クラシックアニメーションを思わせるキャラクターでおなじみのアーティスト・矢入幸一氏による過去最大規模の個展「 "Koichi Yairi 24,♯1" 」が、GALLERY TARGETとの共催により、渋谷のMIYASHITA PARK3FにあるギャラリーSAIで開催中だ。

今回の展示はロンドン、ソウル、香港、福岡、そして東京での個展の成功を経て迎えたもの。矢入氏にとってのひとつの集大成であり、これまでは異なる新たな表現に挑戦し、開拓する場にもなっている。

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作品の特徴は、矢入氏本人が「技法のコラージュ」と呼ぶ、ペイントと印刷技法を組み合わせた制作手法や、キャラクターのフォルム、テレビなどさまざまな形に成形したオリジナルキャンバスを使った表現方法にある。一見ポップでありながら、静寂と繊細さをまとったクールな世界観が魅力となっている。

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作品のモチーフとなっているのは、矢入氏が生み出すオリジナルストーリーだ。物語の世界で巻き起こるさまざまなシーンを作品として描いているのだ。

そして、展示空間全体をひとつの物語で紡ぎ、話の順番に並んだ作品を絵本を読み進めるかのように鑑賞できるユニークなスタイルで展示を行っている。1点1点の作品に目を凝らしつつ物語も読み解くことで、エンターテインメントのような楽しみ方もできるのがおもしろい。

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加えて今回は、展示空間を2つに分け、これまでの個展同様のオリジナルストーリーを軸にした空間以外に、ペイントと印刷技法をコラージュした手法を用いながらも、よりペインティング感の強い大型作品を展示したスペースも用意されている。

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「これまでの個展はすべての展示作品をストーリーでつなげる構成で行っていたのですが、今回はそのような作品に加えて、物語ではなく一枚で独立し、楽しめるような、これから取り組んでいきたい世界観を描いた作品も展示しています」と矢入氏。

中には作家本人にとって過去最大となる横幅4mを超える作品もあり、見応えも十分。作品に近づいてディテールを注視すれば、これまで以上にさまざまな印刷パターンや筆跡が1つの作品に盛り込まれていることに気づくだろう。

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さらに会場では、ステッカーやキーホルダーなどのオリジナルグッズや、ファッションブランドSOPH.とfragment designの藤原ヒロシ氏が手がけるブランドuniform experimentとの展覧会オリジナルコラボレーション商品の販売、ソフビメーカーGOCCODOとのコラボソフビの展示なども行われている。

作品には手の届かない人も、グッズを購入することで矢入氏のキャラクターを身近に感じられる絶好の機会にもなっているのだ。

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ちなみに今回の個展に合わせて、同施設2FにあるSOPH.MIYASHITA PARKでは、矢入氏のグラフィックを採用したuniform experiment 24SSコレクションの販売も始まっている。店頭のウィンドウではインスタレーションも公開中なので、こちらもチェックしたい。

新たな方向性の作品が加わり、鑑賞する楽しさも拡がった矢入幸一氏の展覧会。会場でその世界観にどっぷりと浸りたい。