この鳩が、中国によるスパイ活動に何らか関与している可能性」を疑ったため、鳩をムンバイ市内のバイ・サカルバイ・ディンショープチ動物病院に送った。

しばらくこの動物病院で飼育されていた鳩だったが、この鳩は台湾から逃げてきた競走用鳩であることが判明。警察はスパイ容疑を取り下げた。

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かつては、戦争に利用されていた鳩

荒唐無稽に聞こえる話であり、「なぜ鳩にスパイ容疑が?」と疑問に思うかもしれない。しかし鳩は、その賢さから戦争利用されてきた歴史がある動物だ。

第一次・第二次世界大戦中、イギリス軍の伝達に鳩が活躍していた話は有名だ。特にノルマンディー上陸作戦では、上陸のニュースを最初にイギリス本土に伝えたのは「グフタス」という名の鳩だった。

 

伝書鳩の「グフタス」。

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「グフタス」が運んだメッセージ。

またアメリカでも、第二次世界大戦中および戦後に、鳩にミサイルの誘導役を担わせる実験「プロジェクト・ピジョン」が行われていた。

 


行動主義心理学者であるB.F.スキナーが考案し、実験した。

こうした過去から、鳩が何らかのスパイ活動に利用されているとインド警察は疑った。しかし今回はまったくの「ぬれぎぬ」だったようだ。鳩は動物病院からボンベイにある動物虐待防止協会に移送され、その後「釈放」、つまり野生に放たれたという。

 


無事「釈放」された鳩。

釈放された鳩が、無事古巣の台湾に戻ることができたかどうかは不明だ。しかし窮屈な暮らしをした後だけに、どこかでのびのびと羽ばたいていてほしいと願わずにはいられない。

【次ページ(動画あり)】貴重なニュース映像・メダルを授与された伝書鳩(1944年)

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いち早くメッセージを伝えたグフタスには、ディッキンメダル(戦争で活躍した動物に贈られるイギリスの勲章)が授与された。