日本の若い人々は、「一緒に働きにくい」世代だと言われることがある。一般的に若い世代は経験も少ない分、打たれ弱く、ストレス耐性が弱く、スマホ依存、出世にこだわらないため、仕事の付き合いよりプライベートを優先させる傾向がある。ことさら「ゆとり世代」やその後期に生まれた「さとり世代」はその傾向が強い、とよく語られる。
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実はアメリカでも、同じことが起こっている
定義はさまざまだが、アメリカのある大学の定義では1995~2010年生まれ、つまり10代から20代半ば過ぎくらいの人々はZ世代と言われ、この世代の人々は上司との間に距離があり、上司から「一緒に働きにくい、管理しにくい」という声が上がっている。
Z世代はアメリカだけで6000万人以上の人口があり、職場でもっとも影響力のあるグループになりつつある。
英BBCによると、日本やアメリカをはじめとするOECD諸国(経済協力開発機構)では、2025年までに世界人口の3分の1、労働人口全体の27%がZ世代の人々になることもわかっている。
一緒に働きにくいという理由で、彼らと共に机を並べることを厭うことはもはや避けられなくなりそうだ。
米フォーブス誌は昨年、調査会社の報告書を基に、「Z世代の従業員を持つことが企業にとっていかに困難なことの理由」という記事を発表した。
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彼らを職場で管理するのはチャレンジング
Z世代の特徴として、「自分が職場で尊重されることを重視し、特定のスキルを生かす仕事より、さまざまなスキルを伸ばして成長できる仕事を好む」「すぐに効果が表れるものを好み、自分に不要なものに時間を費やすことを嫌がり、1つのことを学び続ける辛抱強さに欠ける」などとし、「彼らを職場で管理することはチャレンジングなこと」としている。
先述のBBCも2月、ある調査結果をもとに「Z世代は職場で最もストレスの多い世代か?」という記事を発表。
イギリスにおいてもアメリカと同様に、特に大学時代の後半にコロナ禍になった人は「隔離されたバーチャル空間で単位を取得することを余儀なくされ、パーマクライシス(permacrisis)という名の“終わりのない危機”に陥った世代」と表現。また就職したのもコロナ禍で、未だ経済が不安定な中、クオリティーオブライフのための給料は十分ではなく、レイオフがはびこる昨今、職場での対人関係や服装エチケットに疑問を持ち、「最もストレスと格闘している世代」だという。
ここ1年ほどでオフィス復帰が増える中、バーチャルな世界からリアルなオフィス環境にシフトし、ストレスを感じるのも十分頷ける。
退職や転職願望は高いとし、昨年12月のリンクドイン(LinkedIn)の調査によると、61%が今年中の退職が検討される中、特にZ世代はその願望が高く、72%もの人々が退職や転職希望があることがわかっている。
HRDマガジンの4月の記事、「Z世代はほかの世代よりも一緒に働くのは難しい?」でも、1300人以上のマネージャーやビジネスリーダーを対象に行った調査結果を基に、Z世代の特徴が以下のように挙げられた。
テクノロジースキルの不足 (39%)
やる気がない (37%)
努力不足 (37%)
生産性が低い (37%)
集中力にかける (36%)
コミュニケーション能力が低い (36%)
怒りっぽい、気分をすぐに害す (35%)
働く意欲がない (29%)
不誠実 (24%)
自信過剰、自惚れ (21%)
74%の上司が、Z世代と一緒に働くことの難しさを訴え、解雇率も高い。59%の人々がZ世代を解雇したことがあると回答。うち20%は就業開始から1週間以内に、27%が1ヵ月以内に解雇した。
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革新的で順応性があるという評価も
ただ、すべてのマネージャーがZ世代と働きたくないかと言えばそうでもなく、「Z世代は最も正直で、生産性が高い」として、34%は彼らと一緒に働きたいと考えていることもわかっている。
専門家からも、Z世代は非常に革新的で順応性があるという評価が上がっている。挑戦すること、新しいアイデアを持ち出すことをを恐れず、信頼性と透明性に価値観を置き、企業が社会的責任とエシカル(倫理的)であることに期待している傾向があることは評価されるべき要素だろう。
デジタルネイティブであるZ世代は、もともとデジタル・コミュニケーションツールの使用は熟知している。躊躇なく使いこなし、習得も早い。コロナ禍によるリモート授業やリモートワークの浸透が重なった環境では、独立して仕事をしたい傾向が強くなるのもうなずけるし、ビジネスにおける直接的なコミュニケーションスキルが向上しないのも止むを得ないだろう。
採用担当者は、Z世代のこのような特徴を心得て、多くのトレーニング(日本の会社だと、上司からの講習会や合宿などが当てはまるか)が必要になる可能性があることを知っておく必要があると、専門家は助言している。
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【画像】米Z世代がゆとり世代と同様、同僚として嫌がられる理由とは?
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実はアメリカでも、同じことが起こっている
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革新的で順応性があるという評価も