アートの空気をまとう、滲み、揺らぐ知的なグラデーションシャツ【着る/知る Vol.172】

  • 写真・文:一史

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服の一部分だけを染色液に浸けて染める「ディップダイ」という染色技法がある。服に濃淡をつけたり、多色に染めるのに使われる技法だ。今季2024年春夏はこのやり方をはじめ様々な切り口で表情を変えた服が多数登場している。そのなかから今回は美しいグラデーションを有した2ブランドの新作シャツにフォーカス。ともにアート作品との関わりから生まれた、穏やかな日本的センスのアイテム。知的好奇心をくすぐるシャツを手元に置いて、これ一枚で過ごす暖かな春を待とう。

墨の書を解釈した和風のモノトーン

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シーズンテーマの「墨-Sumi-」を体現するバンドカラーシャツ。素材は超長綿のスーピマコットン。ボディはオーバーサイズでネックラインはジャストフィット。壁の書は新城大地郎の手によるアート作品。¥33,000(税込)/グラフペーパー

モダンな日本暮らしの美意識に根ざすグラフペーパー。家具やインテリアの世界ともリンクする彼らが掲げた今季のテーマは「墨-Sumi-」。インスピレーションの源となった書家、アーティストの新城大地郎の世界に通じる、黒の多様なニュアンスを探っている。なかでも際立って印象的なのが品格のあるグラデーションシャツ。黒から白への移り変わりが、和紙と墨の滲みを感じさせ静かに心に響く。
全身黒の重さを和らげるため、白を加える着こなしコーデにも実に便利だ。黒パンツとの合わせはもちろん、白パンツ(短パンでも)でトップとボトムをつなげるセットアップ発想で着るのもいい。和の感性をまとって春の陽射しを浴びる毎日が楽しみになる一着だ。

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レギュラーカラー、半袖、ロングなどのグラデーションシャツのバリエーション。

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書と服が並ぶ期間限定ギャラリー

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シャツと同様にハイゲージニットも下部が白いグラデーション染め。今季の服のタグにはテーマの「SUMI」の言葉も見られる。

3月17日(日)までグラフペーパーの会社が運営する「ギャラリー85.4」にて、書と服のインスタレーション展が開催中。新城大地郎の書もグラフペーパーの服も、どちらも購入可能。今季コレクションの世界観を知るにも、日本のモダンな生活スタイルを感じるのにも最適な場である。呼吸する空気さえも澄んだ美的空間が心地いい。

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和モダンの服装の足元は、ミズノやUnda(ウンダ)などとのコラボフットウェア。ハイテクも取り入れるしなやかな着こなし感覚が洒落を生む。

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グラフペーパーの直営店とも趣を異にする、今季の特別な空間演出。

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ギャラリー85.4」 東京都渋谷区神宮前2-6-7 神宮前ファッションビル1F 営業:12時〜19時 水曜定休。

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フィンランド出身の写真家が撮ったバウハウス校舎を服に 

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ドイツ・バウハウスの校舎の写真を服にしたシャツ。スナップボタン仕様でジャケットとしても着られる。¥39,600(税込)/ミーンズワイル

東京コレクションでショー発表するなど勢いづくミーンズワイルの今季コレクションのうち、ビジュアルアクセントになる写真プリントシャツ2着。モチーフはフィンランド出身でドイツ在住の写真家オーラ・コーレマイネン(Ola Kolehmainen)が撮影した、美術学校のバウハウス校舎。写真のブレや滲みが服の揺らぎに結びついている。単にアートを貼り付けた服とは違う一体化表現が冴えている。合理的でシンプルなプロダクト、建築、デザインが好きな人はバウハウス運動にも思い入れが深いはず。ロック音楽ファンが推しのバンドTシャツを着るように、愛する美術運動を身につけて過ごす新しい日常をこのシャツが叶えてくれる。

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脱いだとき背負えるハンティングジャケットのような取り外し式ベルトが背裏につく。脇の両サイドにもシームポケットがあり、バウハウスのごとく機能美を追求するミーンズワイルらしい工夫だ。

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写真家とのコラボシャツの別バージョン。バウハウス校舎のブレ写真が染めのグラデーションに似た味わい。発色のいい化繊素材のとろみ感がニュアンスを引き立てる。¥39,600(税込)/ミーンズワイル

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金・土・日だけ営業する住宅街の直営店

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全面がガラス張りで屋外から光が差し込む開放的な店内。

最寄り駅は東急田園都市線の駒沢大学。徒歩約8分の住宅街にミーンズワイルの直営店がひっそりと佇む。金・土・日曜の週3日のみ営業する、ファンのために存在するパーソナルな店だ。服からバッグ、シューズなどのグッズ類まで一同に介するのは全国でここだけ。スポーツやアウトドアの先端テクノロジー素材をモードの息吹漂うファッションアイテムに落とし込んだ、機能に妥協しない日常のワードローブがここにある。

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フィッシングベストをコットンニットに置き換えた、ありそうでないユニークなデザイン。¥50,600(税込)/ミーンズワイル

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meanswhile STORE」東京都世田谷区駒沢4-20-3 営業:12時〜19時(金・土・日のみ)。

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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