“崩落の危険がある崖”を目指す人々が話題に…再三の警告にも効果なし「崩れれば逃げるチャンスはない」

  • 文:山川真智子

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ジュラシック・コースト。Billy Stock-Shutterstock

イギリス南部の英仏海峡に面した海岸、ジュラシック・コーストには、侵食によって形成された古い地層が露出した断崖が、154kmにわたって続いている。2001年にはユネスコの世界遺産にも登録され、多くの観光客が訪れるが、このところ地滑りや崩落が相次いでいる。崖の上では、警告の標識を無視して縁まで近づく無謀な人々が目撃されており、地元の当局をひやひやさせている。

人気の観光地だけど…崩落が相次ぐ 

ジュラシック・コーストは三畳紀、ジュラ紀、白亜紀の連続した岩石層が露出し、地質学的には1億8500万年の歴史を持つ。時代を経て、様々な生物の化石が地層の中に保存されており、海岸の岩場でも、アンモナイトの化石などを見つけることができるという。夏場は観光客が多く、海水浴を楽しむ人々でビーチはにぎわう。

このあたりの玄関口となっているドーセット州ウエスト・ベイのイースト・ビーチでは、1月に大きな崖の崩落が起きた。地元紙ブリッドポート・ニュースによれば、昨年12月にも同じ場所で崩落があり、ビーチの通行が遮断されたという。

地元の当局は、崩落や地滑りはいつでも起こり得るとし、警告標識を確認して安全を確保し、既存の歩道を通行して、崖の端やふもとに近づかないようにと、観光客に呼び掛けている。

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警告を無視? 崩落後の崖っぷちに立つ人

当局の注意喚起にもかかわらず、約45メートルの高さの崖の縁に陣取った人々を、ウエスト・ベイで撮影をしていたカメラマンが目撃していた。ミラー紙によれば、ドローンを使って風景を撮影していたときに、たまたま見つけたということだ。

カメラマンは彼らの写真を撮っており、黒い服を着た数人は母親と娘と息子のようで、オレンジ色の服を着た人はティーンエージャーのように見えたと話している。彼らがいた崖の側面には大きな亀裂が入っていて非常にもろく見えたのに、崖の縁ギリギリのところまで侵入していることに、とても驚いたとしている。

危険を軽視? 他人を巻き込む可能性も

ニュースサイト、BNNは、危険は明らかであるにもかかわらず、一部のスリルを求める人々にとって、崖の魅力は衰えていないと述べる。当局や専門家の警告が耳に届かない人もいると指摘。一部の無謀な人々のみならず、周囲の人々も危険にさらされる事態を招きかねないと批判している。

メトロ紙によれば、昨年夏に大きな落石のあった後に、崖の端でバーベキューをする家族連れがいたという。煙を上げるバーベキューグリルと、ソーセージを焼く男性の姿が見えたと目撃者は説明。崖はいつ崩れてもおかしくなく、崩れれば逃げるチャンスはないことを、こういった人々は理解していないのではないかと述べている。

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“崩落の危険がある崖”で崩落があった後の様子。

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 BBCによる崩落した崖の映像。

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 地滑りを捉えた映像。逃げる人も。

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