欧米で「家でも靴を履いたまま」を見直す動画が話題に アメリカでは6割超が脱ぐ派 アジア式が脚光浴びる

  • 文:山川真智子

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Kumaar Family-YouTube

欧米では土足で家に入るのが普通とされてきたが、近年は靴を脱ぐ習慣が広まっている。最近の調査では、自宅では足を解放してリラックスしたいという人が増加。また、靴についた汚れやばい菌が外から持ち込まれるという衛生上の問題にも目が向いており、アジア式の靴を脱ぐ習慣が見直されている。

メリットはたくさんあった!欧米人が靴を脱がなかったわけ

欧米の多くの国々では文化的、伝統的に土足が当たり前とされてきた。ファッション関連サイト、アウトフィットーザによれば、屋内で靴を履く習慣が生まれたのは、おそらく疫病が流行った中世ヨーロッパだという見方がある。危険なばい菌を避けるため室内でも靴を履き、これが文化として定着し、今日まで続いたということらしい。

そのほかの理由として、滑りやすい床での転倒防止、寒さ対策、昆虫やゴミなどから足を保護すること、足のにおいを隠すことなどが挙げられている。さらに、靴を履くことで固い床を歩く際の衝撃が緩和されるため、欧州では家でも靴を履いていたほうが快適という人も多いという。

自宅では脱ぐ派が台頭! ただし来客への対応は…

土足文化の欧米でも、実は自宅で靴を脱ぐ人が増えている。5月に行われた米CBSニュースの世論調査によれば、自宅で靴を脱ぐと答えた人は63%で、ほぼ3人に2人のアメリカ人が、自宅でのリラックスタイムには靴を履かずに過ごしていることが分かった。若い世代ほど、靴を脱ぐのが習慣になっているという。

ただし、来客にも靴を脱ぐことを求めるというアメリカ人は少数派で、76%が土足のまま迎え入れると回答している。逆に他人の家で靴を脱ぐことを求められた場合、妥当なお願いだと思う人は全体の90%で、抵抗があるとした人は10%しかいなかった。

欧州では国によって差があるようだ。ソーシャルメディアでは、イタリア人は家ではスリッパを履いており、ラトビアではむしろ土足厳禁というコメントがあった。スロベニアでは、土足で家に入ればその家の父親にスリッパを投げつけられるぐらい、土足は失礼だという投稿もあった。

専門家は“脱ぐ”を推奨! 脚光を浴びるアジア式

学術系サイト、ザ・カンバセーションに寄稿したオーストラリアの専門家たちは、10年にわたる家庭内の汚染物質の調査の結果、家で靴を脱ぐべきという結論に達している。家の中にはペットの毛から病原体までさまざまなものが靴によって外から運ばれることが多く、玄関で靴を脱ぐ習慣は、環境衛生の観点から基本的かつ簡単な解決策だと指摘。どうしても履きたいのなら、外履きと室内履きを分ければいいと述べている。

ソーシャルメディアでは、アジア人の靴を脱ぐ習慣が見直されており、「アジア人と結婚したら…」「アジア人がお客を家に招いたら…」をテーマにした動画が人気を集めている。土足文化の消滅は、意外に早く到来するかもしれない。

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アジア人と結婚した後の欧米系女性の変化を見せた映像。

 

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ソーシャルメディアに投稿された地図。赤→オレンジ→青→緑の順に、家で靴を脱ぐのが基本から、脱がないのが基本になっている。

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欧州の靴を脱ぐが脱がないかの地図。異論がある人も多かったよう。

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来客の足を厳しくチェックするシンガポール人のお笑い映像。