「世界一怖い音!」メキシコの神殿で発見された“死の笛”、その恐怖の音色に震える

  • 文:青葉やまと

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陶器で自作したジーさん。First Nations Music-YouTube

メキシコの首都・メキシコシティには、かつて栄えたアステカ文明の遺跡が数多く眠る。このうち風の神・エヘカトルに捧げられた神殿で1999年、ドクロ型をした手のひら大の遺品が出土した。首を失った骸骨の手の部分に、握りしめるように保持されていたという。

当初はオモチャの類いと考えられていたが、発見から15年経って研究者が思いつきで息を吹き込んだところ、まるで女性が絶叫するかのような恐ろしい音色が大音量で響いた。こうして、笛だったことが判明する。

以降、「アステカの死の笛」と呼ばれ、恐ろしい音色が人々を恐怖に陥れてきた。まるで人間の断末魔のような響きを発するこの笛を、米ニューヨーク・ポスト紙は、「世界で最も恐ろしいサウンド」として紹介している。

息を吹くと響き渡る「ギャーーーー!」

YouTubeチャンネルのアクション・ラボ(登録者452万人)でもまた、人気プレゼンターのジェームズ・オーギル氏が、「世界一怖い音」としてこの笛を紹介している。

動画で紹介している笛は、出土品の構造をもとに、チャンネル独自に3Dプリンタを使って再現したものだ。

オーギル氏が息を吹き込むと、「ア゙ーーーーッ!」とも「ギャーーーー!」ともつかない、女性の叫び声が大音量で響く。断末魔というにふさわしく、もし街角で聞いたならば、何か大事が起きていると確信してしまうであろう迫真の音だ。

吹き込まれた息は内部で2つの管に分かれ、それぞれ反響して目の部分の穴から出てゆく。異なった部分で振動し反響することで、笛の内部で多数の周波数成分が発生。ちょうど人間の声帯を空気が通過する時と非常によく似た、複雑な音響が再現されるという。

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陶器で再現したYouTuberも震撼「心の底からぞっとする」

YouTubeチャンネル「ファースト・ネイションズ・ミュージック」(登録者1.5万人)では、案内役女性のジーさんがこの独特な笛を紹介。「心の底からぞっとして、非常にけたたましい」音が鳴ると説明している。動画は2018年に公開され、現在までに775万回再生される注目を集めた。

動画ではジーさんが問題の笛を取り出し、実際に奏でてみせる。大きさは手のひらより少し大きいほどだ。ドクロの形状に作られており、鈍く光るブラックの色合いで、陶芸用の希少な黒粘土を使って手作りしたのだという。

頭頂部に開けられた穴からジーさんが息を吹き込むと、「ヒーッ!」という甲高い女性の悲鳴のような音が辺りに響き渡る。先ほどの笛と違って、こちらはハスキーなトーンだが、やはり人間の叫び声独特の切実で身の毛のよだつような感覚をもたらす。

こちらはドクロの下部にも穴が空いているようで、手を近づけたり覆ったりすることで音色が変わるという。手を徐々に近づけると、トーンはやや低い叫び声へと変化。低くなることでいっそう人間味を帯び、不気味さが増してゆく。

敵の威嚇や死者の弔いに使われた?

なぜ笛が作られたのか、はっきりとした目的は不明だ。もっとも、ファースト・ネイションズ・ミュージックは、もともとアステカ文明などに代表される古典期のメソアメリカの部族が使用していた説明している。戦場で敵を威嚇したり、葬儀の行列に使ったりしていたのではないかと専門家たちは考えているようだ。

メキシコでは現代でも年に1度、ディスニー映画『リメンバー・ミー』でも有名になった「死者の日」を盛大に祝う。この祭典の古代版でも、先祖を祀る目的で使われていたと考えられている。

笛を自作したジーさん自身も、いまだに不思議な音色に慣れないのだという。カメラに向かって無邪気に微笑みながらも、「もしも、誰かが森の中で私に忍び寄り、背後からこの笛を鳴らしたならば、うろたえること間違いないでしょう」と語る。

メキシコの先人たちが開発した小さな笛には、人間を本能的に驚かせる大いなる知恵が詰め込まれているようだ。

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「世界一怖い音」を奏でる様子。冒頭から大きな音が出るので、音量にご注意を。

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陶器で自作したジーさん。「本当に不気味で、ぞっとして、骨がガタガタいうような体験を求めているなら……特別にお目にかけたいものがあります」という。