「カップルで並んで漕げる」2人乗り自転車をDIY…プロMTB選手の“発想”が凄かった

  • 文:青葉やまと
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Sam Pilgrim-YouTube

マウンテンバイク(MTB)のプロ選手であるイギリスのサム・ピルグリムさんが、2人乗り用の自転車をDIYした。2人乗りというとサドルが前後に並んだ「タンデム自転車」が知られており、今年7月からは日本でも公道の走行が許可されている。だが、サムさんが今回自作した自転車はかなりユニークだ。サドルが並列に設置され、並んで乗車を楽しめるスタイルになっている。

サムさんは自身のInstagramに、この自転車で段差を駆け下りる動画を投稿。13段ほどと短くゆるやかな階段をガールフレンドとの2人乗りで下り、「うわ!」「ナイス!」など短い悲鳴と歓声を交互に上げながら、つかの間のスリルを楽しんだ。

転倒することなく段差を下りきったサムさんは、「最高!」と興奮。彼女もまだ胸の高ぶりが収まらない様子ではあるものの、笑顔で「本当に」と応じている。

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緊張の初テストは、仲が良い兄弟と

この自転車は競技用ではなく、趣味として自作したものだ。前後に2輪が据えられたところまでは通常の自転車と同じだが、車体本体のフレームから左右へと支柱が伸び、2つのサドルを並列する形で備える。完成直後の試運転は、兄弟で同じくマウンテンバイク選手のレヴィ・ピルグリムさんと行った。広くなだらかな丘の斜面に立ったサムさんは、「さあ最初のテストだ。準備はOK?」とレヴィさんに問う。「うん……」と言いながらも、緊張の面持ちのレヴィさん。

ゆっくりと斜面を下り出すと、特製の自転車は予想外にスムーズな走行を見せた。「いいぞ、これはすごい!」とサムさんは興奮し、レヴィさんの顔にも次第に笑みが浮かぶ。ゆるやかなカーブを描きながら芝の上を走る自転車は、左右のバランスも特に危うげなく、安定して走行している。身体同士が密着するため狭苦しそうではあるものの、見事に丘を走りきった。

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「速い!」MTB選手の本領発揮

サムさんの探究心は止まらない。「いまのはまだスピードが足りなかった」というサムさんに連れられ、レヴィさんはより高低差のある丘の上へ。斜面の中腹からで2人でペダルを漕ぐと、2人分の体重を乗せた自転車はぐんぐんと加速。サムさんは「速い!止まらない!」と興奮気味だが、そこはプロの競技選手。声色からして、かなり余裕がありそうだ。

一方、試運転を終えカメラの前に立ったレヴィさんは虚空を見つめながら、「うん、本当に死にそうだったね。僕たちがやってきたことの中でワーストかも」と素直な感想をつぶやいた。それでも自転車が転倒するようなこともなく、試運転は成功に終わったようだ。周囲に人のいないオープンスペースで試乗されており、他の人々への危険もなかった模様だ。

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特殊な構造で2人乗りを実現

構造はどうなっているのだろうか? 自身のYouTubeチャンネルを通じ、サムさんは詳細を明かしている。前方は左右に分岐したサドルと同じ要領で、左右に計2つのハンドルが伸びている。合計4つのグリップで2人分の両手を支持する。右側のハンドルだけが回転でき、角度の変化はシャフトを介して前輪へと伝わる設計だ。前後輪のブレーキも、右側のハンドルだけに装備されている。

肝心の動力は、2人で共同して漕ぐ方式だ。通常ならペダルが設けられている部分から、特製のクランクが左右に突き出ている。「凹・凸・凹・凸」とジグザグに伸びる棒に、4つの足を乗せて交互に漕ぐ形だ。

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「楽しみも2倍!」とご満悦

独自に設計したペダル部分は「とっても造りが怪しいのでどれだけ耐えられるか分からない」というサムさんだったが、実際のところうまく機能した。2人並んで乗れる自転車は「楽しみも2倍」と満喫し、兄弟やガールフレンドとの絆を深めたようだ。

登録者数193万人を誇るサムさんのYouTubeチャンネルでは、このほかにもエンジンとプロペラ背負い加速度を高めた自転車など、ユニークな発想が続々と形になっている。なお、日本の公道を走行する場合、自転車にも保安基準があるため、独自にDIYした車体に乗らないよう注意したい。

もちろんサムさんのチャンネルでは、奇抜な車体だけでなく、プロ選手の技量に息を呑む爽快なトレイルライドの動画なども多く掲載されている。自転車の楽しみを多方面から伝えるサムさんは、高い技巧とユニークな着想でファンに愛されているようだ。

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2人横並びで自転車に乗り、階段を走行する動画。通常の自転車とはひと味違うスリルがある。

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2人で漕げるよう、構造に工夫を凝らした。

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昨年12月には、プロペラを搭載し加速度を追求。「これまでで最高の発明!」と満足げだ。

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野外のトレイルで爽快なライドを楽しむサムさん。DIYの才能だけでなく運動神経も抜群だ。