キャンドルを使った風変わりな錯視現象の動画がTwitterに投稿され、話題を集めている。動画は1分ほどの短いもので、床にキャンドルが乱雑に置かれた状態から始まるが、ある瞬間になると今まで見えなかった図形が姿を現す。脳が理解する瞬間の快感が受け、これまでに1万回以上再生されている。
この動画はTwitterユーザーのNikola 3氏が「どこにでもあるキャンドルを使った、面白い錯視です」としてシェアしたことで話題になり、インドのヒンダスタン・タイムズ紙や英語ニュースチャンネルのタイムズ・ナウなどに取り上げられた。
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薄暗がりにゆらめくキャンドル
動画ではほの暗い室内に多数のキャンドルが並べられ、白いタイル張りの床にはその炎が美しく反射している。手前のキャンドルはやや乱雑に置かれており、それとは別に、奥に向けて2本の線状に並べられたグループもあるようだ。
一定の規則性は見出せるものの、全体としては乱雑な部分を底辺とした大雑把な三角形にしか見えず、とくに興味深いポイントは見当たらない。カメラは床付近で構えているが、続いてゆっくりと上昇していくことで、全体像がよりはっきりと見えるようになる。さきほど2本の線に見えていた部分は、微妙に角度の違う計4本の線に分かれていたようだ。
三角形の頂点にあたる部分は予想よりも入り組んだ図形になっていたことも判明するが、それでも全体としてはやはり三角形か、形の崩れた台形のようだ。
カメラの位置が変わると、見えなかった像が…
ところが、ここでカメラを持った人物はゆっくりと、部屋の反対側へと回る。さきほど奥に位置していた三角形の頂点側に立ち、底辺側を向こうに望む状態だ。まさに「視点の転換」を迎えたこの瞬間、今まで見えていた平面的な三角形や台形の印象はガラガラと崩壊する。
再びカメラが床付近にまで降ろされると、遠近法がさきほどとは逆方向に働き、でたらめな角度に見えていたキャンドルの線が数種類の特定の角度に揃う。ほの暗い室内でゆらめく、美しいキャンドルの大群が描きだしたのは、光のラインに縁取られた整然とした立方体だった。
撮影者がその内部に立つと、まるで立方体が三次元の物体として存在し、人間がその上に乗っているかのような錯覚すら覚える。
動画を見て予想外の展開に驚いたユーザーも多かったようだ。Twitterの投稿には「うわ、素晴らしい!」などのコメントが寄せられた。元の投稿は現在削除されているが、別の複数のユーザーによって再投稿され、引き続きネットユーザーの興味を惹いている。
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興味深いリバース・パースペクティブ作品
動画冒頭では、遠近法を使って床に描いた図形をあえて逆側から見せることで、本来の図形を認識させないテクニックを使っていた。遠近法を逆方向に働かせるテクニックとしてはほかにも、「リバース・パースペクティブ(逆遠近錯視)」というジャンルの錯視画像がある。
代表的な作品は、額縁で囲まれたキャンバスに、室内の様子が描かれているタイプのものだ。正面の壁を中心とし、天井、床、そして左右の壁がほぼ均等な面積で描かれている。錯視現象は、この額縁を見る人が左右に動いた際に発生する。
通常の絵であれば、平面であるため、鑑賞者が左右に動いてもとくに絵の中のパースが変化することはないはずだ。また、実際の立体の部屋であれば、左に歩いた際には左側の壁との角度が浅くなり、右側の壁がより広く見えるようになる。
ところがリバース・パースペクティブの作品では、これと逆向きの現象が起こる。絵の左側に回るほど、現実世界で右側に動いたときのように視界が変化し、鑑賞者を混乱させるしくみになっている。種明かしをした動画がYouTubeで公開されているので、ぜひ不思議な体験とそのしくみを目にしてほしい。
キャンドルによる錯視動画を含め、見慣れたはずの遠近法には、さまざまな表現の可能性が隠されているようだ。
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An interesting optical illusion created with the help of ordinary candles!
— Manwithaplan (@Manwith17887381) July 22, 2023
😳😳😳 pic.twitter.com/zOSYKcViFO
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