BTS効果⁉️ 欧米で「ダサい」とされてきたパーマ人気が復活の兆し! 絶滅危惧種のあの髪型も

  • 文:福田ミホ

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Shutterstock-Yuliia Hurzhos ※画像はイメージです

日本人に多いストレートな髪に手軽にニュアンスを与えたり、ボリュームを出したりするために、便利なのがパーマ。だが欧米ではここ20年以上、男女かかわらずパーマは「ダサい」とされてきた。日本のようなニュアンスパーマ技術はほとんどなく、パーマといえば80年代から90年代頃に流行した、きつめのパーマしか選択肢がなかったことが要因のひとつだ。

筆者自身、10年ほど前のニューヨークや5年ほど前のロンドンの美容院でパーマを希望してみたことがあったが、いずれも困惑されてしまい、カーリングアイロンなどを使ったスタイリングを勧められた。

が、そんなパーマがこの数年で海外でもじわじわと復権しつつあるようだ。背景には80〜90年代ファッションの再評価やK-POPアイドルのヒット、ストレート一辺倒のヘアスタイルへの反動などさまざまな要因が考えられる。パーマだけでなく、80年代に流行してその後ほとんど見られなくなった奇抜な髪型を取り入れるセレブリティやストリートの若者も増えている。

それが実際どんな髪型なのか、その背景にどんな変化があるのか、見ていきたい。

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K-POPアイドル風、男性の短髪パーマ

最近のパーマ復権の中でも特に目立っているのが、若い男性が取り入れていることだ。New York TimesはK-POPアイドルやTikTokといったプラットフォームの影響を指摘している。パーマスタイルの中でも人気のある髪型は、サイドやバックは短めに抑え、トップにだけパーマをかけたスタイルだ。

筆者が通うロンドン郊外の美容院でも、最近は男性からのパーマの要望が増えているとのこと。イギリス人は地毛がカールしている人も多いので、パーマをかけているのかどうかは見分けにくいが、たしかに町中でも短髪カールの男子をよく見かける。K-POPアイドル、または日本の80年代男性アイドルを思わせる、トップがふんわりしたスタイルだ。

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絶滅したように見えたマレットヘア

一方GQは、80年代に流行したマレットヘアの復活を伝えている。マレットヘアとは、フロントやサイドは短いのに対し、後ろ髪だけを長く残すスタイルで、デビッド・ボウイがジギー・スターダストのキャラクターを演じた際の髪型がもっとも有名な例のひとつだろう。ボウイのようにスタイルアイコンとなった人はさておき、たいていの人においては「悪趣味」「なぜ?」と言われがちな髪型だ。

だがこの数年、ラッパーのLil Nas Xや歌手のビリー・アイリッシュといったセレブリティはもちろん、一般の人の間でも、マレットヘアを取り入れる例が後を絶たない。ただ一口にマレットヘアといっても、前髪や後ろ髪の長さ、サイドの処理などがそれぞれ異なっていて、形はさまざまだ。

たとえば上のデビッド・ボウイの例ではサイドの髪が耳を隠すくらいの長さがあるが、サイドを刈り上げたものも多い。そもそも型破りな髪型なので、とくに「マレットヘアはかくあるべき」という決まりはなく、とにかく前方が短く、後方が長ければマレットヘアと呼ばれているのだ。

GQではロンドンの理髪師のコメントとして、マレットヘア復活の背景を分析している。いわく、コロナ下のロックダウンにより職場の風土に変化があり、男性がより自分の好みに合ったスタイルを選ぶようになったのではないかということだ。

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たっぷりレイヤーを入れた「シャグ」

大胆にレイヤーを入れたスタイルもまた、復活中の髪型のひとつだ。70年代を中心に活躍したロック歌手・スティービー・ニックスや70年代に活躍した女優・ファラ・フォーセットが、「シャグといえば」で想起されるアイコニックな存在だ。男性ではロックバンド、ボン・ジョヴィのメンバーが、往時には全員がシャグだった。現代のセレブリティでは、テイラー・スウィフトやビリー・アイリッシュが取り入れている。

シャグには、長さやレイヤーの入れ方によってさまざまなバリエーションがあり、「ウルフ・カット」は前出のマレットヘアとシャグの中間とも言われる。また外側のレイヤーを短く、内側のレイヤーを長く残したスタイルは、形によって「ジェリーフィッシュ・カット」(外側のレイヤーをそろえ、全体がクラゲのような形)や「オクトパス・カット」(外側のレイヤーを頭に沿って丸く入れ、全体がタコのような形)と言われる。長くカールした前髪を両サイドに跳ね上げた「バタフライ・カット」は、日本の「聖子ちゃんカット」や昭和末期のOLスタイルを彷彿とさせる。

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80〜90年代がテイストとして定着か

The Guardianは他にも、ウェーブヘアや超ロングヘア、特徴的な前髪など、最近流行の髪型をまとめている。その多くは、80年代や90年代に流行しては廃れていった髪型だ。

80〜90年代テイストは今まで、肩パッド入りジャケットやボディコンドレス、いかついスニーカーなど、服や小物という形で取り入れられることが多かった。が、髪型は服や小物と違って簡単に修正できず、選ぶ者にはより深いコミットメントが求められる。

言い換えれば、マレットヘアやパーマといった髪型が流行しつつあるということは、多くの人が80〜90年代ファッションにコミットしているということだ。80〜90年代の、ちょっと野暮ったくも楽観的な空気を持つファッションが、たとえば20年代フラッパースタイルや60年代ミニマリズムのように、時代を超えるスタイルとして市民権を得てきたのかもしれない。

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男性の短髪パーマの例。

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男性のパーマの流行にはBTSの影響が指摘されている。

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デビッド・ボウイ演じるジギー・スターダストのマレットヘア。

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マレットヘアのYouTuber、カーティス・コナー。

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全員が激しくシャグだったボン・ジョヴィ。

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テイラー・スウィフトのシャグヘア。

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カイア・ガーバーのオクトパスヘア。