「自分は何歳まで生きるか」AIで余命が4分の3以上の高確率でわかる技術とは? 男性は短い傾向

  • 文:安部かすみ

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「自分はいつまで生きるだろうか?」「死ぬのは何歳ぐらいだろう?」

若い時にはあまり考えなかったことでも、また大病にかかったわけではなくても、人は人生のある時を境に、または家族や友人の死に際して、ふとそのような疑問が頭をもたげることがある。

AIが余命を計算できる時代になりつつあると、アメリカなどで報じられている。

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4分の3以上の高確率で寿命を予測

このツールはAIアルゴリズムによる死亡時期計算機、ライフ・ツーヴェック(Life2vec)というもの。デンマークとアメリカの科学者によって開発され、その研究成果がオンライン・ジャーナル『ネイチャー・コンピュテーショナル・サイエンス(Nature Computational Science)』に掲載された。

余命計算機と言えるこのソフトウェアは、ChatGPTのように簡単な質問にチャットボットで答えるというもの。例えば「4年以内に死ぬのか?」といった質問を入れることで、答えが導かれる(AIと対話することはできない)。

このモデルは、研究に協力した性別も年齢も異なるデンマークの600万人以上から、彼らの年齢、健康状態、妊娠歴、教育、職業、収入など膨大なデータにより作成された。期間は2008年から16年までに収集されたデータで、調査対象者の中で2016年元日以降少なくとも4年間生存する可能性が高い対象者を特定した。また20年までに死亡した人を「4分の3以上の高確率で予測した」という。つまり精度は75%以上と非常に高かった。

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男性の寿命は短い傾向

サイエンスタイムズによると、寿命が短い傾向にあるのは男性で、精神疾患を抱えている人、スキルが必要とされる職業に就いている人など、また寿命が長い傾向にあるのは、高い収入があり社会や職場で指導的な立場にある人などが挙げられるということだ。

ただこのような計算機は、一般の人々が面白半分で使えるものではない。データを収集された人々の個人情報を保護するため、調査の詳細は公開されておらず、現時点でこの計算機を一般人や企業であっても使用することはできない。また、この計算機で算出できるのは余命のみならず、生涯でいくら稼ぐことができるかもそうだといい、このモデルがいずれ一般公開されるようになっても、プライバシー法が厳しい国では、保険の契約や雇用するか否かの決定のためにこの計算機を使用することが違法となることもあると、英デイリメールなどは伝える。今後の研究は、対象者のプライバシーが厳格に守られながら慎重に進められていくだろう。

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