「まるでゴッサム・シティ」 NYでスライムのような蛍光グリーンの下水が発生

  • 文:青葉やまと

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Victor Moussa-Shutterstock ※画像はイメージです

ニューヨーク市の下水道から緑色の液体が漏れ出し、異様な光景がソーシャルメディアで話題になっている。『バットマン』シリーズに登場する架空の犯罪都市になぞらえ、まるでゴッサム・シティのようだとの声も聞かれる。

米マーケティング企業「Marpipe」の創業者でありニューヨーク在住のダン・パンテロ氏は11月3日、「ワールド・トレード・センターの隣の地面から、文字通り緑色のヘドロが湧き出している」とX(旧Twitter)に投稿。20日間足らずで2590万回以上表示される注目を集めた。

添えられた画像には、歩道上に設けられた2つのマンホールの蓋が収められており、それぞれの周辺から蛍光グリーンの液体が漏れ出している。非常にはっきりとした蛍光色が、歩道路面のくすんだグレーの上で色彩を放っている。

もうもうと昇る湯気と相まって…

マンホールの蓋からはまた、もうもうと湯気が立ち昇っている。湯気自体はニューヨーク名物の光景だが、正体不明の蛍光グリーンの液体との見慣れる組み合わせは、地下で何かただならぬ事態が起きているのではとの不安を掻き立てるかのようでもある。

写真によると、付近の路肩にも同じく鮮やかなグリーンの液体が溜まっているようだ。車道には規制線が張られているが、漏出箇所の先のブロックを囲むように張られており、液体の漏出によるものかは明らかでない。

続くポストでパンテロ氏は、「誰かこのことを説明できる人は?」と疑問を投げかけている。添えられた短い動画には、付近の街路の様子が収められているが、取り立てて騒ぎにはなっていないようだ。

氏は「私たちは今、本格的なゴッサムに住んでいるのか?」とも述べ、『バットマン』シリーズに登場する架空の犯罪都市と重ねた。

下水道の検査をしていた

この漏洩はアメリカの複数の大手ニュースネットワークで取り上げられ、話題をさらった。その正体は事故ではなく、下水道検査の一環だったことが明らかになった。

問題のグリーンの液体は、検査に使う染料なのだという。米ニュースネットワークのABC7・ニューヨーク局は、「蛍光グリーンの物質は、警戒すべきようなものではありません」と説明している。

「下水道網の漏れを検知する目的で、環境当局が水を緑色に染めることがあるのです」と補足し、一見不気味な液体は「よくある処置から生じた単なる漏出というわけです」と解説している。

同様の説明がのちに、ダン・パンテロ氏のポストにもコミュニティ・ノートの形で補足された。

過去には運河の異変が話題に

ABC7によると今年5月にも、ニューヨーク市ブルックリンの地下鉄駅で緑色の水たまりが目撃されていた。薄暗い地下鉄駅の券売機付近で、スライムのような色の水たまりが発生。乗客たちにちょっとした不安をもたらしていたようだ。

さらに、今年5月にはイタリアのベネチアで、より大規模な騒動が発生している。有名なリアルト橋の架かる現地最大の運河「カナル・グランデ」が、はっきりとしたグリーンに染まった。

米NBCの人気ニュース番組「トゥデイ」が取り上げた動画では、ふだんは天候によって青やグレーの表情を見せるカナル・グランデが、蛍光グリーンに一変した様子が記録されている。原因不明の現象に観光客らが騒然としたが、検査用の染料の漏出によるものだったことがのちの調査で判明した。

いずれも通常の検査の一環だったが、染料の色が非常に目立つだけに、思わぬ形で話題になってしまったようだ。

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マンホールの蓋から、スライムのような色の見慣れぬ液体が染み出ている。

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3月にはニューヨーク市ブルックリンの地下鉄駅でも緑色の水たまりが目撃された。

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ベネチアでは、より大規模な漏洩が発生。運河がグリーンに染まった。