コンパクトな高級車に乗るなら、レクサスのLBXが最有力候補だ!

  • 文、写真:小川フミオ
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高級車といってもさまざまな方向性がある。レクサスが注目したのは、コンパクトな高級車。2023年11月に発売された「レクサスLBX」はトヨタ・ヤリスクロスと同等サイズながら、走りも質感も上質な、新しいカテゴリーの1台だ。

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LBXはユニファイドスピンドルなる新意匠のグリルを採用する。

 

全長約4.2メートルで、ドライブトレインは1.5リッター3気筒を使ったハイブリッド。メルセデス・ベンツAクラス、BMW1シリーズ、アウディA1など、ドイツのプレミアムブランドもコンパクトカーを手がけている。

私が連想したのは、むしろフォスクスワーゲン・ゴルフ。ゴルフは1974年に登場していらい、小型ハッチバックであるにもかかわらず”クラスレス”と定義され、質感や走りのよさが、高めの価格を正当化。広い層に受けいられた。

LBXを設定した背景に「LSなど余裕あるサイズの上級モデルから、扱いやすいコンパクトモデルへ乗り換えたい、というユーザーの声がありました」と、開発を指揮したレクサスインターナショナルの遠藤邦彦チーフエンジニア(CE)は明かす。

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リアフェンダーを中心に張りのある面作りがクラスを超越した質感を出している。

 

乗ってみると、予想いじょうに、快適。足まわりはよく動いて、路面からのショックをていねいに吸収して、乗員の姿勢は終始フラット。市街地での速度域を重視して、パワートレインのトルクの出方をチューニングしたというだけあって、加速もスムーズだ。

ハンドルを操作したときの重さといい、車体が動く反応といい、軽薄なかんじはなくて、このサイズなのに重厚感があるのにも驚いた。「ヤリスシリーズとは正反対ともいえる方向性のクルマとして徹底的に作りこみました」との遠藤CEの言葉にも納得。それはたいへんな作業でしたけど、と遠藤CEはつけ加えたのも、よくわかった。

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写真のモデルは「タン」内装で、上級モデルに負けずとも劣らない質感を作り出している。

 

走りだけではない。ドアの開閉音は「バスンッ」と空気をうまく逃がして上質感がある。私はドアの開閉音はクルマの質感にとってもとても大事だと思っているだけに、乗り込んだとたんに感心してしまった。

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175cm級がふたりちゃんと座っていられるパッケージングはレクサスが得意とするところ。

 

室内は狭い印象はない。ホイールベースは2580mmとそう長くないものの、175cm級のひとが4人ちゃんと座っていられるパッケージングもうまい。騒音は低く抑えられているし、オプションのマークレビンソンのハイファイシステムの音はステージを観ているような臨場感があってとてもよい。

上記の事柄を経験すると、「上級車種からグレードダウンした感があってはまずいので」という遠藤CEの説明にも納得だ。とりわけ、「Bespoke Build(ビスポークビルド)」という、内外装の仕上げに凝った限定モデルも用意され、これは上級車種とはまた違う世界観が魅力になっている。

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コンビネーションランプをはじめリアのデザインは遠目からでもレクサス車とわかる(と思う)。

 

3気筒エンジンは音質にもこだわったとのことで、燃焼のタイミングなど、徹底的にチューニングされている。さらに高回転で回ったときの音も「楽器のようにきれいに聞こえるように」調整したと担当エンジニアは胸を張る。

エンジンの最高出力は67kW、最大トルクは120Nm。前輪駆動モデルと、全輪駆動(AWD)モデルがあり、フロントモーターは185Nmの最大トルクを上乗せし、AWDで使う「E-Four」システムのばあい、リアに52Nmのモーターが追加される。

乗った印象では、前輪駆動モデルとAWDモデルと、それほど大きな差は感じられなかった。東京のような市街地で乗るなら、前輪駆動でいい、というのが私の感想。

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ボディ剛性も騒音対策も走りも足まわりもLBX専用に徹底的にチューニングされたという。

 

これよりさらに活発な走りを求めるひとのために、じつはレクサスは、1.6リッターターボの全輪駆動モデルをいま開発中だ。サーキットでも楽しめるモデルになるとか。これもまた、ゴルフを例にとると、アウトバーンでポルシェ911をライバルにしたゴルフGTIを彷彿させるではないか。

Lexus LBX (FWD)
全長×全幅×全高 4190×1825×1545mm
ホイールベース 2580mm
車重 1310kg
1490cc直列3気筒ガソリンエンジン+電気モーター   前輪駆動
最高出力 67kW(エンジン)+69kW(モーター)
最大トルク 120Nm(エンジン)+185Nm(モーター)
燃費 27.7km@リッター(WLTC)
価格 460万円~