キックボードを街中で乗る文化は、昔もいまも定着しない運命なのか?

  • 文:河内秀子

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BERLIN ベルリン/ドイツ

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第一次大戦後、軍需品製造を禁止されていたクルップ社が開発したかつてのキックボード。自動車より安く、行動派の女性に好まれたそうだ。 © Historisches Archiv Krupp

2019年の導入以来、ベルリンの街中にあふれるシェア・電動キックボードだが、100年以上も前にエンジン搭載のキックボードがあったことは意外に知られていない。1919年、クルップ社が開発したキックボードは最高時速35㎞で燃費は1ℓあたり50㎞、安全で快適だと女性を中心に注目を集めた。しかし価格が給料3カ月分以上と安くなく、重さ45㎏と持ち運びも大変だったため、わずか3年で製造は中止されてしまった。そして現在、フランス・パリではシェア・電動キックボードが全面禁止、ドイツでもユーザーのマナーの悪さや車体寿命の短さが問題視され、事故の増加もあって存続が議論されている。果たしてキックボードは、定着しない運命なのか?

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ベルリンでは飲酒運転や公道への乗り捨てが問題に。市内には既に4万7千台もあるが、さらにパリで用済みとなった中古品が届くとか……。 © Photo: Gianni Plescia

※この記事はPen 2023年11月号より再編集した記事です。