【東京クルマ日記〜いっそこのままクルマれたい〜】 第174回“さしずめ“パリダカあたりのステップ”で!? 新しいグルーブを乗りこなすプレミアムSUV”

  • 写真&文:青木雄介
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フロントフェイスはボディとグリルを融合させた“スピンドルボディ”に刷新された。

レクサスで最も売れているSUV、RXシリーズのハイエンドモデル「RX500h Fスポーツ・パフォーマンス」に乗った。結論から言ってしまうと、レクサスはプレミアムSUVの走りにおいて、新天地を発見し、王国創成への布石を打った。ハイブリッドスポーツのアイデンティティを音で表現し、乗り味で他社のプレミアムSUVとは三線を画する(笑)、“愉しさ”を引き出してきた。

この愉しさの引き出し方が「なにかに似てる」って、試乗中ずっと思っていたんだけど、やっと思い当たった。UKレゲエ、ダブシーンの重要なプレイヤー兼プロデューサーだったノーマン・クックが名前を改め、DJのファットボーイ・スリムとして誕生した感じに似ているのね(笑)。UKローカルシーンでの経験やコネクションを転用した彼は、世界でビッグビートと呼ばれる一大ムーブメントを引き起こした。

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“タズナ”コンセプトによってつくり込まれた、包まれ感の強いコクピット。

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新型RXシリーズで言えばオフロード車開発での「気づき」がきっとあったはず。その気づきとはパリダカやバハ1000なんかに出場する競技用オフロード車特有の、長いサスペンションがダイナミックに動くクルマの愉しさですよ。そんなマニアック(失礼)な視点を転じて、世界を虜にするポップスターのような可能性を秘めた走りのマナーを引き出したって感じ。さらに言えば、スポーツカーにならなくたって、SUVは上質で愉しく走れるって提案をしているんだ。

新型での大きな変更に後輪軸をマルチリンク式のサスペンションに変えたことが挙げられるんだけど、サスペンション剛性を縦横だけでなく立体的に捉えているのね。それによってもたらされる路面に吸いつくような走りが、RXの特徴である強固なモノコックボディと抜群に相性がよい。他社のスポーツSUVだとモノコックボディに対して、いわゆる硬い減衰力の高い足回りにすることで速さと安定性を追求するんだけど、RXは路面を捉えるための選択肢(アーム)を増やし、減衰力を低め、サスペンションのストロークを活かした、生き生きとした挙動を追求したんだ。

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ホイールは21インチのFスポーツ・パフォーマンス専用。 

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峠では4輪を自在に沈み込ませ、コーナーのエイペックスに向けて姿勢制御する。4輪それぞれに最適な駆動配分をする新開発のダイレクト4の効果もあいまって、コーナリングではロールを許容しつつ、しっかり粘るサスペンションとの絶妙なコラボレーション。これが最高。グルーブにハマって踊り続けると、楽しすぎていくらでも踊れたりするでしょ? このリアサスペンションはまさに疲れ知らずのグルーブメーカーですよ。ファットボーイ・スリムじゃないけどね(笑)

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フロントライトは3眼LEDシステムによるシャープな造形。

この愉しさに加えて、サウンドシステムが最高。見事に直4の強いビートを消しつつ、異なる周波数の音を幾重にも重ねた倍音に似たエグゾーストノートを奏でる。ドンとアクセルを踏めば、吸い込まれるような加速音にしっかり基
音のビートも感じられる。嗚呼。これはV8のイメージですね。「ありがとう。モリゾーさん」ってなもんですよ(笑)。EV化の前に「まだやれることいっぱいあるでしょ?」って、レクサスの提案はとても素敵だった。

 

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リアサスペンションメンバーには後輪操舵システムとともに高出力モーターeAxleを搭載する。

レクサス RX500h Fスポーツ・パフォーマンス

サイズ(全長×全幅×全高):4890×1920×1700㎜
排気量:2393㏄
パワートレイン:直列4気筒ターボ+ハイブリッドシステム
システム最高出力:371ps
エンジン最大トルク:460Nm/2000-3000rpm
駆動方式:AWD(フロントエンジン4輪駆動)
車両価格:¥9,000,000
問い合わせ先/レクサスインフォメーションデスク
TEL:0800-500-5577
https://lexus.jp

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※この記事はPen 2023年6月号より再編集した記事です。