たった1週間でできる? お金が貯まる3つのステップ

  • 文:川畑明美
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口では「お金が大事」といっていてもお金が近寄ってこない人がいる。たとえば「病気になったら困る」と思っていて医療保険をかける人がいるが、病気になったらどのくらいお金が必要なのか計算していないことが実に多い。実際に計算をすると、医療保険の支払額より入院費用の方が安いケースもあるのだ。

または、貯金が4000万円ほどあるのに、老後が不安でしょうがないという人もいる。そういう場合は、お金の収支を把握できていれば、不安は安心に変わるのに、お金の管理は難しいと考えてしまうのか、収支の把握ができない人もいる。お金の流れである収支を把握していないのは、穴の開いたバケツに水を入れているようなものだ。バケツの穴はいくつあるのか? 穴の大きさはどのくらいなのか? それがわかっていないから、不安に感じるのだ。不安は知ることで解消されることが多い。

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お金の管理を1週間でできる3つのステップ

まずやって欲しいのは、1週間で購入したモノやサービスのレシートや記録を残すことだ。バケツの穴の大きさや数を把握するには購入したモノと金額を明確にするしかない。お金の記録を付けたら「消費」「浪費」「投資」の3つに資金を分けてみよう。明らかに「浪費」なのが分かればひとつ穴が塞がる。筆者も最初にレシートをまとめた時に、土日の朝食をコンビニで購入していたことに気付いた。コンビニ食から土日だけ夫が朝食を作るようになって、ひとつの穴が塞がった。

お金を貯めたいと思ってもお金の管理をしたことがない人が1ヶ月のお金を上手に管理するのはかなり大変だ。まずは1週間だけトライしてみよう。手順は、次の3つのステップだけだ。

1) 毎月の支出のうち必ず支払う家賃や住宅ローン、水道光熱費、電話料金、保険料などを書き出して合計しておく。銀行の通帳で自動引き落としになっている料金だ。


2) 毎月の手取り給料から1)の合計を引き、手取りの1割の貯金額を引いて、残りのお金を計算する。


3)残りの金額を5で割る。その額が1週間使って良い金額だ。


1ヶ月は、4週間プラス2~3日だが、たまにある5週目を入れて考えるのがミソだ。1週間で使って良い金額が計算できたら1日に使える予算を考えよう。

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手取り26万円の具体例


30代男性の平均月収といわれる33万円の場合で考えてみよう。健康保険や厚生年金などの社会保険料や、所得税、住民税などの税金を差し引くと手取りは約26万円になる。その場合の具体例は次の通り。


1) 毎月支払う家賃7万円、水道光熱費1万円、電話代を含めた通信費1万円ならば、残りは17万円。


2) 17万円から手取りの1割の2万6000円を引くと14万4000円。


3) 14万4000円を5で割ると2万8800円。これが1週間に使って良い金額。ひとり暮らしならば余裕だが、家族がいる場合は油断しているとオーバーするくらいの金額だ。

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時々ある5週目のご褒美が楽しみ

次に1日の予算の考え方を紹介しよう。毎日買い物をするタイプ、3日おき、1週間分買いだめするタイプでは考え方が違ってくる。1週間分買いだめするタイプの方は土日の週末に使う予算を大きく入れ平日はランチ代くらいの予算になる。毎日買い物するタイプの方は、均等に予算を振り分けて管理しよう。数日おきの方は、曜日を決めて使う曜日の予算を多くする。

そしてたまにある5週目の予算については、月をまたがっても気にせず1週間の予算を守って欲しい。そうすると1~2ヶ月に1回程度、5週目の予算がまるまる浮く月がでてくる。お金が足りないときは、その5週目の予算で調整をするか浮いたお金は、好きなことに使ってもいい。毎週、お金を管理したご褒美と考えてOKだ。予算を考える時に、手取りの1割を引いているのだから、時々ある5週目はご褒美としても問題はない。家計管理のコツは、予備費を作っておくことだ。遊びがないと息が詰まってしまうのと、予備のお金があることで心の余裕もできるからだ。

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キャッシュレス決済の管理方法

そして必ず1週間で管理したお金の「見直し」をして欲しい。まず1週間の予算内で生活できたかどうか使ったお金の合計額を計算して記録しよう。まず手帳かスマホのメモ機能に、1週間の予算を書き込もう。使ったお金は、費目で記録しておくと尚良い。

最近はキャッシュレス決済が進んでいる。使う費目で支払いの手段を分けておくと管理がしやすい。たとえば、スーパーやコンビニの支払いは電子マネーと決める。1週間後に、履歴をチェックしたら食費や日用品の支出はすぐにわかる。

また、1週間で使う金額をチャージしておき残高を見ながら、その範囲内で使うことで予算内でヤリクリすることも可能になる。外食や衣類や靴、バッグなどはクレジットカードの支払いと決めておくとその履歴を見れば確認できるようになる。1週間経過したら、電子マネーとクレジットカードの履歴を必ずチェックしよう。現金の場合は、レシートを保存しておく。そして、お金の使い方を確認すること。

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「消費」「投資」「浪費」のどれに当てはまる?

お金の使い方を確認するときは、「消費」「投資」「浪費」で考えてみよう。「消費」とは、使わないと生活できない支出。「投資」は、将来にお金を増やすための支出。投資と浪費の線引きが少し難しいかもしれない。投資だと思って始めた勉強も中途半端で終わってしまっては浪費になってしまう。「浪費」とは必要以上の贅沢やムダな支出のこと。衝動買いをして一度も使わなかったモノや自分にメリットのない飲み会などの支出になる。

最後に予算額から使った支出の合計を計算する。予算内ならば、ある程度の浪費はあっても大丈夫だ。予算をオーバーしていたら、投資と思っていたものが浪費だったのではないか疑ってみて欲しい。そして1ヶ月経過したら、5週分の合計を記録してしよう。ざっくり1ヶ月で使った金額の合計がわかる。

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1週間でお金に貯まる家計に変わる

支出の記録は、ご自身でつけなくても割と残っている。たとえば銀行口座から引き落としになっている水道光熱費や通信費、ATMから引き出した現金などだ。クレジットカードで使ったお金は、明細書で内容や金額を確認できる。電子マネーもチャージした金額や買い物したお店や金額が履歴を見ることで確認できる。お金の管理とは、そういう買い物の履歴を見て振り返ることだ。

お金の使い道を振り返ることは、ダイエットでカロリーの高い食品を食べていないのかチェックするのと同じことだ。高カロリーの食事を少なくすることで痩せていくのと同様にお金の使い方を振り返らないとお金の管理とは言えない。「いつ、どんなことにお金を使ったのか」を振り返ることこそが重要なのだ。

たとえば土曜日に友人とお茶をしたカフェ代を振り返って、「土曜日は、おしゃべりして楽しかったなぁ」と思えるのならば、価値あるお金の使い方だ。しかし、なんとなく時間潰しのために利用したのならば見直す可能性もあるのだ。1週間に使ったお金を振り返ることで、お金が貯まる家計に変わるのだ。

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【執筆者】
川畑明美●ファイナンシャルプランナー 「私立中学に行きたいと」子どもに言われてから、お金に向き合い赤字家計からたった6年で2000万円を貯蓄した経験をもとに家計管理と資産運用を教えている。HP:https://www.akemikawabata.com/