「バイクが波にのまれて…」 ベテラン特撮カメラマンが語る、『仮面ライダー』撮影現場のハプニングとは?

  • 写真:齋藤誠一 
  • 文:幕田けいた

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特撮の現場を撮り続けているカメラマン、大島康嗣さん。50年以上もの間、最前線から現場を見てきた彼に、『仮面ライダー』の撮影秘話や、その魅力を聞いた。現在発売中のPen最新号『シン・仮面ライダー徹底研究』より抜粋して紹介する。

Pen最新号『シン・仮面ライダー徹底研究』では、映画『シン・仮面ライダー』の公開に合わせ、初期のテレビシリーズや石ノ森章太郎の功績を振り返りながら、庵野秀明監督をはじめとするクリエイターたちのこだわりや、仮面ライダーやサイクロン号などのデザイン、出演者たちの想いを徹底取材!

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特撮カメラマン
大島康嗣
1942年、埼玉県生まれ。64年に講談社写真部カメラマンとなり、『週刊少年マガジン』を中心に『週刊ぼくらマガジン』『テレビマガジン』掲載用のスチールを撮影。『丸出だめ夫』(66年)から『仮面ライダーゼロワン』(2019年)まで、50年以上にもわたり、特撮の現場を撮り続けている。

爆発する場所から20mくらいのすぐそばで、寝ころんで撮っていた

『仮面ライダー』放送当時、人気を後押ししたのが、少年漫画誌に掲載されたグラビア記事だ。講談社専属の大島康嗣さんは、撮影現場に張りつき、写真を撮り続けたカメラマンである。昨年末には自身の集大成となる写真集を刊行し、その帯には庵野秀明監督からもコメントが寄せられている。

「家が埼玉なので早朝から現場に通うのが大変でした。仮面ライダーのロケでは、東京の青梅渓谷の吊り橋もずいぶん行ったし、神奈川県の柿生には通称『お化けマンション』ってのがあって。これが手抜き工事でコンクリートが崩れていく。管理者からは床の厚いところを歩いてくださいなんて言われて、怖くて、怖くて(笑)」

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photo:Yasuji Oshima

写真作品の中には、有名な爆発シーンもある。

「石油を使うようになる前は、セメントの粉を飛ばしていたんですが、フィルムカメラは爆煙の先端の『セメントの目』がハッキリ写るんです。デジタルカメラではなかなか写らないんですが。撮影はタイミングが難しく、着火した時に火薬が一瞬赤くなるので、そこでシャッターを切っていました。企業秘密でしたけれどね(笑)。爆発する場所から20mくらいの位置に寝ころんで撮っていました」

撮影中には、思いがけないトラブルもたくさんあったという。

「海岸でのロケで、波をバックにバイクを撮っていたら、予想以上の波がきてバイクがのまれてね。エンジンの中に海水が入って壊れてしまった。それで生田撮影所の所長・内田有作さんに電話して謝罪したら、『同じ釜の飯を食っている仲間の、仕事の最中の話だ。俺は怒らないよ』って。やはり仕事は信頼関係が大事なんですね」

50年間、ロケを見続けてきた大島さんが考える『仮面ライダー』の魅力とはなんだろうか。

「本物を撮影する『実写』という点かな。空飛ぶ火の玉だって、針金にぼろきれ巻いて火を点けていた。ヘリやロープウェイからぶら下がったりしたのは、俺もビックリしたけれど(笑)。ああいう手づくりの本物感が面白かった」

庵野監督が手がける『シン・仮面ライダー』のロケ現場も見学した大島さん。そこで見たのは、あの日と同じ撮影風景だったと満足そうに微笑んでいた。

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photo:Yasuji Oshima

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『HERO 大島康嗣の仕事』講談社 2022年
大島が撮影したスチール写真1087点で、特撮史55年を振り返る、豪華写真集。