【Penが選んだ、今月の読むべき1冊】
『1973年に生まれて 団塊ジュニア世代の半世紀』

1973年生まれの著者は、世にいう「ロスジェネ世代」。そんな立場から、自身の生まれ育った80年代以降の日本に起きた出来事や世を騒がせた話題、事件などを時系列に沿って振り返っている。象徴的なのは、よくある世代論とは異なった形で、しかも必要以上にノスタルジーに浸ることなく(むしろ、それを意図的に避けている)、淡々と“事実”を追っている点。あえてそうした構成にすることによって時代の輪郭を浮き上がらせ、そこに“73年生まれ”たちの実像を過不足なく投影しているのである。
※この記事はPen 2023年10月号より再編集した記事です。