英イングランドに住む一家が、ビーチにアートを描き続けている。特別な画材は使用せず、浜辺に転がっている小石が画材だ。数百という石を並べて完成したアートは、まるで絵筆で描いたかのような驚きのディテールとなっている。
ボーダーコリー犬を描いた最新作では、数多くの小石を根気よく配置して完成させた。天然の石を色ごとに巧みに使い分けたこのアートは、ブラックとホワイトの毛並みが美しいボーダーコリーの特徴をよく捉えている。
白い小粒の石を配したことで、目には光が宿る。前足を上げた躍動感あるポーズを取っており、いまにも絵から抜け出して駆け寄ってきそうだ。
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わずかな色の違いを見分け、繊細なアート作品に
ビーチに転がる石は一見どれも灰色に思えるが、よく見ると濃淡の違いがあり、なかには仄かに色味を帯びたものも存在する。
ボーダーコリーの作品では、明暗がはっきりした白や黒のピースは頭部に、そしてわずかにベージュがかった小石は白と混ぜて胸部に……と使い分け、温かく立体感のあるアートを描き出した。顔の部分は小粒の石で解像度を高めるなど、大きさの使い分けにも工夫が光る。長くふっさりとした特有の毛並みは、ウェーブのかかった流木をアクセントに添えることで表現した。
一家が作品をTikTokやInstagramなどで公開すると、視聴したユーザーからは多くの賛辞が贈られた。コメント欄には、「サンドストーン・アートの傑作。とても素晴らしい!」「信じられない!!」「言葉にならない」などの感想が溢れている。
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小鳥にウミガメ…家族で描いた力作の数々
これまでにも一家は、多数の作品を制作してきた。多くは動物をモチーフにしており、どれも繊細かつ生命感溢れる力作ばかりだ。
昨年末に公開された小鳥のアートは、赤みがかった色や黒などの小石を中心に構成したかわいらしい作品だ。ふっくらとしたコマドリが小枝にとまって小休止する姿を描いている。
この作品では、浜辺に落ちていた羽毛を添え、やわらかなタッチを表現した。また、貝殻を重ねることで小枝に付いた松ぼっくりを構成するなど、ビーチの素材を生かした技法が光る。青や緑で表現した独特の松の葉は、ビーチに流れ着いたガラス瓶のかけらから生み出された。
この家族のInstagramアカウント「@beach4art」ではほかにも、愛らしいウミガメの赤ちゃんや迫力のワシ、透明感ある羽が美しいハチなど、入魂の作品を多数楽しむことができる。
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小石と向き合うアーティストはほかにも
こうした小石を並べるアートの分野では、ほかにも並ならぬ情熱を注ぎ込む人々がいる。精緻な人物画を描くアーティストのジャスティン・ベイトマン氏は有名で、米フォーブス誌にも掲載された。
地面に散らばった小石を、色の濃淡を繊細に読み取って並び替え、白黒やセピア色の肖像画に仕上げるのがベイトマン氏のスタイルだ。今年公開された動画では、猫の絵を制作する工程を垣間見ることができる。カメラは何もない砂地を真上から捉え、氏が忙しく手を動かし小石を配置している。
はじめは何をしているのか分からないが、あれよあれよという間に地面に絵の片鱗が出現してゆく。徐々に凜々しい目元が姿を現し、陰影のくっきりとした精悍な猫が描かれてゆく様は圧巻だ。
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散乱していた小石が入魂の絵画に
このほか、ベイトマン氏によるYouTube動画では、レオナルド・ダ・ヴィンチによる女性の肖像画『Testa di Giovinetta』の制作工程をタイムラプスで紹介している。地面に散らばる小石の位置を入れ替えていくと、いつの間にかリアルな女性像が出現する。
ビーチや路傍の小石を、まじまじと見つめる機会は少ない。立派な作品に昇華させてしまうアーティストの根気には脱帽だ。
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ボーダーコリー犬(静止画)。
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ボーダーコリー犬(動画)。
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小鳥。
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ウミガメ。
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