「床は溶岩ね!」子ども時代の空想を、オトナが本気で実写化したらすごかった…1.5億再生の“大作動画”とは?

  • 文:青葉やまと
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動画のワンシーン。RocketJump-YouTube

子ども特有の自由な想像力を、もしもオトナが本気で映像化したら……。そんな動画がネット上で伝説級の人気を博している。短編映像を手がけるYouTubeグループ「RocketJump」が製作した、『The Floor is Lava(床が溶岩に)』だ。

2017年の公開以来、抜群のアイデアと高い映像クオリティが視聴者の心をつかみ続けており、これまでに1億5100万回以上再生された。トップレベルのYouTuberでも、1動画あたりの再生回数は通常、100万回から数百万回ほどに留まる。その数十倍から100倍という抜きん出た数字だ。

深夜のシェアハウスに訪れた危機

本作は、若い男性たちが共同生活を送るシェアハウスが舞台だ。深夜、アゴ髭の男性、カールが自室のベッドで熟睡しているところ、ルームメイトの眼鏡の男性、クウィンが奇妙な体勢で登場する。ドアにぶら下がって壁に身を寄せ、なぜか床に足を付けないようにしているようだ。

棒でさんざんカールを叩いて起こそうとするが、信じられないほどの大爆睡中。クウィンはドアから壁へ、壁から本棚へとしがみついて移動しながら近づき、やっとのことでペットボトルの水を掛けて目覚めさせる。

クウィンの不自然な体勢の理由は、すぐに判明する。水を浴びて怒りに燃えるカールがベッドから降りようとすると、床には一面の溶岩が。うっかりズボンの裾を焼かれるも事なきを得るが、窓の外では町が火の海になっている。どうやら外の地面を溶岩が流れ、床まで上がってきているようだ。

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ピンチで試される男たちの結束

やっとの思いでリビングに避難した二人は、ルームメイトの長髪の男、ブレットと遭遇。お調子者のブレッドはソファで悠々とあぐらを決め込み、余裕のポーズ。床の溶岩で熱々のチーズ・サンドウィッチを調理してご満悦だ。

しかし、悠長な場面もつかの間、あるアクシデントを契機に危機が加速してゆく。男たちはときに支え合い、ときになじり合いながら、リビングに流れる溶岩をかわしてゆく。

緊迫感あふれるシーンが続く中、ときおり顔を見せるミスマッチなセリフは必聴。「ズンバ・ダンスのフィットネス教室に来ていれば、もっと身軽に非難できただろうに!」と、絶妙にキマらない恨み節が飛び交う。

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ソファが陥落。天井裏への退避なるか…

そうしている間にも、溶岩は刻々とせり上がる。ソファが溶岩に沈み居場所を失った男たちは、どうやら天井裏の物置部屋に滑り込みたいようだ。しかし、行く手を溶岩に阻まれ、厳しい決断を迫られる。果たしてルームメイトたちの運命は。気軽に楽しめる6分ほどの尺にまとまっているので、ぜひYouTubeの動画を観てほしい。

誰しも、学校の帰り道やひとり留守番している時、「横断歩道を踏み外したらそこは溶岩」「カーペットの外はきっと奈落」など、自分だけのルールで遊んだ思い出があることだろう。本作は遠い日の記憶を、映像のプロ集団が本気の“悪ふざけ”で実写化した力作だ。

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撮影の舞台裏から、チームの仲の良さがにじみ出る

撮影の舞台裏も公開されている。観る時はほんの数分の動画だが、撮影には準備日を含め4日をかけたという。郊外にあるメンバーの自宅に撮影機材を持ち込み、すべてを室内で完結させた。

現場は和気あいあいとしていたようだ。ブレット役の男性が「実は溶岩での撮影経験はそれほどなくてね」とおどけると、音響担当のスタッフから「溶岩の演技経験は実に豊富だよ、と言うべきでは?」とつっこみが。ブレットは「しまったー!」と陽気だ。

ほがらかなムードだが、技術面では入念な用意を行った。床にはもちろん本物の溶岩は流れておらず、あとからソフトウェアで合成している。しかし、単純な床のままで撮影すると、演者の身体に炎の照り返しが生じず不自然な合成結果になってしまう。

そこで、あらかじめ暖色系のライトを床面に多数配置し、光源の矛盾が生じないよう留意したという。

映画データベースにも登録

本作は動画作品として、映画データベースのIMDbにも登録されている。撮影にあたり、ドイツの光学メーカー・カールツァイスが機材面で協力。同社の公式YouTubeチャンネルでも紹介された。

公開から5年が経つ今も再生数を伸ばしており、いまだにYouTubeのおすすめに表示されたとの声も聞かれる。イマジネーションを具現化した本作は、溶岩よりも熱く製作陣の情熱がたぎる、小さな大作だ。

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作品本編。誰もが抱いた空想が、本格的な映像作品に仕上がった。

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撮影の舞台裏。赤いライトを床に多数配置し、溶岩の照り返しが得られるよう気を配っている。

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カールツァイス社にも紹介された。