
サッカー日本代表のゴールキーパー、鈴木彩艶選手が、アジアカップでのパフォーマンスを批判され、ソーシャルメディアで人種差別的な発言を受けていたことが本人の口から明らかになった。サッカー界において、人種差別は非常に深刻な問題だ。特に欧州を中心に、ファンによる暴言や罵声がスター選手をも苦しめており、対策が求められている。
関係者は差別を明確に批判 海外でも報道
鈴木選手はアメリカ生まれで、ガーナ出身の父親と日本人の母親を持つ21歳。192センチの恵まれた体格を活かしてJリーグで活躍し、現在はベルギーのシント=トロイデンに所属している。
鈴木選手が差別的な発言を受けたことについて、日本代表の森保監督、日本サッカー協会の田嶋会長が、断じて許されないという考えを示した。事件は海外のメディアでも報道されており、人種差別問題への関心の高さがうかがわれる。
欧州ファンはやりたい放題!選手個人は打つ手なし…
実は欧州では、以前からファンによる人種差別的な行動が頻繁に問題化しており、トップリーグでさえ解決できていない。
最近では、ACミランのGK、マイク・メニャン選手が、対戦相手のウディネーゼのファンに人種差別的な言葉を連呼されたとし、一時ピッチを去るという事件が起きた。スカイ・ニュースによれば、ウディネーゼのファンたちは、メニャン選手に向かって「サル」と叫んでいたという。この事件を受けて、FIFAのインファンティーノ会長は、人種差別的な行為をするファンのいるチームに対し、試合の自動没収を実施するよう要求している。
過去には、ブラジル代表のダニエウ・アウベス選手にバナナが投げこまれる事件も発生。レアル・マドリードのヴィニシウス・ジュニア選手へのヘイトクライムで、複数人のサッカーファンが起訴されたこともあった。
フランスの通信社、AFPは、「どんなに努力しても、正直状況は変わらないように感じる」「個別の事件として扱われる限り問題はなくならない」とする、差別を受けた選手の言葉を紹介している。
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オンラインでの差別増加 日本も対応必至か?
サッカー界の差別に挑戦し、ポジティブな変化をもたらそうと設立されたイギリスの団体、キック・イット・アウトは、2022-2023シーズンに、過去最多となる1007件の差別行為の報告を受けたという。特に増加したのはオンライン上の差別行為の報告だった。また、人種差別はプロアマ問わずサッカー界の最もよくある差別で、全報告の半分弱を占めていたということだ。
報告数の増加は差別がサッカー界の深刻な問題であることを浮き彫りにする反面、報告のやり方が認識されてきたこと、ファンが差別的な行為に対し寛容でなくなったことによる結果でもあると、ポジティブに捉えられている。
日本でも、鈴木選手の事件を受けて、差別を批判する声がソーシャルメディアで多く出ていた。その一方で、人種差別にからめられるのを恐れて、純粋にパフォーマンスの批判がしづらくなるという意見も散見された。日本でも外国にルーツを持つ選手が増えるなか、差別への対応はこれまで以上に大きな課題となりそうだ。
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応援に感謝する鈴木彩艶選手のインスタグラムより。
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❤️✊🏾 Mike Maignan: “We can’t play football like this”.
— Fabrizio Romano (@FabrizioRomano) January 21, 2024
“At the first goal kick I heard monkey chants and I didn’t say anything”.
“Second goal kick, they did it again so I called the bench and fourth referee”.
“There needs to be very harsh sanctions. Just talking does nothing”. pic.twitter.com/i4ACGmuTp4
差別を受け、「こんなサッカーはできない」と訴えるメニャン選手。
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Dani Alves, siempre en mi equipo. pic.twitter.com/fMSUhnGFFP
— Iniestazo (@INIE8TAZO) April 5, 2021
投げ込まれたバナナを拾って食べたアルベス選手。
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Dani Alves inadvertently sparks social media banana campaign against racism in football http://t.co/E5NJtybexm pic.twitter.com/mMg2qWFs9w
— The Telegraph (@Telegraph) April 29, 2014
アルベス選手に連帯を示しバナナを食べる人続出。