猛暑を乗り切るアイテムを探せ!プロたちの夏対策スタイル Part 2【着る/知る Vol.157】

  • 写真・文:一史
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長く暑い夏は心も身体も快適にする服装がベスト。ただしアイテムを吟味して、コーディネートもしっかり考えないと野暮ったく見えやすいのが夏服の難しさだ。そこでファッションクリエーターたちに、当人の私物による実践的なアイテム選びと着こなしを指南してもらった。「プロたちの夏対策スタイル」第2弾の今回登場するのは、スタイリスト井藤成一、アヤメ今泉 悠デザイナー、スタイリスト小野塚雅之の3名。毎日の装いをハイセンスにするコツをぜひ我がモノにしよう。

“夏黒”は素材選びでキマる!麻、メッシュで軽く涼しく/スタイリスト 井藤成一

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麻のチャイナジャケットと麻ショートパンツで井藤さんが爽やかに着た“夏黒”。ベレーは通年で被る彼のアイコンアイテム。

冬と夏で大きく印象が異なる色が黒。夏の黒は重く見えがちで、暑苦しく感じられることも。そこでスタイリストの井藤さんが工夫しているのが素材選びだ。とくに好んで着るのが麻(リネン/ラミー)。「織りが粗いため通気性がよく涼しく、速乾性にも優れます。化繊のナイロンのようなベタつきや湿気がないんです。高温多湿なニッポンの夏には最適だと思います」。いちど着ると虜になるのが麻の魔力。上品な光沢があり、黒でも軽やかに見える点も麻の優れた特性だ。会う人の心を涼しくさせる服選びは、大人が身につけたい装いのマナーである。

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黒服にも白を加えて上品さをアップ。黒を軽く見せる配置により、夜のシーンでも軽快なニュアンスに。

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ポーターの廃盤モデルのトートとバックパック。黒バッグもスポーティなメッシュ素材なら、うだるように暑い夏が似合う。冬と夏でバッグまで衣替えする発想が洒落者の証。

黒のバッグもメッシュにして、見た目も体感も涼しくするのが井藤さん流の夏スタイル。今夏は男女ともに透け素材が大人気で、このバッグもトレンド傾向に即している。「よく使うのが1990年代のポーターのメッシュバッグ。今回お見せしているのは当時に好きすぎて何個も購入した最後のもの。これで終わりですから大事に使おうと考えています」。よいものに出会ったら逃さずまとめて大人買いするのがスタイリストの買い物方法。トレンドに詳しい人こそ、流れに迎合しない普遍的な自分スタイルをよく知っている。

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井藤さんが着ている黒ジャケットは2年前に購入したヨーガンレール。「これほどモダンなチャイナジャケットを見たことがなく、すっかりハマりました」。今シーズンはこの写真のライトグレーの新作も購入。

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光に透けさせた上写真の服がこの麻素材シャツジャケット。サイドポケットつきで機能も充実している。

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今シーズン購入したもう一着のヨーガンレールの麻ジャケット。生地の風合いのよさとブルーグレーの美しさに惹かれてワードローブに加えた。

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全身のバランスこそがコーデの核心。ジャケット+ショートパンツは、Tシャツ+ロングパンツより軽やかな印象だ。体感的にも涼しい着方である。アクセサリーをメッシュ系で統一させ、シューズはナイキ エア ウーブン。あえてレザーサンダルを履かずに典型的なエスニックムードから脱却。

出身地である山口県にオープンさせた、吉田カバンを主軸にしたポップアップストア「RETROP(リトロップ)」のディレクターも務める井藤さん。彼の着こなしにはモダンな大人カジュアルのヒントが満載だ。

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スタイリッシュな跳ね上げ式サングラスがほしくて自身でデザイン/アヤメ 今泉 悠

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今季デビューさせたアヤメ初となる跳ね上げ式サングラスを購入して愛用中の今泉さん。

趣味のいい服装に馴染むニッポン的センスに満ちたアイウェアブランドのアヤメ。デザイナーの今泉さん渾身の新作がこの跳ね上げ式サングラス「ボストン プロ」である。色付きレンズのフレームを跳ね上げても、クラシックモダンな佇まいはしっかりとキープ。ツーウェイ仕様のどちらで使っても美しく洗練された傑作だ。「他ブランドで好きな跳ね上げ式サングラスがあったなら、僕がつくることはなかったかもしれません。でも世の中にないものが自分でほしくてデザインしました。屋外と室内を行き来するとき、これがあると最高に便利です」。道路とトンネル内で明暗差の大きな車の運転でも大いに役立つだろう。

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跳ね上げたフレームを下ろすと一般的なサングラスに。「ただしフレームが2枚重なっているぶん、わずかに顔から浮いた印象を感じる人もいるかもしれません」と今泉さん。細部にこだわるデザイナーならではの着眼点である。

