「JAPANESE SEAFOOD」を世界へ! 「FOODEX JAPAN 2024」において、日本産水産物をテーマとしたネットワーキングレセプションを開催

  • 文:藤村実里

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日本の食は世界でも高い知名度を誇り、各国で愛されている。「WASHOKU」という言葉が世界共通語になるとともに、日本産食材にも世界から熱い視線が注がれている。日本産水産物はその味、質ともに高く評価され、世界のトップクラスのレストランやシェフたちもご指名だ。

2024年3月5日から8日までの4日間、東京ビッグサイトにおいてアジア最大級の食品・飲料専門展示会「FOODEX JAPAN2024」が開催。その初日となる3月5日には、農林水産省が主催するネットワーキングレセプションが催された。

日本産水産物の魅力を世界に向けアピール

今回のネットワーキングレセプション開催の目的は、日本産水産物のさらなる輸出拡大に向け、輸出に取組む国内の水産関係事業者を支援すること。日本産水産物はその品質の高さから、世界で高く評価されてきた。しかし、昨年8月のALPS処理水放出以降の一部の国・地域による輸入規制の強化の影響を受け、水産関係の事業者は苦境を強いられている。

こうした状況を打破するため、ホタテや、日本を代表する魚であるぶり及びタイをはじめとした日本産水産物の魅力をPRするとともに、水産事業者と海外バイヤーのビジネスマッチングにつなげることを目指して、今回のネットワーキングレセプションの開催が決まった。

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東京ビッグサイトの特設会場で開催された。

 

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オープニングの挨拶にて乾杯を執り行う坂本哲志 農林水産大臣。

また、提供された料理には、2024年1月1日に発生した能登半島地震の被災地である石川県及び富山県産の食材を数多く使用。さらに、同県で製造された日本酒・日本ワインも振る舞われるなど、能登半島地震からの復興も後押しした。

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各国から集まったバイヤーと交流を深める

この日会場には、アメリカ、カナダ、スペインなどの欧米諸国、インドネシア、フィリピン、タイ、ベトナム及びシンガポールなどの東南アジア諸国、さらにはUAE及びインドなど、幅広い国・地域のバイヤーが招待され集まった。会場の様子からも日本産水産物への高い注目度がうかがえた。

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一方で参加した国内事業者は30社、70名以上。日本産水産物、水産加工品の事業者が全国各地から参加した。参加した各事業者は、各々の商品の展示も実施。訪れたバイヤーたちは、足を止め熱心に事業者の話に耳を傾けていた。

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自社の商品について特徴や加工技術などを熱くプレゼンテーションする事業者。海外バイヤーからも生産方法や特徴、料理とのマッチングやアレンジなどについても質問がなされた。

レセプション開始直後から賑わいを見せた会場内は徐々に熱気を帯び、笑顔で語り合う人々の姿が見られた。

新鮮なホタテにぶり、タイ…シェフの華麗なアレンジによる逸品

この日会場では著名な料理人による調理デモンストレーションや、漁業関係者も交えてのトークセッションも開催。調理デモンストレーションでは、元公邸料理人の工藤永良(くどうえいりょう)氏が登壇し、会場に設けられた特設ステージで新鮮な北海道産ホタテ、石川県能登半島産のタイやぶりなどを使った料理を披露した。

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新鮮なホタテを手にする工藤英良シェフ。工藤シェフは公邸料理人として、10年に渡り、カナダ、中国、フランスにおいて世界各国の賓客に和食をふるまってきた。2020年より「出張料理人」としての活動を開始し、1日1組限定特別コース料理の提供、レシピの開発、講演活動など、幅広く活躍。

「刺身でも食せるほど鮮度の良いホタテは、あまり火を入れすぎないのがポイント。両面に少し焼き色がつくぐらいのレアでぜひお召し上がりください。ソースに使用している味噌は和食だけでなく、フレンチやイタリアンとも合います」

ライブ感溢れる調理デモンストレーションとともに、食材のポイントや日本産食材とのマッチングついて語る工藤シェフ。会場内の提供カウンターでは、次々と調理されたホタテやぶり、タイなどが並べられ試食も行われた。

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この日提供された料理はフルコース仕立ての全6品。どれも新鮮な日本産水産物に一手間を加え、提供されたお酒とのマッチングも考えられたアレンジばかりだ。

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「ホタテのグリル 味噌ガーリックバターソース」(写真手前)
肉厚で味わい深い北海道産ホタテ貝柱に塩コショウをしてシンプルに焼き上げた逸品。ガーリックバターに味噌、醤油、味醂、柚子果汁、レモン果汁を加えた香ばしいソースとホタテの下には今が旬の新玉ねぎ、ほうれん草のソテーも。ホタテの貝殻を皿にする工夫もなされた。

