スポーツカーの開発技術が、沖縄地方の海の宝「シラヒゲウニ」を復活させる!?

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    グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードを走行したAIM EV SPORT 01。エレガントかつコンパクトな本格的なEVスポーツカー。

    名古屋が拠点の「AIM(エイム)」をご存知でしょうか? 世界的な自動車メーカーやサプライヤーの研究開発を請け負いながら、ル・マン24時間耐久レースに参戦、高性能EVモーターを開発するなど高い技術力を売りにする自動車エンジニアリング会社です。

    10月に行われた「JAPAN MOBILITY SHOW 2023」では沖縄県の島嶼部、リゾート地域の意見を反映して開発した超小型EVである「AIM EV MICRO 01」を発表。沖縄の守り神「シーサー」をモチーフにしたかわいらしいフォルムは会場でも話題となっていました。

     

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    「AIM EV MICRO 01」。バッテリーを除く車体価格を100万円に設定した意欲的な超小型EV。沖縄の風景に似合うワクワクしたデザインは、元日産自動車の中村史郎氏が率いる「SN DESIGN PLATFORM」が担当。オープンとクローズの2種類のボディを用意する。www.aim-info.co.jp

    このAIMという会社、超小型EVの生産も沖縄で計画するなど、沖縄との結びつきが非常に深いのです。なかでもおどろくのが、2021年にうるま市で実現させた「シラヒゲウニの完全陸上養殖」。「自動車エンジニアリング会社が水産物の養殖も手がける」と聞くと、ベンチャー企業の多角化に感じますがそうしたビジネスの側面ではなく、自動車開発の技術を活用し、水産資源の未来を守るために設計されたファーム(養殖プラント)なのです。

     

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    うるま市にある「エイム人工海水ファームうるま沖縄」。ウニの生育環境をコントロールしながら育成することで、気候や季節などの環境変化に左右されずに栽培が可能という。

     

    沖縄県うるま市にある「エイム人工海水ファームうるま沖縄」は海や川の水を掛け流しで使うのではなく、水道水を使用した人工海水によるシラヒゲウニの栽培を実現しています。海水を汲み上げるエネルギーが削減できるだけでなく、養殖の排水によって海や川にダメージをあたえないサステイナブルな養殖技術です。2種類の耐塩性後期微生物群と特殊定着素材により、微生物の安定性と活性を高め、水中のアンモニアの無毒化を実現。安定したウニの養殖を陸上で行うことができるのです。そして、核となる人工海水循環システムは、実際に自動車開発で使用されている設計技術や解析技術によって確立したとのことです。

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    陸上養殖されるシラヒゲウニ。棘が短く白いことが「シラヒゲ」の由来。奄美や沖縄で食用とされる。味はクセが少なく上品な味わい。

     

    古くから沖縄や奄美で食されてきた「地の食材」。ですが、天然モノは乱獲や水質の変化によって漁獲量が1000分の1まで激減。主要漁場で自主的な禁漁が続いており、沖縄でも滅多に味わうことができない食材となってしまいました。そんな絶滅寸前のウニを自動車開発技術が救おうとしているのです。沖縄で生産された超小型EVで沖縄観光をして、沖縄地元食材であるシラヒゲウニを食べに行く……そんな未来も夢ではないかもしれません。

    「自動車開発技術が沖縄の水産資源の未来を救う!」

    「培った技術力を、沖縄の地域振興に活かしたい」。その想いで未来に挑戦する自動車エンジニアリング会社の志は大手自動車メーカーよりも大きなものかもしれません。

    多田 潤

    『Pen』所属のエディター、クルマ担当

    1970年、東京都生まれ。日本大学卒業後、出版社へ。モノ系雑誌に関わり、『Pen』の編集者に。20年ほど前からイタリアの小さなスポーツカーに目覚め、アルファロメオやランチア、アバルトの60年代モデルを所有し、自分でメンテナンスまで手がける。2019年、CCCカーライフラボよりクラシックカー専門誌『Vマガジン』の創刊に携わった。

    多田 潤

    『Pen』所属のエディター、クルマ担当

    1970年、東京都生まれ。日本大学卒業後、出版社へ。モノ系雑誌に関わり、『Pen』の編集者に。20年ほど前からイタリアの小さなスポーツカーに目覚め、アルファロメオやランチア、アバルトの60年代モデルを所有し、自分でメンテナンスまで手がける。2019年、CCCカーライフラボよりクラシックカー専門誌『Vマガジン』の創刊に携わった。