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「珍しい乳白色フレームにしたくて、素材からオリジナルでつくりました」。今泉さんの本日の服装は、透明感のあるメガネに合わせた明るい色のトラッド系スタイル。シューズは歩きやすいG.H.BASSのローファーで、白ソックスでモダンに。

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サングラス部分はセルフレームの内側にメタルリムを仕込んだ2重構造。そのメタル部分に跳ね上げ金具を直結させることで、トップに余計な出っ張りのないフラットさを実現。素通しレンズはワイヤーで支える構造だ。

製造上の巧みな工夫により、跳ね上げ式サングラスと気づかれないほどの自然なバランスに仕上げたボストン プロ。現在は男女ともに対応する小ぶりなラウンド型モデルのみの展開。「より大きな体格の人に向けたスクエア型なども考案中です」とのこと。人気が定着していけば、さらにバリエーションが増えていくかもしれない。アウトドア人気もあってアクティブに屋外で活動する人が増えた現在のシーンに欠かせない新定番サングラスである。

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6月に仕事で訪れたイタリア・ミラノにある美術館「プラダ財団」でのスナップ。「室内でも外光が差し込むときにこのサングランスの便利さを感じました。ミラノは皆がサングラスを掛けて生活してましたね。サングラス姿の人がわずかしかいないパリとは対照的でした」。photo@ayame

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セルフレームの内側がゴールドやシルバーのメタル。立体的な奥行きのあるフレームの色選びも楽しい。2023年夏現在は全4色展開。各¥66,000(税込)/アヤメ オプティカルストア

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アヤメ オプティカルストア店長の行方弘太が、素通しレンズを外した状態での掛け姿を披露。度付きが不要な人も違和感なく身につけられるようにフレームの下部分がカットされている。

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カジュアル帽子で夏の軽装をシックに/スタイリスト 小野塚雅之

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お気に入りのバケットハットから着想したサファリ調のコーデ。全身をブラウン系のアースカラーで統一させた。仕事移動の必需品でもある愛車のシトロエンとの色合わせも万全。

スタイリストの小野塚さんの夏に欠かせないアイテムがカジュアルな帽子。色合わせを大切にして服装に馴染ませるのが彼のやり方だ。まずは帽子を主役にコーディネートしたバケットハットについて。「カジュアルなバケットハットが多いなかで、リネンとレザーのコンビの上品さに惹かれて購入したものです。ここ数年、白、ベージュ、ブラウンの服装が好きで、そのカラーパレットにもハマる帽子です」。これを被るときは革靴を合わせることが多いそうだ。大人こそが似合う風格のあるバケットハットである。

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ニッポンブランドのソラリスの製品。何型も持っているほどの小野塚さんのお気に入りブランド。

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今夏に愛用しているブラウン系バケットハット2点。左はオーラリーとキジマタカユキのコラボ品。購入の決め手はタオル地の素材と色。

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「ソラリスのバケットハットによく合うんです!」と小野塚さんがよく組み合わせるオールデンのスエードシューズ。

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メッシュキャスケットはこちらもニッポンブランドのブルーブックスコー。首から下げたミニバッグ&レザーサンダルと色合わせした着こなし。イージーパンツは麻素材で夏のリゾートムード。

小野塚さんがもうひとつコーディネートしたのがダークカラーのキャップ。4〜5年も被り続けているメッシュ素材のキャスケットだ。「毎年、春から夏に掛けて活躍する愛用品です。素材がスポーティなメッシュで涼しく被れて、形もユニーク。テーラードジャケットを着るとき大人っぽく着崩すのにも重宝します」。キャップは一般的にベースボールタイプが現代の主流だが、ドレスダウンに使うと確かに子供っぽくなりがち。キャスケットなら大人にふさわしく、新鮮な印象もつくれる。

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ブルーブックスコーのキャスケットは中心を横にずらした独特な形状。どのように被っても着崩したムードになる。ここではイージーパンツとセットアップできるジャケットを羽織った。
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右手に持つのはソラリスの日焼け防止シェードつきキャップ。首後ろをガードするアウトドア系だ。「屋外での撮影仕事や子どもと遊ぶとき重宝する帽子です。撮影中は同業者から『その帽子めっちゃいいですね』とよく褒められます」。シェードはスナップボタンで畳むことも可能。スポーツ要素を応用した巧みなデザインである。

今回登場した3名(+α)は仕事の実力はもちろん、自身の着こなしもバッチリな人たち。共通する技はインナーを白Tシャツにして、どんな服装でもクリーンに見せていること。まずは貫禄がついた大人の顔が上品見えするこのテクニックから学びつつ、夏の装いをグレードアップさせていこう!

