人間のようだが不自然…アンドロイド風“不気味の谷”メイクがTikTokを席巻! 「怖い」「鳥肌が立つ」

  • 文:山川真智子

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mimiermakeup-Instagram

一見人間のようだが不自然な外見をもつアンドロイドにインスパイアされたメイクが、TikTokで流行中だ。“不気味の谷(uncanny valley)”のタグをつけたメイク映像が続々と投稿され、見る人を驚かせている。

出来すぎだと逆に違和感…“不気味の谷”とは

“不気味の谷(uncanny valley”は、1970年に東京工業大学の教授だった森正弘氏が書いたエッセイのタイトルだ。森氏は、人は「人間そっくり」なロボットを見たとき好感をもつが、あまりにも似すぎていると逆に不気味に感じるとした。人間に似ていることから急上昇した好感度が、似すぎという気味悪さのために谷底に落ちるかのように急降下してしまう現象を、不気味の谷と呼んでいる。

世界の奇妙な出来事を集めたサイト、オディティ・セントラルは、人間の容姿や物腰を完璧に模倣しようとするが成功しないヒューマノイド型アンドロイドを、現代の不気味の谷の例に挙げる。そして今TikTokで流行している、不気味なアンドロイド風メイクにもこの用語が使われている。

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アンドロイド風メイクの不気味さが大うけ

誰が不気味の谷メイクを始めたのかには諸説あるが、ニューヨーク・ポスト紙は、火付け役はTikTokユーザーのZaraという女性だと解説。メイクに加え、アンドロイドを描いたビデオゲームの音声に口パクで合わせた彼女の動画は、妙な不気味さが受けて1440万回再生されている。

TikTokでは、#uncannyvalleymakeupのタグを付けたメイクアップ映像がたくさん投稿されており、「確かに変な感じ」「鳥肌が立つ」「怖い…」など、不気味の谷らしいコメントがついている。トレンドは他のソーシャルメディアなどにも飛び火し、一層の広がりを見せているようだ。

自然な顔に足された人工感…不気味なメイクのコツとは?

このメイクでは、ファンデーションで顔を覆い、コンシーラーやハイライターを使って、光が不自然に顔に当たっているように見せる。さらに口や眉をアイライナーやマスカラで書き直し、特徴を際立たせている。ニューヨーク・ポスト紙は、どの映像もテクニックは様々だが、最後は似たような結果をもたらすと指摘。ある面では完璧すぎるのに、別の面では違和感ある見た目に、ぞっとするのだと述べている。

ウェブメディア、ライフハッカーは、不気味の谷の背後にあるアイデアは、非常にリアルなのに人工的な顔をつくることだと指摘する。シワを伸ばし、欠点を消し、顔の一部を少し“間違った”方法で強調して微妙に人工的な何かを加えると、人形のような顔、あるいはAIが作り出しそうな顔になる。不気味の谷メイクの場合は本物の人間がやっているため、さらに奇妙に感じるとしている。

ニューヨーク・ポスト紙によれば、不気味の谷という言葉は、今年初めハウス・パーティの様子を撮影したように見えるAI生成画像に使用されていた。一見普通に見える画像の中の人たちの指の数が多かったことなどに、気づいた人が不快感を示したということだ。不気味の谷メイクは、こういったAI画像などへの対応が叫ばれるなか広がったトレンドだが、化粧という手作業による不気味さの演出が、人々に新鮮な驚きを与えているようだ。

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@alkiiwii UNCANNY VALLEY #uncannyvalley #uncannyvalleymakeup #uncannyvalleyeffect ♬ original sound - Amiceaa

トレンドの火付け役となったとされる映像。

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@mybroseph having too much fun with the uncanny valley makeup trend #uncannyvalley #uncannyvalleymakeup #uncannyvalleytrend #trend ♬ original sound - Abby

このまま散歩に出たらどうなる?と語りかける映像。

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インスタグラムに投稿されたメイク映像。

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YouTubeに投稿されたTikTokメイク映像のまとめ。