「カニカマのロワイヤル 海苔餡かけ」(写真左奥)
フランスをはじめ世界で人気の日本発祥加工品「カニカマ」を贅沢にたっぷり盛り込んだ洋風茶碗蒸し。使用したカニカマは、石川県七尾市の企業で製造されたものだ。年々進化を遂げるカニカマのクオリティーに、今ではプロの料理人でも本物のカニと区別がつかないほどハイレベルなものも。ソースには、かつお節と昆布だしで取った一番出汁に醤油、味醂、海苔を加えて。

「アナゴのロール寿司 アナゴ天ぷらのせ」(写真右奥)
古くから、日本料理に欠かせない食材として親しまれてきたアナゴを海外でも人気のロール寿司にアレンジ。さらに天ぷらとしても調理されるなど2つの料理が味わえる一皿に。使用した米は、石川県産の「ひゃくまん穀」だ。ロール寿司の中には、煮アナゴと相性の良いキュウリ、クリームチーズ。アナゴの煮汁を煮詰めた甘辛い醤油ダレと粉山椒とともに。日本酒、ワインとの相性も抜群だ。

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ゆず、味噌など日本ならではの食材との組み合せも、訪れた海外バイヤーたちから美味しいと好評だった。

 

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鮮度を保つカギは、伝統漁業の知恵と技術

この日のもう一つの目玉である漁業関係者を交えたトークセッションでは、石川県輪島市で鮮魚店を営む中小路武士(なかしょうじたけし)氏 と、「鯛の田井さん」として知られる同市の漁師の田井太也(たい たかなり)氏が登壇。実物のタイ、ぶりを用いて魚の鮮度を保つ日本特有の技術「活け締め(神経締め)」について解説した。

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特殊なワイヤーを使用する活け締めは、漁師の経験と感覚を頼りにする技。トークセッションの最後には、能登半島地震からの復興に対する力強い言葉も語られた。

そのほかにも、日本随一の漁港、鳥取県境港から卸のプロである川口利之(かわぐち としゆき)氏も登場。穴子の保存方法であるマイナス40度の瞬間冷凍技術についても触れた。

「美味しい穴子は見た目が白く、赤い斑点が魚の表面にあるのが特徴。これが鮮度の良い証拠です」

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海外にはない日本ならではの技術は、長い漁業の歴史の中で培われてきた賜物。伝統の技と、新たな革新を組みあせて日本の水産物の品質が保たれていることについて、工藤シェフとゲストたちがトークを繰り広げた。

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日本酒に日本ワイン、料理とのペアリングも

会場中央のバーカウンターで料理に合わせて振る舞われたのは、日本各地から取り寄せられた日本酒や日本ワインなど。水産物とのペアリングも考慮してこの日厳選された日本酒は、酒どころとして名高い石川、富山、福島、などの酒蔵で製造されたもの。さらには、海外でも近年知名度を上げているスパークリング日本酒「AWA SAKE」などが並んだ。

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この日用意された酒は日本産海産物との相性が良いものばかり。

 

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一皿ごとに日本酒とのペアリングを楽しむ人の様子も。

またノンアルコール飲料として、日本産のりんご・桃などを使用したジュース、そして日本茶スパークリングなども提供された。

それぞれの味わいの特徴を見ながら、料理とともにペアリングし、マリアージュを楽しむ人たち。海外バイヤーからは「ユニークな酒」「これが日本酒?」という驚きの声も聞こえた。

日本産の水産物と同様に、国産の酒類や飲料も日々進化を遂げている。ユニークな味わいや食事とのペアリング、デザイン性の高いデザインなど各社の特色も幅広い。日本産水産物とともに今後海外へアピールしていきたいものの一つだ。

輸出拡大を見据えた、今後の展望

会場に訪れた海外バイヤーたちは、振る舞われた料理と酒を愉しみながら、多くの国内事業者とのビジネスマッチングを行うことができた様子。また、参加事業者たちも確かな手応えを感じた満足げな表情で会場を後にした。

この日、坂本農林水産大臣からは日本の水産業の今後についてこんな言葉も。 

「農林水産省では、昨年末以来、ホタテをはじめとする水産物の輸出先多角化を進めるべく、海外バイヤーの方々に北海道や東北などの国内産地にお越しいただくとともに、国内の加工事業者などをベトナムに派遣し、視察・商談会などを行ってきた。これらの取り組みを通して、2024年1月の生鮮等のホタテ貝の輸出額は、前年同期比でベトナム向けが約5倍、台湾向けが約2倍と順調に伸びてきている。今後も今回のレセプションのような機会を通じ、関係者間の交流・商談が進み、輸出先の多角化が今後一層進むことを期待している」 

苦境に強いられる中でも、国の後押し、そして何よりも各地の事業者による日々の粘り強い販路開拓に向けた取り組みが、次の一手となることは間違いない。ようやく見えてきた希望にさらに光を注いだ今回のネットワーキングレセプションを通して、日本産水産物の明るい未来が見えてきた。