【東京クルマ日記〜いっそこのままクルマれたい〜】第194回日本のミニバンは未来の高級車になりえるか、EVでも乗りたいレクサスのフラッグシップとは?

  • 写真&文:青木雄介

Share:

LMはレクサスで初めて周波数感応ショックアブソーバーを搭載。路面や走行状態を周波数で読み取り瞬時に減衰力を切り替えられる。 

思えば日本は規格をフルに使って、室内の広いクルマをつくるのが好きな国ですよ。最近の軽自動車や、ミニバン人気もそう。道具や荷物を載せていた商用バンが、人を乗せるためのファミリーカーになり市場を席巻するなんて、30年前なら考えもつかなかった。

レクサスの「LM500hエグゼクティブ」に乗ると、日本のミニバンがひとつの頂点に達したことを実感させられるのね。LMというのは“ラグジュアリームーバー”の略なんだけど、とどのつまり後席空間が「もはやクルマじゃない」ってことなんですよ(笑)

②.jpg
水平基調のインパネとドアトリムをつなげた開放感のある運転席。 

前面には48インチの超大型ディスプレイがあってオンライン会議も圧倒的な解像度で進むだろうし、車内のサラウンドシステムとあいまって映画やスポーツ観戦、ゲームにも最高の環境。自動運転が当たり前になり、運転席がなくなるとしたら、クルマはこんな部屋だけが移動するゴンドラのような形状になるんだろうとも想像できるよね。

どっしりと鎮座した主役のリクライニングシートは、マッサージ機能とともにあらゆる体型のオーナーを寛がせる自信に満ちている。実際に座って深夜の東京を移動すると、運転席と隔てられた室内は落ち着いた間接照明やあえて小さめに設計された窓などにより、カプセルの中みたいな包まれ感があって宇宙を旅している気分。

③.jpg
骨盤を支える疲れにくいシートを採用。 

---fadeinPager---

さらに、ドライバーにドライブモードを後席の快適性を重視した「リア コンフォート」にしてもらうと、なるほど路面の突き上げ感が抑えられるのがわかる。と同時にこの手のクルマでいちばん難しい、ドライブシャフトのノイズをほとんど気づかないレベルまで消し去ってくれて静粛性は抜群。空間の密室性がさらに高まる。これホントにスゴいと思った。

音楽を流せばサラウンド効果によって、まるで人のいないラウンジで聴いているような気分に。曲間で、しんと静まり返る。この一瞬の静寂が癖になるのね(笑)

④.jpg
リアピラーからコンビネーションランプまで流れるようなシルエット。

一方、運転席でハンドルを握れば、他のミニバンより一段高い目線で気分上々、取り回しもよい。静粛性は悪くないものの、エンジンが少しばかり騒々しくてトルクも物足りないかも。ドライバーとしては心底、「V8エンジンか、いっそEVなら最高」と思ったけれど、「必要にして十分」と判断したレクサスの判断はすごく理解できるのね。

まず、後部座席はほぼ運転席から隔絶されているからエンジンの音が気にならないし、寛ぐか仕事をするかのスペースに、強力なトルクで発進するような走行性能は危険ですらある。4気筒ハイブリッドのワングレードにしたのも、ボリュームゾーンを運転手付きの社用車や送迎車に割り切ったからだと思えるよね。

これから座席を増やしてファミリーユースに対応したり、欧米も含めて世界販売することが決定したりすれば、パワートレインが選べるようになるかもしれない。でも大事なところはそこじゃなくて、ミニバンという日本の文化が未来のニーズを満たすデザインを率先していて、新しい高級車市場をリードするかもしれないという期待のほうだよね。それ込みで、「理想はやっぱりEVかな」って話になるんだけど(笑)

⑤.jpg
接地荷重に応じて四輪の駆動力を制御する「DIRECT4」を採用。

レクサス LM500h エグゼクティブ

全長×全幅×全高:5125×1890×1955㎜
エンジン:直列4気筒ターボ+ハイブリッドシステム
排気量:2393㏄
最高出力:275ps/6,000rpm
最大トルク:460Nm/2000~3000rpm
駆動方式:AWD(フロントエンジン四輪駆動)
車両価格:¥20,000,000
問い合わせ先/レクサスインフォメーションデスク
TEL:0800-500-5577
https://lexus.jp

※この記事はPen 2024年4月号より再編集した記事です。