400年前の絵画に“Nikeのスニーカー”が発見される…「タイムトラベラーの仕業?」と話題に

  • 文:宮田華子

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@NationalGallery – Xのキャプチャ画像

17世紀にオランダの画家フェルディナンド・ボルによって描かれたある肖像画が話題になっている。

「フレデリック・スリスケンの肖像」というタイトルがついたこの絵画は、ボルの妻のはとこである8歳の少年が描かれている。裕福なワイン商人の息子である少年がゴブレットを手に持ち、マントを羽織った装いでたたずんでいる。

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ナショナル・ギャラリー(ロンドン)に展示されていた「フレデリック・スリスケンの肖像」(中央)。@nationalgallery – Instagramのキャプチャ画像。

レンブラントの弟子であったボルのこの名画がなぜホットトピックとなったのか? それはこの絵を見たイギリス・ワイト島在住の母娘の「ある発見」がきっかけだった。

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フェルディナンド・ボル(1616-1680年)の『自画像』。

フィオナ・フォスケットさん(57歳)は、23歳の娘ホリーさんと一緒にロンドンにある世界的美術館「ナショナル・ギャラリー」を訪れた。そしてこの作品を鑑賞中、細部に「奇妙な点」を見つけた。

フィオナさんが注目したのは少年の靴の部分。

 

少年の靴の内側に、Nikeのロゴそっくりの模様があることに気づいたのだ。

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はっきりとNikeのロゴマーク「スウッシュ」が見える。@NationalGallery – Xのキャプチャ画像

 Sunの取材に対し、フィオナさんはジョークを交え、下記のように語っている。


「絵を見ていて、(描かれている)スニーカーがとても気になったんです」

「(それで)娘に『ちょっと見て!この子、Nikeのスニーカー履いてる?』と言ったんです」
「(描かれた少年の)歳を考えると、きっと彼にとってこれが初めて履いた『Nikeスニーカー』だったはずですね。もしくはこの少年はタイムトラベラーだったのかも?」

靴をよく見ると、スニーカーにしては紐がリボンほどの太さになっているが、シュータンの位置や高さ、ソール部分、ライナーの形も含め、スニーカーそのものだ。そこにしっかりNikeのスウッシュも刻まれているのだから、「少年がタイムスリップして、Nikeのスニーカーを持って帰ってきたの?」と言いたくなるのも理解できる。

フィオナさんの「発見」に対し、ナショナル・ギャラリーの対応は粋なものだった。2022年8月24日、同ギャラリーは公式X(当時Twitter)で下記のツイートをした。

 


(ツイート訳)「フェルディナンド・ボルは1680年の今日、亡くなりました。現在当館がローン中の魅力的な作品『フレデリック・スリュイスケンの肖像』は、ワイン商人の息子を描いています。彼の靴をよく見てみると、より『現代的』なディテールのようなものを見つけられるかもしれませんよ。発見できましたか?」

1年前のツイートだが、今年5月以降MetroやDaily Mail等、多数のメディアが相次いでこの絵について報じたことで注目されることとなった。

この作品は個人所蔵の絵画であり、暫くの間ナショナル・ギャラリーに貸し出されていた。

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残念ながら現在、同ギャラリーではこの作品を展示していない。しかし「タイムトラベラー説」が盛り上がることで、状況が変わるかもしれない。

またどこかでこの名画を鑑賞する機会があることを期待したい。

 

【次ページ】他にもある!「数世紀前の名画にiPhone?」

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古い絵画に「現代に誕生した製品」に見えるものが描かれている事例は他にもある。下記2つはiPhoneらしきものが描かれた作品だ。

 


女性がiPhoneを手にしているように見えるが…。オランダの画家ピーテル・デ・ホーホが1670年に描いた「Young Woman with a Letter and a Messenger in an Interior(手紙を持つ若い女性と室内にいる配達者)」(オランダ・アムステルダム国立美術館所蔵)。タイトルからも分かるように女性が持っているのは手紙だが、アップル社CEOのティム・クック氏もこの絵をオランダで初めて見た時に驚いたと言われている。

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フェルディナント・ゲオルク・ヴァルトミュラーが1860年に製作した『The expected one(期待を寄せるもの)』(ドイツ・バイエルン州絵画コレクション所蔵)。約160年前の絵画だが、「女性がiPhoneを持って歩きスマホ!?」と話題になった。しかし女性が手に持っているのは祈祷書と判明済みだ。