外国人が感嘆!背もたれを動かして方向転換する電車の座席は、「日本すごい」なのか?

  • 文:山川真智子
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※画像はイメージです。Octavian Lazar-Shutterstock

外国人観光客と思われる男性が、向かい合っている目の前の座席の背もたれを引っ張ると、座席の向きが早変わり。こんな数秒間の電車内の映像に、ソーシャルメディアで「日本すごい」の声が上がっている。日本ならではの斬新な技術と話題だが、調べてみると意外な事実が判明した。

動く背もたれに大反響! 実は古い技術だった…

この映像は、ソーシャルメディアのX(旧ツイッター)に投稿された。「2050年を生きる日本」と題されており、背もたれの前後移動だけで座席の方向転換ができるというアイデアに、「日本の技術は世界一」「日本には驚かされてばかり」「つねに先を行く国」など、たくさんの誉め言葉が送られている。映像は、500万回以上閲覧されている。

話題の座席は『転換クロスシート』と呼ばれており、戦前からある技術とされる。1980年代から全国的に広まったが、背もたれの後ろにテーブルなどの備品がつけられない、リクライニング機能がつけにくい、収容人数が減るなどの問題も指摘されている。混雑する路線には向かないため、関東ではあまり見られない仕様だという。

海外にもある! ソーシャルメディアに指摘続々

かなりシンプルに見える『転換クロスシート』だが、本当に日本ならではのアイデアだったのだろうか。実はソーシャルメディアの投稿を調べてみると、海外でもずっと前から導入されている仕様だと多くの人が指摘している。実際に、アメリカ、オーストラリア、インドネシア、スペインからの投稿映像が確認でき、どれも見る限り構造は同じだ。

特に『転換クロスシート』はシドニーで人気のようだ。豪ABCによれば、シドニーでは2018年時点で、ほとんどの車両の座席の向きを変えることが可能だった。しかし、向かい合わせに座席が固定された新車両の導入が決定。「進行方向と逆向きの座席に座れば乗り物酔いをしてしまう」と利用者から不安の声が上がるほど、『転換クロスシート』は支持されていたらしい。

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見る人の先入観? 日本のイメージが影響か?

結局、『転換クロスシート』は日本ならではでも何でもなかったことが判明。「日本すごい」としてソーシャルメディアで拡散したのは、些細なことでも工夫して改善する「細かい技」の国というイメージが、他国以上に強かったということかもしれない。もっと単純に考えれば、投稿を見た人があまり電車を利用しない国の人だった可能性もありそうだが…。

ちなみに海外で大人気の日本の鉄道動画の一つに、新幹線が折り返し運転するときに行われる座席の自動回転がある。こちらに関しては「うちの国でもやっている」のコメントは見られず、日本ならではの技術として、長らく外国人を魅了している。

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Xで話題となった座席の向きが変わる映像。

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鹿島臨海鉄道の転換クロスシート。関東では珍しい。

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 ニュージャージーでは半世紀使っているという投稿。

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@train_bus.e12 #sydneytrains #transportfornsw #waratahseries2 #fyp #foryoupage #reversibleseat ♬ original sound - train_bus.e12

 

シドニーでは当たり前という転換クロスシート。

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インドネシアにもあるという投稿.。

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@biancaswaan

This is why I love Spain 🙏🏽 Train seats that change directions

♬ son original - justanunknownstar

スペインでもこの通り。

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これぞ日本?新幹線の自動回転座席。