教会の圧に屈した… ポーランドで「666番地獄行き」バスの運行が終了

  • 文:山川真智子
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ポーランドのリゾート地、ヘル(Hel)に向かうルート番号666の路線バスが、「悪魔崇拝を助長する」という苦情を受けて姿を消すことになった。行先とルート番号の絶妙な組み合わせで観光客には人気だっただけに、復活を望む声がソーシャルメディアで多数出ている。

行き先は美しい観光地!でも乗るバスは悪魔ルートの地獄行き…

666番バスは夏場にバルト海沿岸を走る。この辺りは何キロも続く海岸線が自慢の人気の観光地となっており、リゾートの町、ヘルを目指す人々によく利用されるという。

BBCによれば、666番バスは、英語圏の人々にはちょっとしたネタとして人気となってきた。聖書では666は『獣の数字』とされ、『悪魔の数字』とも言われている。ここに、英語の地獄 “hell”とよく似た行き先“Hel”が合体。天国のように素敵なビーチに向かうバスが、実は悪魔と地獄のコンビネーションだったというオチが受けていたらしい。

ユーモアにマジレス?バス会社、宗教団体の圧に屈する

ユーロニュースによれば、このネタは観光客や地元の人々には無害なジョークで、むしろコストをかけずにヘルの町を宣伝する、立派なマーケティング戦術だと考えられてきた。

ところが、保守系カトリック団体は666番バスが「悪魔崇拝を拡散している」と大反発。地獄とは「人間性の否定」であり、「永遠の死と苦しみ」だと述べ、「この現実を笑うことができるのは、単にそれが何たるかを理解していない場合だけだ」と主張している。バスの件は反クリスチャンのプロパガンダで、より重大な問題の氷山の一角に過ぎないという見方だ。

666番バスを運行するバス会社には、何年もの間周期的に番号の変更を求める手紙や要望が送られており、今回ついにその重圧に屈してしまったようだ。同社は6月24日からルート番号を669に変更し、ヘルまでの路線を維持すると発表している。

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廃止に反対の声続々 復活の壁は厳格な教会か?

BBCによれば、ソーシャルメディアでは、666番の廃止にたくさんの批判的意見が出ているという。「世界中に広がった広告だったのに」「多分電車のほうが早く着くはずだが、物珍しさでバスを利用した観光客はいたはず」「マーケティングでやってはいけない完ぺきな例」といったコメントが出ていた。一方、「次は町の名前自体を変えるべき」という、カトリック信者と思われる人の意見もあった。

バス会社は、666番復活を求める声が大きければ、それに耳を傾けることもあると述べているという。もっとも、カトリック教会の影響力の強いポーランドでは、悪魔と地獄揃っての復活は、一筋縄ではいかないようだ。

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ポーランドの北部、バルト海に突き出たヘル半島。ヘルの町はその先端にある

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白い砂浜が続くヘル

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スカイダイビングもできるビーチ

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問題のバスの正面

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狙ったかどうかは不明だが、666番バスの後ろの広告が『ストレンジャー・シングス』)だったことも…

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日本でもヒットしたオカルト映画『オーメン』は頭に“666”のアザを持つ悪魔の子の物語だった