「まるでホラー映画」大型鳥類と衝突で血まみれになるも、冷静保ったパイロットに称賛の声

  • 文:青葉やまと
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istock ※画像はイメージです

南米エクアドルで小型機が飛行中、大型の鳥類と正面衝突。フロントガラスを突き破って機内に突き刺さり、コックピットが血しぶきで染まる事故が発生した。血まみれになりながらも冷静に操縦を続けたパイロットに賛辞が相次いでいる。

事故機は小型機であり、現地の飛行士であるアリエル・バリエンテさんが操縦桿を握っていた。米ニューヨーク・ポスト紙は「巨大な鳥がコックピットに激突」したあとも、バリエンテさんは「平静を保った」と称えている。

衝突した鳥の詳しい種類は不明であるものの、同紙はアンデスコンドルではないかとの見方を取り上げている。アンデスコンドルは空を飛ぶことができる鳥類としては世界最大級といわれ、翼を広げた大きさである翼間長はおよそ3mにも達する。

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パイロットの視界を鳥の巨躯が覆う

航空情報サイトのFL360エアロは6月15日、Twitterでこの事故の動画を公開した。パイロット自身が飛行中のコックピットから撮影したこの映像は、事故の様子を生々しく物語っている。

動画は冒頭から異様な状態のコックピットを映し出しており、緊迫感に満ちている。通常であれば操縦席から前方を展望できるはずのところ、パイロットの視界はガラスに突き刺さったままぶらりと垂れ下がった鳥の体と、2本の脚でほぼ覆い尽くされている。

その脇からはフロントガラスの一端が覗くが、ひび割れて大きく破損していることが確認できる。機内には激しく風が吹き込み、鳥を覆う羽毛がはためいていることから、おそらくは鳥が衝突時に突き破った大穴がガラスに空いている模様だ。

鳥の体が自発的に動く様子はなく、体と脚が風に揺られる以外には、ばたついて逃げる気配もない。気を失っているか、あるいはすでに事切れているのだろう。乱れ絡まった羽毛の合間からはずるりと剥けた肉と血が見え、激突時の衝撃を物語る。

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コックピットのあらゆる場所が血に染まる

操縦するバリエンテさんがカメラを下に振ると、そこには彼の着る飛行服が血に染まっている様子が映し出される。操縦桿を握る右腕から右手の甲にかけて、大小の赤黒い染みが続く。鳥の脚や飛散したガラスで彼自身が負傷したのか、それとも鳥の血しぶきを浴びたのかは判然としない。

続いてバリエンテさんが自身にカメラを向けるが、その表情は寡黙ななかにも飛行の困難さを表している。顔は全面的に血で覆われ、そのために右目は開くことができない。かろうじて左目を開け、視界を確保している状態だ。

口ひげが多量の血を吸っているほか、喉にかけてもまとまった量の血液が伝った跡が残る。こちらについても鳥の血か否か判然としないが、おそらくは本人の傷によるものと考えられる。鳥の血であれば顔周辺の着衣やヘルメットにも飛び散っているべきところ、血痕は顔面に集中している。露出した顔をガラス片で負傷した可能性があるだろう。

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黙々と操縦をこなし、無事に着陸

ほか、側方のガラス窓や操縦席後方の壁にも、ワインを撒いたかのように所狭しと赤い染みが広がっている。バリエンテさんは操縦の優先を心がけたとみられ、動画は約12秒という最小限の時間で終わっている。

短い尺だが、動画はTwitter上で57万回表示される注目を集めた。彼は一言も発することなく、ただ事故の状況を冷静沈着に動画に収め、そして平常通り操縦を保っている。

航空ニュースサイトのエアロタイム・ハブによると、事故機は単座式の農薬散布機「Thrush 510P」であり、操縦するバリエンテさんはエクアドル空軍の大尉だという。同記事によるとバリエンテさんは負傷したものの、事故後も安定した飛行を保ち、無事着陸したという。

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極限の状況でもすべきことをした…パイロットに賛辞

動画に寄せられたコメントは、稀にみるトラブルのなか、冷静さを保ち黙々と操縦をこなしたパイロットへの称賛であふれている。

あるユーザーは「まさにホラームービーのワンシーンのようだ。パイロットが落ち着いた様子であることが素晴らしい。優秀だ」とコメントした。別のユーザーは「この機を安全に着陸させたパイロットに脱帽」と述べている。飛行学校の元訓練官だという人物は、非常時には身体に染みついた基本動作が自ずと表出するため、日頃の訓練が非常に大切であると強調した。

また、不幸な事故に巻き込まれた鳥を気遣うコメントもみられた。「鳥がかわいそう。飛行機に乗るときはこういう事態が心配になる」との声や、「パイロットが無事でなによりだが、鳥を気の毒に思う」などの意見が交わされている。

鳥にとって不幸な事故となったが、緊迫の事態でも最善の行動を尽くしたパイロットに、多くの視聴者が感銘を受けたようだ。

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