セダンを絶対あきらめない! BMWが送りだす最新EVの「i5」は、高速が得意だった

  • 文:小川フミオ

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クルマのカタチにはトレンドがある。1970年代はセダンが流行り、80年代はハッチバック、そして2000年代以降はSUVがよく売れてきた。

BMWは、同社の看板車種のひとつであるセダン、5シリーズのフルモデルチェンジを敢行。23年7月に発表した。 

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アグレッシブな雰囲気が強くなったi5 eDrive40 M Sport。

 ドライブトレインは、ガソリン、ディーゼル、プラグインハイブリッド、それにピュアEV「i5」と、多岐にわたる。コストのかかったモデルチェンジだ。

「BMWにとってセダンは中核の車型であることは、いまもって変わっていません。この5シリーズに加え、3シリーズと7シリーズ、それがBMWのメインピラーなのです」そう語るのは、9月終わりにポルトガル・リスボンで開かれた試乗会で会った、BMWのクリストファー・ワイル。乗用車部門のエクステリアデザインのトップだ。

「セダンほどエレガンスを感じさせる車型はないと思っています。BMWでは、プロポーションに気をつかってデザインしているので、競合といえども、匹敵するモデルはつくれていないと自負しています」 

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ボディ側面の下部からリアにかけて持ち上がるキャラクターラインがスポーティ。

BMWが初代5シリーズを世に送り出したのは、72年。エレガンスと軽快さを同時に感じさせる美しいプロポーションと、直列6気筒まで用意しての走りのよさで、世界中に衝撃を与えた。

存在感はわりと控えめ。

でも、じつはよく走る。そんなイメージと、4灯式ヘッドランプをもつフロントマスクを、ずっと守り続け、今回は第8世代になった。

新型のボディ面での特徴といえば、全長、全幅、全高が拡大した。

従来型に対して、全長は97ミリ延びて5060ミリに、全幅は32ミリ拡大して1900ミリに、全高は36ミリ上がって1515ミリとなった。ホイールベースは20ミリ延長されて2995ミリだ。

サイズが拡大した理由について、ワイル氏は下記のように語る。

「ピュアEVのi5はバッテリーを床下に収めるので、車高が上がってしまいます。それでも、SUVでなく、あくまでもセダンにしたかったので、全長を伸ばすなどして、プロポーションを整えた結果です」 

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全高が高くなるぶん全長をすこし延ばすとともにルーフラインで流麗さを強調。

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単にサイズを延ばしただけではない。エレガンスさを演出するために、ワイル氏が率いるBMWのデザインチームが採った手段は、Cピラーを細く見せることだった。

「Cピラーを細くして寝かせ、トランクの前後長を短めにしました。セダンは3ボックスと定義されるスタイルを2.5ボックスという感じにし、かつクーペ的な印象を打ち出しました」

先に発表された7シリーズとi7は、キャビンを目立たせ、室内空間の広さを印象づけるデザインだったけれど、5シリーズとi5はその逆。流れるようなルーフラインを心がけたそうだ。 

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”クリスピー(鋭角的)”な表現が強調されたフロントのデザイン。

フロント部分の造型は、金属の塊を鋭い刃ですぱっすぱっと切り落としていったような雰囲気。面ごとに光の反射ぐあいが異なり、それが大胆で斬新な印象だ。

ヘッドライトはかろうじて4灯だし、BMW車の最大の特徴でもあるキドニーグリルももつが、かろうじて輪郭が残るのみ。ライトを点灯すると、グリルの輪郭に沿ってLEDが灯り、夜間だろうと、ひと目で新しい5シリーズとわかる。

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フロントグリルがブラックになる仕様のi5 M60 xDrive。

今回、日本で発売されたモデルは、「BMW i5 eDrive40」と「i5 M60 xDrive」。i5 eDrive(イードライブ)40は、81.2kWhのバッテリーと組み合わされた、最高出力250kWと最大トルク430Nmを発するモーターを1基搭載した後輪駆動。

i5 M60 xDriveは、同じ出力のモーターに加えて、192kWのモーターを前輪駆動用に追加。トータル出力442kW、最大トルク820Nmで、4輪を駆動する。

