理想的な歳の重ね方 65歳となったミシェル・ファイファー、“自然体”のインスタグラムが人気

  • 文:中川真知子
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SNSの普及によってセレブリティとの心理的距離がぐっと近くなった。ひと昔前なら銀幕を飾るスターの自宅やスッピンを見るなど叶わなかったが、今はリラックスした自然体をシェアする人が増えてきている。

ミシェル・ファイファーもそのひとり。1980年代、90年代の“ドル箱スター”としてさまざまな作品に引っ張りだこだった彼女。当時はつくり込んだメイクの印象が強かったが、現在ではInstagramで惜しげもなくスッピンを披露。理想的な歳の重ね方と自然体が人気で、フォロワーは300万人を超えている。

フォロワー300万人を突破し、感謝のメッセージを綴ったミシェル・ファイファー。

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かつてのセックスシンボルとして

ミシェル・ファイファーは90年代のセックスシンボルのひとりだ。

セックスシンボルと聞くと、マリリン・モンローを思い浮かべる人も多いかもしれないが、セックスシンボル自体は男女関係なく官能的で性的魅力に溢れている人を意味している。その言葉や概念が生まれたのは、1910年頃からだと言われており、時代の流れと共に少しずつニュアンスを変えている。

若き日のミシェル・ファイファー。

例えば、50年代までは性的魅力の側面が強かったが、60年代に入ると、欧米社会における性革命と性解放の象徴と言った意味をもつようになった。

ミシェルは、90年代のセックスシンボルとして作品の集客に大きく貢献してきた。

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掴みどころのない雰囲気と歌唱力

ミシェル・ファイファーの代表作は数えきれないが、『バットマン リターンズ』(1992年)で演じたキャットウーマンは性的魅力の範疇を超えた魅力があり、彼女のキャリアを語る上で外せないだろう。実際、ミシェルのInstagramの記念すべき初投稿はキャットウーマンだ。

『バットマン リターンズ』のキャットウーマンはミシェルの魅力が集約されていた。

歌唱力も高く、『恋のゆくえ/ファビュラス・ベイカー・ボーイズ』(1989年)では歌手を演じているが、全て本人が歌っている。

2000年代には家庭を重視したり、役を選びたいというミシェルの希望もあって、銀幕からしばらく距離を置くものの、ミュージカル映画『ヘアスプレー』(2007年)でカムバック。自慢の美貌と枕営業でミス・ボルチモアを勝ち取った白人至上主義者という繊細なトピックを扱う難しい役どころだったが、評論家からも高い評価を得る結果となった。

『ヘアスプレー』に出演したミシェル。

後年のミシェルは、気高い役を演じることが多い。普段は隙がなさそうに見えるからか、Instagramに投稿される屈託のない笑顔や自然な姿は、ギャップという点でも愛されているのだろう。それに、老いすらファッションに取り入れて楽しんでいる様子は、見る人に憧れを抱かせる。そして、シンプルでセンスのいいファッションは、中年になって服選びに悩んでいる筆者のような人間にとっても参考になる。

彼女のInstagramが人気なのも納得だ。

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フラットサンダルのコレクションを披露し「今日はどれを履くべき? 」とファンにアドバイスを求めた。
黒縁メガネはミシェルのお気に入りだ。
20歳当時のミシェル。
『ローリングストーン』誌に掲載された一コマ。