サウナが好きになると、全国のいいサウナに行ってみたくなるものです。サウナがブームになる前からずーっとサウナ界を牽引してきた老舗サウナ施設というのがいくつかあるんですが、その中でも長い歴史がありながら常に進化し続けるサウナ「ウェルビー」。
でも男性専用サウナです。男性サウナの聖地のようなサウナです。ちなみにウェルビー栄は、わたしがサウナを好きになってまもない頃、サウナは必ず男女あると思い込んでいて、普通に階段をあがってフロントで「一人お願いします」と言って仰天された思い出があります。
数年前、ウェルビーの方に「何か描いていいですよ」と言われてウェルビー栄の入り口に建つサウナ小屋のドアにわたしが描いたイラストがあります。見えますでしょうか。
「ウェルビー入らせて!」と描いてます。
全女性サウナーが憧れてやまなかったウェルビー栄に、なんと女性サウナができました。女性が入れるのです!信じられない革命です。知った時は椅子から落ちそうになりました。サウナ情勢をよくわからない方、これは日本で初めての女性の総理大臣が誕生するのと同じくらいの社会ジェンダー革命です。
というわけで、新幹線に飛び乗って見せてもらいに、ただそれだけのために名古屋へ行ってきました。
女性のわたしが入り口にいるのが変な感覚さえありますが、堂々と入っていいんです。女性フロアは3階。「Forest House」。名前から想像が沸き立ちます。
浴室のドアを開けると目の前には大きな土壁のサウナ。切り株をイメージしているので「KIRIKABU」って名前です。
中も切り株の中に入っているような世界になっています。
奥には前室つきのサウナ。こちらはウィスキング用のサウナ室。ウィスキングがない時は普通に利用できます。セルフロウリュできます。
そして特筆すべきは水風呂です。
実は、ウェルビーは昔から男性専用施設だったこともあり、女性のためにということで「Sauna Lab」が誕生しました。Sauna Labは自然に還り、自分の心と体を元あったところに戻すための場所。このForest Houseも同じテーマだと思うんですが、Sauna Labには水風呂がないんです。ここにはあります!
水風呂も部屋になっています。
ドアを開けると……。
なんじゃこりゃー!暖かい蒸気ムンムンで写真がこんなのです。これはお湯?と思って入るとやっぱり水風呂。冬の露天風呂の反対バージョン!冷たい水に暖かい蒸気に包まれて入るという今までしたことのない体験に脳みそがバグります。
そして、あら?外にも水風呂?
入ってみると、これは。これは。温度計がないのですが、わたしの天然の体温計では10度切ってます。たぶん8か9度くらい。
シャワーもすごくおしゃれで清潔感あり。
ウェルビーは長い間おじさんたちに愛され続けてきた老舗おじさんサウナ施設なんですが、その中にいることを忘れちゃうデザインでした。
あともうひとつ。この女性サウナが誕生した経緯を少し説明します。ドイツなど海外では、アウフグースのショーが長い間おこなわれています。日本でもタオルやうちわで仰ぐ程度のアウフグースはされてきていましたが、本場は衣装からアロマから音楽からすべて込みで完全にパフォーマンス・エンターテイメントとなっているアウフグース。日本も2年前に、そんな海外のアウフグースができるようにとスカイスパYOKOHAMAに100人男女混合で入れるサウナシアターがオープンしました。ここで去年、アウフグース日本選手権がおこなわれ、勝者が世界大会へと行っているんです。
アウフグースが本格化してきたことで、ウェルビーの米田代表取締役がウェルビーにもサウナシアターを作りましょうということでできたのがこちら。

圧巻です。こんなサウナ室、今までの人生で見たことがないし、こんな大きなサウナストーブ、どうやって動いているの?と唖然としました。これを作ってしまうのが米田さんなんです。

男女が着衣で入ってアウフグースを受けられるので、「なら女性サウナも作んなきゃね」ということで女性サウナで、ウィスキングも受けられるForest Houseができあがりました。
アウフグースにウィスキング。サウナ文化がさらに進んでいく段階にきています。ちなみにウィスキング検定「ウィスキング for ビギナーズ」という資格も誕生しました。今年も日本のサウナ界、どうなっていくのか楽しみです。
そして「ウェルビー入らせて」のイラスト、もう入れるので消してもらえますかね?(笑)
『ウェルビー栄』
住所:愛知県名古屋市中区栄3-13-12 3F
電話:052-241-7126
営業時間:5時〜翌1時 ※最終退館翌2時。宿泊の場合は14時〜翌12時
料金:¥2,000〜(平日、2時間の場合)
https://www.wellbe.co.jp/sakae/

文筆家、イラストレーター
コロラド大学大学院東アジア言語文明学科卒。2009年から外務省専門調査員として在シアトル総領事館勤務。在米中に出版した『COFFEE GIVES ME SUPERPOWERS』がベストセラーとなり世界5ヵ国で翻訳出版されている。サウナ愛好家でもあり、フィンランド政府観光局サウナアンバサダーに任命されている。著書に『週末フィンランド』、『エンジョイ!クラフトビール』、『コーヒーがないと生きていけない!』、『HAVE A GOOD SAUNA!』がある。
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コロラド大学大学院東アジア言語文明学科卒。2009年から外務省専門調査員として在シアトル総領事館勤務。在米中に出版した『COFFEE GIVES ME SUPERPOWERS』がベストセラーとなり世界5ヵ国で翻訳出版されている。サウナ愛好家でもあり、フィンランド政府観光局サウナアンバサダーに任命されている。著書に『週末フィンランド』、『エンジョイ!クラフトビール』、『コーヒーがないと生きていけない!』、『HAVE A GOOD SAUNA!』がある。
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