日本に初飛行した“空飛ぶ眼科病院”とは? 関空に着陸した機内を潜入レポート!

  • 文:植田沙羅
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関西国際空港に舞い降りたオービス インターナショナルが誇る「空飛ぶ眼科病院」では、治療にやってくる子どもたちを安心させるため、テディベアがお出迎え。

発展途上国における失明の予防や眼下疾患の治療を重点に置くなど、眼科医療に特化した国際NPOであるオービス インターナショナル。世界中の僻地へ赴き、眼科医療を提供しているほか、現地の医療従事者や研修医への育成・指導・啓発を行なっているが、その活動のためにつくられたのが「空飛ぶ眼科病院(Flying Eye Hospital)」だ。

このたび日本に初上陸すると聞き、大阪・関西国際空港で開催された機内見学ツアーに参加した。初公開された機内の様子とは⁉︎

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オービス インターナショナルにオメガから提供された、たくさんのテディベア。いまでは同機を象徴する存在になっている。

1982年に設立されたオービス インターナショナルは、長年にわたり発展途上国における失明予防の啓発や、高度な治療に取り組んできた。そのすべてをボランティアの医療専門家たちが無償で行い、これまで救った患者は世界95か国以上、延べ680万人にも及ぶ。

そしてもうひとつ重要なミッションが、最先端の技術や知識を提供する教育機関としての役割だ。一次的な治療を施すだけでなく、地域に高い水準の医療が根付くよう、各地の眼科医療専門家の育成にも奔走している。

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関西国際空港に降り立った「空飛ぶ眼科病院(Flying Eye Hospital)」は、医療認可を保持する世界でたったひとつの機体。もともとは貨物機だった機体を、3年の歳月をかけて改造した。

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「空飛ぶ眼科病院」はその名の通り、航空機MD-10内に設けられた世界唯一の認定眼科であり、教育病院としても最先端の設備が整っているという。いざ機体の中に足を踏み入れてみると、普段目にする旅客機の内装とはまったくの別物で、その設備はまさに病院!

機内には手術室のほか、研修を行う「クラスルーム」や、独自の遠隔医療プラットフォーム「サイバーサイト」を通じて世界中に活動を配信するための「AV/IT ルーム」まで完備。「シミュレーション トレーニング」エリアはレーザー治療やその訓練の場にとどまらず、手術に付き添う家族の待合室としても使われ、患者や家族の心理的なケアにも注力した設計となっている。

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航空機のシートを用いた全46席の「クラスルーム」。研修時には機内での施術の様子がモニターに映し出され、リアルタイムで執刀医と質疑応答を行う。
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「シミュレーション トレーニングルーム」では、さまざまなレーザー治療やシミュレーショントレーニングを行い、その様子を上記の「クラスルーム」や世界各国のオービスのプログラムに参加している眼科治療者に配信可能。

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オービスが大切にする「心に寄り添うケア」をカタチにしたのが、治療を受ける子どもたちを勇気づけるために出迎えるテディベアだ。実はこのテディベア、スイスが誇る時計ブランドであるオメガから提供されたもの。オメガといえば、アポロ11号とともに初めて月面着陸した腕時計としても知られ、オリンピックのタイムキーパーを長年務めてきた名門である。では、なぜオメガがオービスと?

オメガとオービスのパートナーシップは、実は10年以上も続いており、オービスの活動に「視力という貴重な贈り物は人生を変えるほどの結果をもたらす」と賛同したことがきっかけだという。2011年から始まったオメガの活動支援には、ダニエル・クレイグも参加しモンゴルまで「空飛ぶ眼科病院」を訪れている。

ダニエル・クレイグといえばご存知『007』のジェームズ・ボンド役で知られる人気俳優だ。ボンドが劇中で愛用しているのがオメガの腕時計であり、その縁もあってダニエル・クレイグをはじめとしたセレブリティへと活動の輪が広がり、「空飛ぶ眼科病院」の存在が多くの人に知られることとなった。

その後もシンディ・クロフォードなど多くのオメガのブランドアンバサダーが活動に賛同し、患者の人生を変える眼科治療を世に広める広報活動に参加してきた。

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白内障手術から再建手術まで、高度な治療を実践。「手術室」が機体の翼の真上に位置しているのは、最大の安定性を確保するためである。
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手術前後の「ケアルーム」では、地域の看護師がオービスのスタッフとともに、手術準備や回復期の管理にあたり、ケアの方法を学ぶ。中サイズのテディベアは、手術を受けた患者と同じ場所にアイパッチを付けた状態で贈られ、幼い子どもたちを励ますのだそう。

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最新の設備を用いて、機内の全活動を各地の眼科医療専門家に配信する「AV/ITルーム」。
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航空計器や医療機器が並ぶ機内でも、テディベアがあるだけで随分と心が解れる。これは医師が子どもたちに手術をわかりやすく説明する時にもひと役買っているそうで、遊び心を忘れないオメガの姿勢が窺えた。

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オメガの社長兼CEOのレイナルド・アッシェリマンは両者のパートナーシップについて次のように語っている。

「空飛ぶ眼科病院には、訓練を受けたプロフェッショナルたちが搭乗しており、彼らは暗闇の中で暮らす人々に視力という贈り物を届けています。オメガがオービスのかけがえのない活動を支援するという、重要な役割を担えることに心から喜びを感じます」

日本を後にした「空飛ぶ眼科病院」はベトナムへ向かい、パンデミック以降初めての国際外科訓練プロジェクトを行う予定だ。オメガがサポートを続けるこの活動は、これからも世界中の人々に希望の光を照らしていく。

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問い合わせ/オメガお客様センター
TEL:03-5952-4400 

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