アメリカの国防総省はこのほど、全領域異常解決局(AARO)のウェブサイトを開設した。AAROとは、未確認航空現象(UAP)を調査するために、国防総省が2022年7月に設立した機関だ。UAPとは、これまで未確認飛行物体(UFO)と呼ばれてきた現象のこと。近年アメリカの公的機関では、UFOをUAPと呼び変え、解明に取り組むための機関やプロジェクトを複数立ち上げている。AAROそのものの設置やサイト開設も、その一環だ。
UFO情報のワンストップ・サイトを目指し
国防総省は、このサイトを、AAROやUAPの公開情報を集約した「ワンストップ・サイト」とするのが狙いだとしている。そのため、使命やビジョンといったAAROに関する情報や、機密情報でなくなったUAPの動画や報告書といったUAP情報が公開されている。
「CASES」(事案)とタイトルがついたセクションでは、UAPの正体がすでに解明したものや、いまだ解決していないものも含め、これまで提出された動画で機密扱いでなくなったものが閲覧できるようになっている。例えば、「民間航空機と思われる」飛行物体が映り込んだ、南アジア(詳しい場所は非公開)で撮影された動画や、海軍戦闘機のパイロットが撮影した、UAPが猛スピードで通りすぎる未解決の動画などがある。
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日本はUFOのホットスポット
同サイトにはまた、1996~2023年までに報告された27年間のデータを使い、これまでどのようなUAPが目撃されてきたかの傾向をまとめたセクションもある。形は「丸型」で大きさは「1~4メートル」、高度は「1万~3万フィート」が多いという。
イギリスの大手紙テレグラフは、このセクションに公開されているデータを引用する形で、「日本はUFOのホットスポット」との見出しで、AAROのサイト立ち上げを報じている。
AAROのサイトに掲載されている世界地図には、ホットスポット(UAPが多く目撃されている場所)が示されており、テレグラフによると日本は、「世界3大UFO目撃地の1つ」だ。他の2つは、中東とアメリカのサウスカロライナ州付近だという。
テレグラフはさらに、AAROが公開した地図によると、広島・長崎あたりでの目撃情報が多いと報じている。とはいえ同紙は記事の中で、福島県福島市の飯野町が「UFOタウン」(実際の日本語名称は「UFOの里」)として知られていると紹介している。
議員からのプレッシャー受け、進む情報公開
USAトゥデイによると、AAROのサイト開設の背景には、党派を超えた議員からの、UAPに関する情報を開示するよう行政機関や軍に求める、プレッシャーの高まりがある。
米議会下院では7月、監視・説明責任委員会の国家安全保障小委員会がUAPに関する公聴会を開催。3人の元軍人が出席し、墜落した宇宙船を回収する極秘プログラムの存在を明かし、アメリカ政府が情報を隠ぺいしていると証言した。国防総省はこのようなプログラムの存在を繰り返し否定している。
なお、AAROウェブサイト開設に関する国防総省の報道発表によると、今後このウェブサイトではまず、今秋のうちに、領空侵犯と思われる事案や、人間の技術では考えられない飛行物体について、政府関係者や軍関係者が報告できる機能を持たせる予定だという。さらに将来的には、国民がUAP目撃情報を報告できるようにもする計画だ。
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