永井酒造のランドマーク「SHINKA」がオープン。招待状が付く貴重な熟成酒も発売

  • 文:海老原光宏

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群馬県利根川源流域にある川場村から世界へ日本酒を発信している永井酒造が、ブランドの世界観を表現する施設「SHINKA」を8月1日にオープンした。オープンを記念し、2008年の熟成酒シリーズ「THE MIZUBASHO PURE 2008」「MIZUBASHO VINTAGE 2008大吟醸」 「MIZUBASHO VINTAGE 2008」を発売。SHINKAへの招待状が同封されている。

永井酒造は1886年創業。「水芭蕉」「谷川岳」の2銘柄を造る、スパークリング日本酒(awa酒)のパイオニアだ。SHINKAはテイスティングルームと醸造研究所を併設し、同社の進化の歴史と、アドバンスドな日本酒の真価を存分に楽しめる。

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テイスティングルーム。窓外に広がる水田では、川場村が誇るブランド米「雪ほたか」が栽培されている。川場村は標高400mに位置し、昼夜の寒暖差が10度以上あるため良質な米が育つという。

インテリアはオーナー夫婦の家に招くをコンセプトに、明るく暖かみのある雰囲気。展示スペースを経てたどり着くテイスティングルームでは、風光明媚な水田を眺めつつ日本酒を味わえる。テイスティングプランは、日本酒3種を提供。お酒に合わせたグラスで供されるため、日本酒の奥深さをより楽しめるだろう。

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料理人マカロン由香氏による発酵をテーマとした3品が供されるペアリングコースもある(別料金)。

また特筆すべきは、併設された醸造研究所だ。実験的な日本酒を小ロットで醸造し、「ラボ SAKE」として、SHINKAのみで試飲、購入できるというスペシャルな機会を提供している。もちろんテイスティングプランの1杯に組み込まれているので乞うご期待だ。提供されるラボ SAKEは時期によって代わるので、定期的に訪れたくなる。

SHINKAは1日1組の利用のみ。利用するには、8月1日に発売となった3つの2008熟成酒に同封されている招待状記載のQRから申し込める。対象の熟成3酒、「THE MIZUBASHO PURE 2008」(33000円)、「MIZUBASHO VINTAGE 2008大吟醸」(19800円)、 「MIZUBASHO VINTAGE 2008」(39600円)は、取扱店もしくは、永井酒造のホームページから購入可能。それぞれ180本、350本、600本の本数限定なので早めに検討したい。

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左から、MIZUBASHO VINTAGE 2008大吟醸、THE MIZUBASHO PURE 2008、MIZUBASHO VINTAGE 2008

熟成スパークリング日本酒「MIZUBASHO PURE」、熟成酒「MIZUBASHO VINTAGE」は、現社長である6代目蔵元の永井則吉氏が、家業に入り、世界で通用する日本酒を追求することで生まれた。

グローバルではワイン、シャンパンは世界中で飲まれている。日本酒の世界での市場規模は2022年88億ドル、対してワインは2020年で3400億ドルと約40倍のマーケット差がある。これは裏を返せば日本酒がここまで成長できる可能性があるということだ。過去の日本酒はワインのように寝かせて味わいを熟成させるもの=ビンテージがなく、またスパークリングワインのように乾杯に合う、軽く華やかなものが無かった。その盲点をついたのが永井酒造だ。熟成酒は18年かかり商品化。スパークリング日本酒は構想10年、700回もの失敗を経て誕生。その試行錯誤があるからこそ生まれた美酒だ。 

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永井酒造に湧く仕込み水。

永井酒造の高品質な酒造りを支えるのが、利根川。永井酒造が構える川場村は利根川の源流域で、ほのかに甘味を感じる軟水が湧いている。この口当たりが甘くも、少し苦みが残る水を用いることで、芳醇な日本酒が可能となる。現地を訪れた際には、仕込み水が自由に飲めるのでぜひ味わってみてほしい。お水取りのように、ボトルに収めていく人もいるという。

まだまだ市場拡大の余地がある日本酒。ラグジュアリーマーケットを目指すスパークリング日本酒が最近増えているが、歴史から造り出される酒は一歩も二歩も先を行く。ぜひSHINKAで日本酒の進化を味わってみてはいかがだろうか。

永井酒造 SHINKA

住所:群馬県利根群川場村門前713
TEL:0278-52-2311
https://shinka-nagai.jp/
www.nagai-sake.co.jp/