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【画像】猛暑を乗り切るアイテムを探せ!プロたちの夏対策スタイル Part 2【着る/知る Vol.157】

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麻のチャイナジャケットと麻ショートパンツで井藤さんが爽やかに着た“夏黒”。ベレーは通年で被る彼のアイコンアイテム。

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黒服にも白を加えて上品さをアップ。黒を軽く見せる配置により、夜のシーンでも軽快なニュアンスに。

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ポーターの廃盤モデルのトートとバックパック。黒バッグもスポーティなメッシュ素材なら、うだるように暑い夏が似合う。冬と夏でバッグまで衣替えする発想が洒落者の証。

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井藤さんが着ている黒ジャケットは2年前に購入したヨーガンレール。「これほどモダンなチャイナジャケットを見たことがなく、すっかりハマりました」。今シーズンはこの写真のライトグレーの新作も購入。

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光に透けさせた上写真の服がこの麻素材シャツジャケット。サイドポケットつきで機能も充実している。

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今シーズン購入したもう一着のヨーガンレールの麻ジャケット。生地の風合いのよさとブルーグレーの美しさに惹かれてワードローブに加えた。

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全身のバランスこそがコーデの核心。ジャケット+ショートパンツは、Tシャツ+ロングパンツより軽やかな印象だ。体感的にも涼しい着方である。アクセサリーをメッシュ系で統一させ、シューズはナイキ エア ウーブン。あえてレザーサンダルを履かずに典型的なエスニックムードから脱却。

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今季デビューさせたアヤメ初となる跳ね上げ式サングラスを購入して愛用中の今泉さん。

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跳ね上げたフレームを下ろすと一般的なサングラスに。「ただしフレームが2枚重なっているぶん、わずかに顔から浮いた印象を感じる人もいるかもしれません」と今泉さん。細部にこだわるデザイナーならではの着眼点である。

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「珍しい乳白色フレームにしたくて、素材からオリジナルでつくりました」。今泉さんの本日の服装は、透明感のあるメガネに合わせた明るい色のトラッド系スタイル。シューズは歩きやすいG.H.BASSのローファーで、白ソックスでモダンに。

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サングラス部分はセルフレームの内側にメタルリムを仕込んだ2重構造。そのメタル部分に跳ね上げ金具を直結させることで、トップに余計な出っ張りのないフラットさを実現。素通しレンズはワイヤーで支える構造だ。

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6月に仕事で訪れたイタリア・ミラノにある美術館「プラダ財団」でのスナップ。「室内でも外光が差し込むときにこのサングランスの便利さを感じました。ミラノは皆がサングラスを掛けて生活してましたね。サングラス姿の人がわずかしかいないパリとは対照的でした」。photo@ayame

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セルフレームの内側がゴールドやシルバーのメタル。立体的な奥行きのあるフレームの色選びも楽しい。2023年夏現在は全4色展開。各¥66,000(税込)/アヤメ オプティカルストア

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アヤメ オプティカルストア店長の行方弘太が、素通しレンズを外した状態での掛け姿を披露。度付きが不要な人も違和感なく身につけられるようにフレームの下部分がカットされている。

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お気に入りのバケットハットから着想したサファリ調のコーデ。全身をブラウン系のアースカラーで統一させた。仕事移動の必需品でもある愛車のシトロエンとの色合わせも万全。

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ニッポンブランドのソラリスの製品。何型も持っているほどの小野塚さんのお気に入りブランド。

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最近愛用のブラウン系バケットハット2点。左はオーラリーとキジマタカユキのコラボ品。購入の決め手はタオル地の素材と色味。

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「ソラリスのバケットハットによく合うんです!」と小野塚さんがよく組み合わせるオールデンのスエードシューズ。

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メッシュキャスケットはこちらもニッポンブランドのブルーブックスコー。首から下げたミニバッグ&レザーサンダルと色合わせした着こなし。イージーパンツは麻素材で夏のリゾートムード。

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ブルーブックスコーのキャスケットは中心を横にずらした独特な形状。どのように被っても着崩したムードを出せる。ここではイージーパンツとセットアップできるジャケットを羽織った。
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右手に持つのはソラリスの日焼け防止シェードつきキャップ。首後ろをガードするアウトドア系だ。「屋外での撮影仕事や子どもと遊ぶとき重宝する帽子です。撮影中は同業者から『その帽子めっちゃいいですね』とよく褒められます」。シェードはスナップボタンで畳むことも可能。スポーツ要素を応用した巧みなデザインである。

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
ご相談はkazushi.kazushi.info@gmail.comへ。

高橋一史

ファッションレポーター/フォトグラファー

明治大学&文化服装学院卒業。文化出版局に新卒入社し、「MRハイファッション」「装苑」の編集者に。退社後はフリーランス。文章書き、写真撮影、スタイリングを行い、ファッション的なモノコトを発信中。
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