「安全管理の徹底を」タイタニック号探検の史上最年少者が深海探索の危険性訴える

  • 文:美矢川ゆき
Share:

 

image_6487327.JPG
@NY POST – website 

2005年にタイタニック号を探検した史上最年少者セバスチャン・ハリス氏は、潜水艇タイタンの悲劇を受けて、自分自身の体験と深海探検の危険性についてU.S.Sun紙に語った。セバスチャン・ハリス氏(以下ハリス氏)は、当時の探検リーダーだったG.マイケル・ハリス氏の息子で、父とともにわずか13歳でタイタニックの沈没現場に潜水。最年少記録保持者となった。

ハリス氏は、2005年にロシアの潜水艇ミールII号で氷に閉ざされた北大西洋の水面下 12,850フィート(約4000メートル)の深海に潜った際に、意識を失って倒れたことを明かした。その時の旅は合計12時間を要し、そのうちの約半分は沈没したタイタニック号の探索に費やされた。記録は現在も残っており、船のブリッジにはこの偉業を記念するプレートが設置されている 。しかし旅の途中、「ちょっとした安全上の問題から、突然酸素濃度が下がり始め、当時13歳の私は潜水中に意識を失いました」とハリス氏は語った。

幸いなことに、ハリス氏の父親と仲間の乗客は低酸素の影響を受けなかった。「潜水艦内には通常より低い酸素濃度を示す酸素メーターがありました。それで酸素濃度を上げたら、復活できたのです」と彼は振り返った。

ハリス氏は、潜水航海の危険性を警告。18年前に自身が体験したような小さな危険は「定期的に起きる可能性がある」とし「こうした潜水活動は本質的に危険」で「乗り物の安全性はとても重要」だと語った。「もし、2005年の探査で操縦していた父親が、自分とおなじように低酸素の影響を受けていたら、潜水艇は危険にさらされていたと思います」

---fadeinPager---

「乗客は誰も悪くない…安全管理の徹底を」

ハリス氏は、タイタンに乗っていた4人の個人には、どんな形であれ、何の責任もないとした上で、「今回の悲劇から学べることは、この種の観光に興味を持つ人全員が、十分な注意を払い、自分自身の手で安全を確保し、自分たちが何を扱っているのかを明確に理解する必要があります」と語った。「タイタニック号の沈没が海上安全規制に大きな影響を与えたように、業界はタイタン号の悲劇を教訓とするべきです」

NY POST紙によると、ハリス氏はタイタンにはなかった予防策についても語っている。「私が当時乗船したミール号は、出発前に数百回の潜水記録が残っていました。また、潜水艦の上部にはハッチと呼ばれるドアがありました。私の理解では、これは海面で開けられ、2、3人が脱出するのに使用するものです」と説明した。「しかし、タイタンの場合、ハッチはなく、ボルトで固定されています。これは潜水艇の安全基準に合致しておらず、救助は非常に困難なものとなった可能性があります。また、ミール号に搭載されているような追跡装置も、タイタンにはありませんでした」

SNS上では「手抜きが多すぎたとあとからわかるだなんて…」「人生とはリスク管理なのだろうか…」「今回亡くなった19歳の少年は、当時13歳のハリス氏に起きた安全上の問題を知っていたのかな」「タイタニックの沈没現場には、観光目的で近寄らないほうがいいと思う」など、多くの意見が交わされている。

---fadeinPager---

 

20秒のところから、セバスチャン・ハリス氏の父親G.マイケル・ハリス氏がタイタンの安全性について語っている @NewsNation - YouTube