行列する店には“接待”で行く⁉︎ お金持ちになるための3つの処方箋

  • 文:川畑明美
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なぜ貯金ができないのか理由を伺うと、こんな回答が返ってくることがある。「我慢してお金を貯めるのは、絶対にイヤなんです」。そう回答する方は「お金を貯めるには我慢が必要だ」と思い込んでいるのかもしれない。貯金するためには、好きなものや欲しいものをすべて我慢して、地味な暮らしをしなくてはならない、そんなふうに思っているのだ。

筆者も「我慢」してお金を貯めるのは辛い。我慢は極力したくない。それでも貯金ができたのは、「貯金をして夢を叶えた」経験がたくさんあるからだ。高校生の時に大学受験費用を貯めて親には内緒で大学受験をしたことや、憧れていた出版社に勤務するために東京で独り暮らしできる資金を貯めたこと、毎年1回は、家族で旅行に行くためにお金を貯めていることなどだ。筆者にとって貯金は「夢をつかむための切符」だと考えている。

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こういう人はお金が貯まらない

逆にこういう人は、お金が貯まらない。先日カフェで仕事をしている時になんとなく聞こえた、隣にいた人達の会話だ。「前に通った時に行列していたパン屋さんが気になっていたの。そして今日通ったら行列が少ないので並んで入ってみたのね。ところが、入ってみてビックリ。とっても高いパンばかりなのよ。でも行列するほどの店なので、美味しいと思って、買っちゃった!」そんな会話をしていた。筆者は内心この人はあまり貯金できないだろうな、と思った。

流行っている、人気があるなどの食べ物や商品が気になる方は散財の傾向があるからだ。流行を追い続けることに一生懸命になりすぎてお金を浪費してしまうのだ。逆にお金が貯まる人は、必要なモノしか購入しない。基本的にケチだということだ。お金持ちがケチであるエピソードとしては、ビル・ゲイツ氏の話が有名だ。ビル・ゲイツ氏がポケットに入っているはずのハンバーガーショップの割引券を探すために、何分も他の客をカウンターで待たせた話は有名だ。他にも目的地に行けるのであれば安い方で十分だという理由で、飛行機に乗るのもエコノミークラスを利用している。

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お金持ちになるための処方箋その1 
→行列する店には接待で行く

話を元に戻そう。筆者は学生時代に貧乏生活を体験しているので、行列ができているというだけでは、その店には行かない。人気店に行っても行かなくても、パンは食べられるからだ。ただし、行列している店は、何の店でどのくらいの価格帯なのかは調べておく。しかし店を調べて納得できる金額で、評判も良いというのが分かってもそれだけでは、その店には行かない。では、どういう時に行くのか? お客様をもてなす時だ。

並ぶ時間が比較的短い時間帯にお客様と一緒に並ぶ。並んでいる間も、お客様とおしゃべりできて親密度が増すし、行列するほどの人気店で買い物できれば、お客様も満足してくれる。そして「一緒に行列に並んだ仲間」という意識ができるので、特別な人と思ってくれるのだ。筆者が営業マン時代には、この手法をよく使っていた。

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お金持ちになるための処方箋その2 
→ストレスと引き換えに給料をもらうのを辞める

我慢しないとお金は貯められないと思っている人の中には、「ストレスを溜めるのと引き換えに給料をもらっている」と、考えがちだ。その考えは、かなり危険だ。もちろん、まったくストレスなく働いている人も少ないが、仕事を続けているうちに感謝されてお金をいただく喜びも感じられるようになるものだ。ストレスが溜まり過ぎているのならば、会社に相談して仕事の内容を変えてもらおう。またそれができなければ、転職した方がいい。お金をもらうということは、基本的に「感謝の対価」だ。そう感じられない仕事では、体調を崩すのが目に見えている。

また嫌だと思いながら仕事を続けていると、ストレスによって散財してしまうことも多い。貯金ができない方から、仕事で疲れた帰りの電車で、欲しくもないモノをネットショップで買い物してしまう悩みを相談されたこともあった。買い物をするとドーパミンという快楽物質が分泌されるので、満足感や精神的な快楽を得られる。お金持ちになりたいから、給料のいい仕事を選ぶのは間違いではないけれど、そのために生じるストレスのために散財してしまっては、本末転倒だ。それではいつまで経っても、お金持ちになれない。

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お金持ちになるための処方箋その3 
→未来から逆算して計画を立てる

お金持ちになるには、欲しいモノや目的のために、未来から逆算して計画を立てる「習慣」をつくることだ。「貯金は夢をつかむための切符」なのだ。あなたがやりたいことは何か。その夢を実現するためにはいくら必要なのか。金額が大きければ、そのお金を貯めるのに何年でいくら貯めるのかを計画することだ。

お金を貯めて「家族でハワイ旅行」という夢でもいい。ハワイに行くにも家族4人だと、ある程度のお金が必要になる。1人30万円だとすると4人家族ならば120万円だ。このお金を貯めるのに毎月いくら貯金するのか、何か月、何年で実現できるのか、そういう計画を立てて、粛々とお金を貯める経験をすることが一番いい。そういった粛々とお金を貯めることができる「習慣」ができれば、「経済的に困る可能性が低く」なる。お金を貯めることができる習慣こそが「お金を管理」できるということだ。 

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お金を増やすことより貯金ができるようになることが先

「お金がないから投資でお金を増やしたい」と、ご相談いただくことは多い。気持ちはわからなくないが、お金がなければ投資してもお金は増えない。投資でお金を増やすことができる人は「投資に回せるお金」がある人だ。投資する前に「お金を貯められる」ようになる必要がある。つまり、お金が貯められない人は投資しても増やせないのだ。

もう、老後が差し迫っていて年金だけでは足りないと、焦ってしまう人ほど「投資でお金を増やしたい」という。ただし焦って投資をしても上手くいくことは、ほとんどない。投資するには、お金にも気持ちにも「余裕」がないと上手くいかないからだ。そういう方の残された道は、年金の範囲内で生活できるようにミニマムな生活をすることだ。

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ミニマムな生活にもストレスを溜めないこと

ただし、急にミニマムな生活ができるようになるわけではない。筆者も赤字家計を改善するには、多少の時間がかかった。なのでできれば現役時代に、ミニマムな生活をこころがけることだ。現役時代から、年金の範囲内で生活できれば、老後も怖くない。さらに年金額よりも現在の収入が高いことが多いのだから、貯金を増やすこともできるようになる。

そして大事なのは、ミニマムな生活も基本は「ストレスを溜めない」ということだ。お金を使う時に「なにがムダか、なにが投資なのか」それを意識して欲しい。筆者は若い頃の貧乏生活から、お金を使わなくても楽しめる方法を知っている。それは、少しのことでも「感動」できる感性を磨くことだ。小さなことでも「有難い」とか「楽しい」と感じる心を育てることをはじめてみよう。昔の写真の整理や蔵書の整理、CDの整理などはお勧めだ。過去に感じた高揚感が蘇ること請け合いだ。

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【執筆者】
川畑明美●ファイナンシャルプランナー 「私立中学に行きたいと」子どもに言われてから、お金に向き合い赤字家計からたった6年で2000万円を貯蓄した経験をもとに家計管理と資産運用を教えている。HP:https://www.akemikawabata.com/