恐竜?それとも怪獣?イギリスの田舎町で見つかった「いるはずのない生物」とは?  

  • 文:宮田華子

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@SkyNews – Youtubeのキャプチャ画面。

イングランド(イギリス)北部、カンブリア地方にある湖で発見された「ある生物」が話題だ。

体中に突起のあるゴツゴツの外見…

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@SkyNews – YouTubeのキャプチャ画面。

今にも噛みくとばかりにぱっくりと開けた口…。

まるでゴジラのような獰猛そうな外見から、一瞬「恐竜!?」「怪獣!?」と思う人も多いだろう。

この生物は「カメ」の一種である「ワニガメ(Alligator Snapping Turtle)」。カメ目カミツキガメ科ワニガメ属に分類される。

本来はイギリスに生息する生物ではなく、アメリカ・フロリダ州を中心に生息している。骨を噛み砕く力を持つ肉食動物のカメであり、体長80センチ、体重80キロ程度まで成長することもあるという。寿命は平均50年程度と言われているが、70年以上生きる場合もある。

 

今回捕獲されたものより大きなワニガメ。

イギリスにとっては「外来種」であるこの「怪獣のような外見のカメ」は、ある日、湖の近くで犬の散歩していた人が発見した。得体のしれないこの生き物をどうするべきか困った発見者は、SNSで協力を求めた。その投稿を見たのが、地方議員であり過去にフロリダ州に居住した経験のあるデニス・チェンバレンさんだ。彼女はフロリダ在住経験からワニガメのことを知っていた。

チェンバレンさんはこのワニガメが湖の生態に大きなダメージを与え、地元のあらゆる種類の野生生物を食べる可能性を心配した。いくつかの機関に電話をしたものの迅速な解決にはつながりそうもなく、しかしすぐに捕獲する必要があると判断。自力捕獲を決意し、建設現場用の手袋を3枚重ねて着用の上、プラスチック製の容器と買い物袋を手に水の中に入った。そして「こんなことをするのは初めてだった」ものの、無事捕獲に成功した。

 


ワニガメが発見された湖「アーズウィック・ターン」。

ワニガメは鼻だけを水面からだし、まるで怒っているかのような表情でたたずんでいたという。チェンバレンさんは「先史時代の小さな恐竜のように見えました」とThe Guardianの取材に答えている。

彼女はこのワニガメを自宅に持ち帰り、怪我がないかを確認した上で鶏肉を食べさせた。その後近くにある「ワイルドサイド動物病院」に連れていった。

動物病院のオーナーで獣医のケイト・ホーンビーさんは、最初このワニガメを見たときにスッポンだと思ったとのこと。しかし実際にはワニガメだと分かり、同僚の獣医師やスタッフと「フラッフィー(ふわふわ)」という名前をつけた。

 

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笑顔でインタビューに答える、「ワイルドサイド動物病院」に勤務する獣医、ドミニク・モールさん。@SkyNews – YouTubeのキャプチャ画面。

メディア取材に対応したモールさんによると、フラッフィーは4~5歳と思われる。体重1.16kg、体長17cm、性別は不明。手に乗る程度の大きさとまだ小型である。

ワニガメを家庭で飼うことを禁止した法律はイギリスにはないが、本来はイギリスには存在しない外来種である。何らかの理由でイギリスに連れてこられたフラッフィーは、しばらくの間家庭用ペットだったと想像される。しかし扱いに困った飼い主によって湖に捨てられたのではないか?と「ワイルドサイド動物病院」のスタッフたちは考えている。

ニュース動画を見ると、短い期間であるもののフラッフィーは「ワイルドサイド動物病院」で可愛がられた様子が分かる。報道により多くの人々がフラッフィーに興味を持ち、「飼い主になりたい」と手を挙げた。モールさん自身も「自分が飼えたら良いのに…」と語っているが、ワニガメは長寿であり、かつ大きく成長する生物だ。世話の大変さに加え危険も伴う生物であることから、コーンウォールにある野生動物の施設に送られ、適切なケアを受けることが決定している。

新天地に移った後、フラッフィー心地よく過ごせること祈りたい。

【次ページ:動画あり】まるでミニゴジラ!? ニュース映像でみる「フラッフィー」

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時々口を開けたりしめたりと動くものの、まるで剥製のようにじっとしている時間も長い。