法改正で利用者が急速に増加…茨城発の国産キックボード「Model One S」とは?

  • 文:野呂エイシロウ

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Kintoneの「Model One S」¥99,800

最近話題のキックボード、筆者も家の近所にシェアサービスのループがあって、結構使っている。全国に 3800箇所ものポートがあり(2023年8月時点)、家の近所にもいくつもあって非常に便利である。短距離は電動キックボード。中距離は電動自転車と使い分けている。使い方は簡単。アプリに登録して、利用可能なポートを選び、あとはQRコードを使って申し込む。返却するのもアプリで簡単に行える。

料金も非常に安価である。5分ぐらいだと200円いかないぐらい。僕は観光で使っているわけではない。移動手段として使っているので、一回の使用料金も非常に安価である。

法改正で、より身近に

そんなキックボードだが、今年7月に法律改正が行われた。簡単に言うと、16歳以上なら免許不要。ヘルメットの着用が努力義務に。でもなんでもOKというわけではない。特定小型原動機付自転車(以下 特定小型原付)に限るという。特定小型原付というのは、大きさが、長さ190センチ以下、幅60センチ以下。時速制限や、保安基準を満たすなど、ざまざまな条件もある。だから使うときには要注意が必要だ。

もちろん、安全に乗りたかったら法律以前に、自分でヘルメットを用意するなどさまざまな工夫が必要だ。電動キックボードは、シェアもいいが、希望する時になかったり、すぐに使えない不便さもある。あとは自分のものではないということで、愛情をもって大事に使わないということもあり得る。

国内生産のモビリティ「Model One S」

最近は、自分で購入したいという人も増えてきた。国産モビリティメーカーのKintone(茨城県常総市)は、2015年から電動モビリティを製造してきた。

「『Model One S』は、国内生産にこだわり、高い技術力をもった専門スタッフが一つひとつ丁寧に製造しています。そのため、小型でありながら高いパワーを備えており、見た目からは想像できないほどパワフルな走行が可能です。またKintoneの代名詞であるスタイリッシュなデザインはそのままに、多くの方が手に取りやすい手頃な価格も魅力の一つです」と株式会社Kintone取締役社長の辻本諒氏は語る。

筆者は自転車が好きだ。車も好きだ。レンタルでもいいが、やはり自分のものであってほしいと思う。自転車は特にさまざまなカスタマイズもしている。ゆえに所有感というのがある。筆者はゴルフもするが、使用するクラブは愛情をもってメンテナンスをして使っている。それが心に響く。心に染み込むのだ。

電動キックボードも同じだろうと思う。このキントーンのModel One Sは、これから、ユーザーの方にどんな使い方をされると想定されるのだろうか?

「Model One Sは、また、観光地やレジャースポットでの利用が想定されます。折り畳めば非常にコンパクトになり、簡単に車に積むことができます。また都市部での短距離移動や通勤にも最適です。ユーザーは交通渋滞を回避しながら、迅速かつスタイリッシュに目的地に移動できます」と辻本氏。

車のトランクに入れれば観光地まで移動できる。折り畳み自転車よりも気軽である。ときにはケースに入れて公共交通機関で持ち運ぶこともできるかもしれない。そう、この気軽な乗りものは、観光の幅を広げることだろう。だが、メインは都市部におけるニーズが高いのだろう。やはり長距離移動には向かない。筆者もせいぜい10分迄の移動である。それ以上になるとタクシーを使う。

というのも、東京で地下鉄を使うと、毎日1時間はロスが出る。地下に入ったり登ったり、ホームを移動したり、電車の時間を待ったり、さまざまなロスが生まれる。だが、電動キックボードやタクシーは直線で目的地にむかえる。もちろん自転車も。

新型キックボードを今冬に発売

「Model One Sの次の展開では、さらなる技術革新と利便性の向上に注力した新型の電動キックボードを冬に販売する予定です。バッテリーの持続時間の延長やスマートな機能の追加、より快適で安全な乗り物の提供など、ユーザーのニーズに応えるために進化を続けます。」と辻本氏

5月の発売以降好調な売上でバックオーダーも抱えているという。2023年7月の改正道路交通法施行により自転車と同じルールで走れるようになった電動キックボードだが、普及に伴い事故も増えている。そのため、バイク自賠責への加入や、ナンバープレートの取り付けは必須なのである。

自賠責保険への加入は必須

「自賠責保険は購入店やインターネット、コンビニエンスストアなどで加入できます。購入時に店舗にて加入するのが楽なのですが、中には保険手続きに対応できない販売店もあるので注意が必要です。自動車のように自賠責に入らないと車体の引き渡しをしてもらえない、という仕組みではないので、現状では自賠責に入らずに走行してしまうことも懸念されます。なお、購入して所有する場合は自身での手続きが必要ですが、シェアリングやレンタルの場合は原則サービスに保険も含まれています」と語るのは保険クリニックの入江里衣子氏。

だが、自賠責保険だけでは補償が十分でない可能性もあるという。なぜかというと、相手方に死亡・ケガを負わせたさせた時の対人賠償しか補償されていないからである。「相手を死亡させたら被害者1名につき3,000万まで、相手が障害を負ったらその程度により4,000万までと最低限の限度額に設定されています。なので、対人賠償が高く設定できたり、相手の物を壊した時の対物補償や自分に対する補償がある任意保険のバイク保険も加入いただきたいです。ネットで新規加入した場合、プランや年齢にもよりますが対物・対人・人身傷害を無制限に設定すると年間70,000円台~80,000円台くらいからです」と入江氏。

更に普及が続く電動キックボード。多分、あと数年もすれば、電動自転車並みに普及することだろう。事故やトラブルも増えると思うが、筆者はどんどん新しいものが街に増えていけばいいと思う。それが進化であり、発展だと思われる。

20年ほど前に話題になったセグウェイもいつの間にか消えた。果たして、電動キックボードのブームはいつまで続くのだろうか?意外に定着するのではないかと筆者は睨んでいる。