私はまず、 i5 eDrive40 Mスポーツというモデルをドライブ。リスボンの市街地を少し出ると、そんなに高くないが山がいくつもある。高速からそこへ入って、カーブの続く山岳路を走った。

結論をいうと、たいした出来のよさに感心させられた。スムーズで、かつ、電気自動車らしくない、というか、アクセルペダルを踏んだときの力を出かたが、エンジン車のように、ある程度までゆるやかなのだ。 

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高速道路でも驚くほどの加速性を味わわせてくれた。

 そこから先は、いっきに加速していく。ひとむかし前の電気自動車といえば、大きなトルクをいきなりドンッと出すような設定のクルマが多かったように思うけれど、そうではなく、大トルクのエンジン車のような気持ちのいい加速感がうまくつくられている。

加速する気になると、速度はおそろしいほどのいきおいで上がっていく。さらに瞬発力が欲しいとき(レース場でなければ必要なさそう)は、ステアリングホイールに設けられたレバーを使うことで、瞬間的だがさらにトルクが上乗せされる。

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フロントカメラを使ってリアルタイムの映像やARナビの画面が観られる。

ただし、ビジネスアスリートを標榜してきた5シリーズだけあって、暴力性はない。ステアリングフィールも、やたらクイックではなく、いい意味で適度。

ステアリングホイールを通して路面とのコンタクトは保てるのは、よく出来たスポーツカーのようだ。 

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インタラクションバーといって、ダッシュボード水平に色が変化する帯が設けられた。

そして静かだ。おかげで、バウワースアンドウィルキンスのオーディオシステムが堪能できる。

このシステムのいい点は、繊細な音の再生がひとつ。アイススパイスやBLACKPINKのようなヒップホップだとやや低音の再生が弱い部分もあるかもしれないけれど、民族音楽とかギター中心のジャズにはとてもよい。

音が前から聞こえてくるので、ステージが自分の前にあるように感じられるほどだ。これはもうひとつのいい点。 

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i5 M60 xDriveよりスポーティな雰囲気のシートと太巻きステアリングホイール。

i5 M60 xDriveは、数値のとおり、パワフルだ。”超”をつけたくなるほど、パワーの恩恵を感じられる加速力を味わわせてくれる。

大きなトルクを受け止める操縦性能をもっていて、5メートルを超えるボディなのに、2人乗りのスポーツカーを運転している錯覚にとらわれそうなほどだった。

インフォテイメントの充実ぶりも、新世代のBMWならでは。試乗したリスボンには、BMWが設立して、本社と現地雇用の優秀なエンジニアやデザイナーからなる「クリティカル・テックワークス Critical TechWorks」なるソフトウェア開発会社がある。 

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さまざまなゲームアプリをダウンロードして乗員全員で楽しめるのもセリングポイント。

i5では、乗員が最大5人まで、じぶんのスマートデバイスをオンラインでつなげて対戦型ゲームを楽しめたり、ブンデスリーガ(ドイツ)の試合の録画を観られたりする。

コンテンツは各国の法人が担当しているとのことで、日本では日本のコンテンツが、続々とアップロードされるそうだ。

ファントゥドライブ、つまり走りを楽しませることがBMW車の本質だと思っていたが、「若いゲーム世代にも”BMWっておもしろい”と感じてもらうために、アプリは重要です」とプロダクトマネージャーのオリバー・ムンダーは語った。

BMW i5 eDrive40は「エクセレンス」と「Mスポーツ」なるふたつの仕様がある。価格はどちらも998万円。いっぽう、BMW i5  M60  xDriveは1622万8千円となっている。

BMW i5 eDrive40

最高出力:250kW(340ps)
最大トルク:400Nm
全長✖️全幅✖️全高:5060✖️1900✖️1515ミリ
トランク容量:490リットル
価格:¥9,980,000(税込)

BMW i5  M60  xDrive

最高出力:442kW(601ps)
最大トルク:795Nm
全長✖️全幅✖️全高:5060✖️1900✖️1505ミリ
トランク容量:490リットル
価格:¥15,480,000(税込)