深い森で邂逅する、アーティスト立石従寛の作品とグッチのラゲージ

  • 写真:立石従寛
  • スタイリング:小林伸崇(Wear Striker) 
  • 文:小暮昌弘(LOST & FOUND) 
  • 協力:TŌGE
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102年もの歴史をもつグッチの原点はラゲージにある。現代アート界で注目される立石従寛が、 軽井沢の森の中に制作した自身の作品に、「GUCCI VALIGERIA」の最新ラゲージを対峙させ撮影した。

立石 従寛
Jukan Tateisi
アーティスト

1986年、シカゴ生まれ。東京・ロンドンを拠点とする美術家、音楽家。仮想と現実、相対する境界の合成をテーマに作品を制作するほか、フードプロダクトの開発など、幅広い分野で活動する。主な作品に『To The Fog』(2021)、『沈んだ世界のアンカー』(2019)などがある。

 

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時代とともに進化する姿勢を表現したトロリー。ミラノ発のラゲージブランド、FPM MILANOとコラボし、アルミニウムとGGスプリーム キャンバスが組み合わされている。トロリーケース(H49×W75×D28.5㎝)¥583,000/グッチ(グッチ クライアントサービス)

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ウェブ ストライプとダブルGモチーフというグッチを象徴するふたつのアイコンを特徴にした「オフィディア」のシューズバッグ。ショルダーストラップ付きで日常づかいにも適している。バッグ(W36×H22×D16㎝)¥264,000/グッチ(グッチ クライアントサービス)

 

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奥のトロリーは、GGパターンにポリウレタンコーティングを施したGGスプリーム キャンバスを採用。手前のダッフルバッグはダブルGハードウェアとウェブ ストライプが特徴だ。トロリーケース(W45×H 73 ×D30㎝)¥473,000、ダッフルバッグ(H44×W28.5×D24.5㎝)¥319,000/ともにグッチ(グッチ クライアントサービス)

 

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ベージュ×ブルーのGGスプリーム キャンバスは、1970年代に発表したカラーリングを復刻させたものだ。ほかにも、ハンドバッグやダッフルバッグなどにも採用されている。トロリーケース(H45×W64×D30㎝)¥437,800/グッチ(グッチ クライアントサービス)

今回の企画では立石従寛が制作した作品『A Study of In(to)stallation』(2021 ~)とコラボレーションして撮影が行われた。

「この作品は、ギャラリーや美術館などの展示空間に植物などの自然物を呼び寄せるのではなく、逆に我々が森に空間ごと入り込むという反転の発想でつくりました。今回、グッチのラゲージ『GUCCI VALIGERIA』と作品が対峙する、あるいは相対するように撮影するつもりでしたが、並べてみると作品にも、森の自然にも馴染み、撮影そのものがインスタレーション的になったかと思います」

立石は家族が長く使っていたグッチの鞄を譲り受け、使っていた経験がある。今回グッチのアイテムから感じたのは、そのように代々受け継いで使えるほどの耐久性を実現する、素材や糸一本に至るまでのクラフツマンシップだ。

「神は細部に宿る」という言葉があるが、「写真でも音楽でも小さいところができていないと大局的なもの、あるいは考え方もできないと、このラゲージを見て改めて思いました」と立石は語る。

最新ながら伝統が息づくグッチのラゲージ。気鋭のアーティストによるコンセプチュアルな作品と、美しく調和している。

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時代を映し発展を遂げてきた、ラゲージ100年の歴史

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高いクラフツマンシップで、世界中の旅行者から支持されてきた(1950年撮影)。© Archivio Foto Locci

グッチの歴史は、旅の中にあると言っても過言ではない。19世紀末にフィレンツェで生まれた創設者グッチオ・グッチは、10代半ばで英国に渡り、ロンドンの高級ホテルであるサヴォイ・ホテルでポーターとして働き出す。そこで貴族や上流階級の嗜好などを学んだグッチオはフィレンツェに戻り、1921年、レザーグッズ専門の工房とショップを開き、旅行鞄=ラゲージや鞄などを中心にした革製品の製造と販売を始める。英国で培った洗練されたデザインに、職人たちのクラフツマンシップを融合した製品を揃えた店は、貴族やフィレンツェを訪れる旅行者たちから人気を集めた。

