「ネズミだって捕れます!」 NYの動物園から逃げたフクロウの1年後の姿が話題

  • 文:山川真智子
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Doubleclix-Shutterstock ※画像はイメージです

1年前、動物園の檻から逃げ出したフクロウが、野生化してニューヨークの街を飛び回っている。檻の中の生活しか知らなかった動物が、厳しい外の世界、しかも大都会で生き延びることはできないと見られていただけに、新しい環境に適応した姿は、多くの人々を驚かせている。

開けられた穴から脱出 都会に住み着いたフクロウ

このフクロウは、セントラルパーク動物園にいた、ワシミミズクのフラコだ。AP通信によれば、昨年2月2日に何者かがフェンスを破って動物園の中に侵入。フラコがいた鉄網の檻に穴をあけたという。フラコはすぐに逃げ出し、ニューヨークの五番街の歩行者や警官を横目に、夜の闇の中に消えて行った。

劇的な逃亡から1年が経過したが、その間にフラコは街の人気者となった。昼間はマンハッタンの建物の間にある中庭や公園でくつろぎ、非常階段を止まり木としている。夜は給水塔の上でホーホーと鳴き、街の害獣であるネズミの捕食に大忙しだ。

動物園しか知らなかったが…適応力に驚き

実は、フラコは13年前に動物園にやってきた。ワシミミズクはユーラシア大陸に生息。翼を広げれば2メートル近くにもなり、食物連鎖の頂点にある肉食動物だ。しかし、幼鳥のうちに飼育下での生活を始めたフラコには本来の能力は培われておらず、都会の荒野で生き抜くことは無理だろうと見られていた。

ところが予想に反し、野生の力を呼び起こしたフラコは、新しい世界に順応した。まさに逆境を跳ね返すようなそのレジリエンス(回復力)が魅力となり、たくさんのファンを獲得しているという。

フラコの日々の動きを記録する人もおり、ソーシャルメディアにはさまざまな写真や映像が投稿されている。ニュースサイト、ゴッサミストによれば、写真家のデビッド・レイさんは、フラコの1年間の成長を最も知る人だ。レイさんによれば、動物園を離れて間もない頃のフラコは、飛ぶのも狩るのもかなり下手で、失敗を繰り返していたという。また以前はほとんど鳴かなかったが、最近はたくましく自信に満ちた鳴き声を上げているそうだ。

意図的に逃がされた? 大都会ならではの危険も心配

人気が高まるにつれ、フラコの得た自由は犯罪の結果であるということが、忘れられつつあるとAP通信は述べる。犯人特定に関する捜査情報は、動物園側が昨年2月にフラコ捕獲の努力を中断して以来、一切公開されていないという。若者のいたずら、フクロウ強奪の失敗など犯行理由として諸説が出ているが、誰かが囚われの身のフラコを意図的に開放しようとしたというのが、最も妥当な説明のようだ。

実は動物園で、フラコはミニバンほどの広さのスペースに暮らしており、住環境はかなり悲惨だったらしい。飼育環境への批判について、動物園の運営組織は回答をしていないが、現在のフラコの状態の監視を続け、困難や苦痛を確認すれば、連れ戻す用意もあると声明を出している。

自由を楽しむフラコだが、大都会には危険も多い。特に心配されるのが、殺鼠剤を撒かれたネズミを食べることだ。2021年には、セントラルパークに住んでいたフクロウのバリーが、飛行に支障をきたす量の殺鼠剤を摂取後、トラックにはねられ死亡する事件が起きている。フラコは現在マンハッタンで活動の場を広げており、危険が及ぶことを心配する声もある。

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給水塔の上にいるフクロウのフラコ。

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自由を得て1周年を迎えたフラコ。

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夜行性だが、昼間飛ぶ姿も投稿されている。

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 ネズミを捕獲したフラコ。

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ホーホーと鳴くフラコ。サイレンや球場の歓声に反応する。