インディ・ジョーンズの冒険の旅を支えた、メイド・イン・アメリカの逸品ブーツ

  • 文:小暮昌弘(LOST & FOUND)
  • 写真:宇田川 淳
  • スタイリング:井藤成一
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品番は「405」、通称インディーブーツ。アッパーは厚みのある牛革を使用している。アウトソールには「コルクソール」を採用、このソールは摩耗にも強く、頑丈でタフ。過酷な環境に耐えるインディが履くのに相応しいつくりを持っている。¥134,200/オールデン

「大人の名品図鑑」インディ・ジョーンズ編 #1

考古学に関する豊富な知識をもち、悪党相手にヒーローごとく躍動するインディ・ジョーンズ。間違いなく名優ハリソン・フォードの代表作の一つだ。今年、待望の最新作が公開される。初代から新作まで、インディ・ジョーンズが身につけてきた数々の名品を探してみた。

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トレードマークの帽子に鞭をもち、使い込んだ革ジャンにカーキ色の上下の服……。考古学者として大学の教壇に立ったあと、秘境の地へと冒険に出かけていく時のインディのスタイルはシリーズを通して変わらない。

では足元はどんな靴を履いていたのであろうか。洞窟で加速しながら迫ってくる丸い巨岩に追われ、ヒマラヤ山脈の雪やエジプトの砂地まで文字通りインディは駆け巡るのだ。屈強な靴でなくては、とてもとても冒険の相棒は務まらない。1作目の『レイダース/失われた聖櫃』(1981年)に砂埃の中、インディの履くブーツが画面に大きく登場するシーンが出てくる。靴のつま先に入ったステッチ、いかにも丈夫そう。このブーツこそアメリカ屈指のシューズブランド、オールデンが製作した品番「405」、通称「インディ・ブーツ」と呼ばれる名靴だ。

オールデンがアメリカ・マサチューセッツ州ミドルボロウで創業されたのは1884年。現在でもアメリカで生産を続ける希少なシューズメーカーで、アメリカや日本だけでなく、世界中の靴好きから支持されるブランドだ。

実は当初、ハリソンには別のメーカーの靴が用意されていたらしいが、その靴に納得いかないハリソンがオールデンに注文したのがこのブーツと言われている。オールデンはさまざまな木型=ラストを持っているが、この「405」に採用されたのは「トゥルーバランス」という木型。同社の木型の中では幅が広めでボリュームがあり、男らしい印象を与えるデザインだ。

ハリソンは有名になる前、大工仕事に精を出しているころからこの木型のオールデンを愛用したらしく、それもあって、この木型が採用されたのかもしれない。事実、アメリカではこのブーツはラインマンやロガーといった技術系の人たちがよく愛用しているという。

ソールは天然素材のコルク粒を練り込んだ特製の「コルクソール」を採用、軽くグリップ力もある。また足をサポートする「トーマスヒール」を採用、これは足内側のヒールの長さを外側よりも長く設計をしたもので、足の疲れを軽減し、快適な履き心地をもたらすと言われている。最後にアッパーに使われたレザー。同社の靴は希少な馬革であるホーウィン社製のコードバンを採用したドレスシューズで高い評価を得ているが、この靴にはコードバンは使われていない。現在、このモデルに採用されているのは「レガシー」と呼ばれる牛革素材。脂分が染み込み、足馴染みもよく、「インディブーツ」の履き心地に貢献していることは間違いない。

映画が公開された当時はこのブーツがオールデンのものだということが公表されておらず、しかもアメリカ国内だけでしか販売されていなかった。本格的に日本での販売がスタートしたのは2011年からと最近だ。

「405」はハイカットのデザインだが、一般的なワークブーツとは違い、クラシックな佇まいも備え、「インディ・ジョーンズ」シリーズ同様にエターナルな魅力をもつ名品に仕上げられている。しかしハリソン=インディの判断がもし違っていたら、このブーツは日の目を見なかったかもしれない。そう考えると、この名靴におけるハリソンの貢献度は高いだろう。

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ブーツのトゥに入ったホワイトステッチが美しい。シューレースは平紐タイプが採用されているが、これもクラシックさを醸し出すことに貢献している。

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「インディ・ブーツ」はコルクを使った独特のソールを採用する。適度にクッション性があり、滑りにくく、使いやすい。

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本格靴ファン垂涎のオールデン。アメリカで1884年に創業、以来メイド・イン・アメリカを貫いている希少なシューズメーカーだ。

 

問い合わせ先/ラコタ TEL:03-3545-3322

https://www.lakotahouse.com/brand/category/3

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