革製品に出自をもつ他の多くのメゾンとグッチの違いは、早くからブランドを象徴するアイコンを考案したことといえよう。自分のイニシャルを2つ連ねた形にデザインしたもので、グッチオが製品の品質を保証するために考案した。その代表的な例が「GGパターン」のロゴだ。これはデザイナーの名前を入れて製品を販売した、世界で初めての例といわれ、グッチがブランド商品の元祖とも言われる所以でもある。さらにこのダブルGをキャンバス地などに織り込んだ鞄類がつくられ、ほかのアイテムに採用されるほどの人気となった。

またホースビット ローファー 1953と同様に乗馬の世界からインスパイアされたグリーン・レッド・グリーンのウェブ ストライプもグッチを代表するアイコン。グッチのラゲージや鞄類に現在でも使われている。

そしてグッチの特徴は、歴史的なこれらのアイコンをアーカイブ化すると同時に常に刷新してきたことにある。時には新しいカラーリングを施し、時には大きさやデザインを変え再解釈し、製品に新しい命を吹き込んできた。

90年代以降、グッチはトム・フォードやアレッサンドロ・ミケーレといったクリエイティブ・ディレクターを起用するが、彼らの斬新なデザインで話題を集める一方で、ブランドの財産であるアイコンへの姿勢はそれまでと同じ。アイコンの再解釈が行われ、時代にマッチした魅力を加えられてよみがえり、グッチがさらに注目されるきっかけとなった。

しかし創設者グッチオが旅用の鞄に求めた「最高の品質とクラフツマンシップ」というものづくりの姿勢はまったく変わっていない。それはこのラゲージを見れば一目瞭然だろう。

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1920-30s-自前の工房をフィレンツェに開き、高い品質とデザインで有名に

当時の旅行は船や列車でするもの。鞄類は雑に扱われることも多く、破損することも多かった。そこでグッチオ・グッチは最高の素材を使い、トスカーナ地方伝統のクラフツマンシップで機能性溢れる旅行用のラゲージや鞄を製作、フィレンツェを訪れる旅行者からも支持を得た。右は20~30年代にグッチオがデザインしたラゲージだ。

 

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5-VVALG00022_001.jpgCourtesy of Gucci

 

1950s-鞄づくりに対する情熱で、独創的な素材を生み出した

第二次世界大戦に参戦したことで、イタリアは他国との貿易が禁止され、高級革の入手が不可能になった。そこでグッチオは麻で織った布地を使って軽くて丈夫なラゲージを30年代から製作した。戦後になってからはさらにプリントを施し、魅力ある製品に仕上げた。下は50~60年代にかけて製作された革製品と麻素材を使ったものだ。

8-VVALG01025.jpg9-VATRE01200.jpg10-VVALG00337_001.jpgCourtesy of Gucci

 

1960-70s-ブランドのアイコンを再構築し、ラゲージや鞄が世界的な人気に

創設者グッチオ・グッチのイニシャルが組み合わされたGGパターンを、キャンバスにプリントしたラゲージ類が世界を席巻したのがこの時期。ボディに施されたウェブ ストライプもグッチの独創性を感じさせるものだった。70年代には素材にコーティングを施したものも登場、ラゲージとしての性能や耐久性も格段に進歩した。

11-VVALG00849_001.jpg12-VVALG00871_001.jpg13-VVALG00579_001.jpgCourtesy of Gucci

 

1980s-時代を映したデザインでも、培った伝統と技術は変わらない

80年代に入って発売されたのが、カラーリングをベージュ×ブルーに変えたGGパターン。下のラゲージは80年代初頭に製作されたもの。このカラーリングのGGパターンが昨年復活している。その下の80年代後半に制作されたボルドーのケースは旅行用のハットケース。旅にルーツをもつ老舗らしいアイテムではないか。

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15-VVALG00076_001.jpgCourtesy of Gucci

 

 

 

グッチ クライアントサービス

TEL:0120-99-2177
https://www.gucci.com/jp/ja/st/capsule/gucci-travel