「恐れ知らず!」プロMTB選手が今度は4輪自転車を自作、オフロードを駆ける

  • 文:青葉やまと
Share:
スクリーンショット 2023-09-13 14.41.02.png
Sam Pilgrim-YouTube

4つのタイヤで走行する、風変わりなDIY自転車が誕生した。開発したのはイギリスでマウンテンバイク(MTB)競技のプロ選手として活躍する、サム・ピルグリムさんだ。サムさんは本格的な競技に挑む傍ら、ユニークなYouTubeチャンネルを運営。これまでにも、弟で同じくプロMTB選手のレヴィ・ピルグリムさんを巻き込みながら、巨大な羽を背負ってジャンプ後の滞空時間の延長を目指すなどのチャレンジを実施している。さまざまな企画で自転車の楽しみを伝えるのが彼のスタイルだ。

今回開発した4輪の自転車は、著名メーカーであるCyanon製の「Stitched(スティッチ)360」ダートジャンプバイクを採用。本来はジャンプ台から宙に舞う身軽さが売りのダートジャンプバイクだが、フレームを一部改造して前後を2輪ずつに増設。バギーのような安定感ある車体を完成させた。

以前チャレンジした独自の3輪自転車が原型に

実はサムさんは今年2月のプロジェクトで、ダートバイクを3輪自転車に改造している。今回の企画は、この自転車をさらに発展させたものだ。3輪自転車では既に、リアのタイヤを2輪に作り替えていた。強度確保のため、リアはよく使われる26インチよりも小さな、20インチ径のタイヤを使用。50〜60センチほど互いに離して取り付けた。

ペダルを漕ぐと動力はチェーンを介し、後部に伝達される。2つのタイヤをつなぐシャフトの部分に回転が伝わり、通常の自転車と同様に推進力を生み出すしくみだ。変速ギアも装備し、安全のためブレーキディスクを増やして各タイヤに導入するこだわりようだ。

サムさんは完成した3輪自転車を引っ提げ、ジャンプやターンのある起伏に富んだダートコースにチャレンジ。慣れないライド感覚に戸惑いながらも、「ワォ!」「まったく新しい車体だ!」と興奮した様子を見せた。

サムさんによると、コーナリング時のグリップ力は、2輪に増えたリアタイヤによって格段に向上。一方で左右両方の後輪がほぼ常に接地することから、車体をかんたんに左右に傾けて方向転換できる通常のマウンテンバイクとはまったく違う難しさがあったという。

「揺れが凄い!!」プロも困惑の新感覚

今回登場した4輪自転車は、これをさらに突き詰めたものだ。前部に通常径のタイヤをおよそ20センチの間隔で2つ並べ、計4輪とした。通常の自転車ならば前輪は、2つのフレームで両側から1つのタイヤを挟み込むようになっている。サムさんは元から備わる前輪を外し、2つのフレームの外側にそれぞれ1輪ずつを取り付けた。

まずは階段を下って試運転したサムさんだが、新たな自転車のじゃじゃ馬ぶりに振り回されたようだ。1段ごとの段差を2つある前輪がそれぞれキャッチするため、「揺れが凄い!!」とかなり慌てた表情を見せる。しかしそこはプロ選手、巧みなハンドルさばきで難なく段を下りきり、最後はカメラに笑顔を見せた。

続いてサムさんは、バック走行やウイリーなどのテクニックに挑戦。「これは新しい発見だ」と興奮した様子だ。いわく、ウイリーで左右に倒れる心配がなく、前後のバランス感覚にのみ集中すればよいため、練習には打ってつけだという。

なお、4輪になっても方向転換は可能のようだ。身体を片側へ倒し、片輪走行の要領で軽やかなハンドルさばきを見せている。

---fadeinPager---

さすがのワザ…山野のトレイルを自在に駆ける

ここまでは平地でのトライアルだ。いよいよ動画終盤になるとサムさんは、屋外のトレイルコースに挑む。4輪自転車は安定性が高い反面、急な進路の転換が難しい。険しいカーブが連続する山野のコースには、明らかに不向きだ。

しかし、そこはプロ選手。カーブに差し掛かると内側へ向けて身体を車体から大きく乗り出し、体重全体を使って進路を制御してゆく。4輪すべてがほぼ接地した状態にもかかわらず、驚きの俊敏さでコースを制覇した。ときおり華麗に決めるジャンプの瞬間も見事だ。

走り終えたサムさんは醒めやらぬ興奮と成功の喜びで息を荒くしながら、「4輪自転車、これはすごい!これ以上何を望もうというのか」「すごく気に入った」と初のチャレンジを振り返る。

ハンドリングは3輪よりさらに厳しく、ルック&フィールは本来スタイリッシュなマウンテンバイクからはかけ離れたものだとサムさんは言う。だが、難しい自転車を山野で乗りこなすチャレンジはプロの魂に火を付け、充実した1日となったようだ。

自由な発想でマウンテンバイクの楽しさ伝える

マウンテンバイクの楽しさを伝えるサムさんの姿勢が視聴者を魅了した。制作と試運転の様子を収めた動画は、公開から8日間で23万回近く再生されている。

 動画は視聴者に笑顔と勇気を届けたようだ。コメント欄には、「クレイジーで勇敢、恐れ知らず!」「こんなに笑ったことは最近なかった。駆け下りているときの表情といったら!」「サムはいつだってこうしためずらしい装置に取り組んでいて、失敗知らずだ」など温かい声が寄せられている。

 サムさんはこれまでにも、横に並んで乗るタイプの2人乗り用自転車などを制作している。子供のような自由な発想を、大人の実現力でDIYしてしまうサムさんのチャンネルは、これからも驚きの自転車を生み出すことだろう。

 

---fadeinPager---

制御にてこずる4輪バイクを、プロの技量で機敏に乗りこなす。

 

---fadeinPager---

 

2月に制作した3輪自転車が今回のプロジェクトの原型となった。

---fadeinPager---

 

無謀さが楽しい挑戦。ウイングを背負えば滞空時間を稼げる……?