映画『ブレット・トレイン』でブラッド・ピットが狙った、トゥミのブリーフケース

  • 文:小暮昌弘(LOST & FOUND)
  • 写真:宇田川 淳
  • スタイリング:井藤成一

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短期の旅行に最適な「19 Degree Aluminumインターナショナル・キャリーオン」。外装には自然界から着想を得た19度の角度をもったアルミニウム素材を採用。TSAロック対応のクリップ式の開閉システムを備え、トップのハンドルはダメージを軽減するためにケース面に平行に収まるように設計されている。ハンドルには航空機規格のアルミニウム素材を用いた伸縮式のX-Brace45ハンドル・システムを採用する。容量31リットル。重量5.144kg。H56×W35.5×D23cm。¥176,000/トゥミ

「大人の名品図鑑」ブラッド・ピット編 #2

80年代末にデビューし、以来第一線で活躍し続ける映画俳優ブラッド・ピット。美しい顔立ち、大人の色気を感じさせるその演技は“最後のハリウッドスター”と称され、プライベートで身に着けるアイテムは日本のメディアでも話題になるほど、ファッションにも敏感だ。今回は、そんな彼が数々の作品の中で披露した名品にフォーカスを当てる。

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2022年に映画史上初、日本の新幹線を使ってレッドカーペットを行い大きな話題となった映画『ブレット・トレイン』。監督のデヴィッド・リーチ、エルダー役の真田広之らとともに主人公を演じたブラッド・ピットが特別装飾された新幹線に乗り込み、この稀有なイベントを楽しんでいる写真が現在でも多くのサイトで公開されている。

レッドカーペットが新幹線で行われたのには理由がある。この映画の原作は伊坂幸太郎が2010年に発表した累計300万部を突破したベストセラー小説『マリアビートル』。この作品の舞台になったのが新幹線だからだ。『マリアビートル』は、伊坂の代表作である小説『グラスホッパー』『AX アックス』に連なる、殺し屋たちの狂想曲とも言える作品で、今回題材にする『ブレット・トレイン』はこれを映画化したもの。

ブラッド・ピットが演じた主人公は、殺し屋のレディバグ。久しぶりに仕事に復帰したレディバグは謎の女性マリアから指示を受け、東京から京都に向かう超高速電鉄「ゆかり」に乗車し、大金が入ったブリーフケースを回収=盗み、品川駅で降りるという簡単な仕事のはずだった。「この仕事には良い運気を感じる」と意気揚々とレディバグは列車に飛び乗るが、レモン(ブライアン・タイリー・ヘンリー)やタンジェリン(アーロン・テイラー=ジョンソン)と名乗る殺し屋など、この列車には超が付くくらいのクセの強い面々が乗り合わせ、レディバグの命が狙われることになるというのが基本的なストーリーだ。

紹介したメンバー以外にもサンドラ・ブロック、マシ・オカ、チャニング・テイタム、ライアン・レイノルズなどの豪華メンバーがカメオ出演的に続々と登場し、一瞬でも見逃すことのできない場面が連続する。日本を舞台にした映画だが、コロナ禍もあって撮影はすべてアメリカで行われたと聞く。日本人、特に鉄道ファンからはツッコミどころがある作品だが、「監督も俳優陣も日本っぽいもので徹底して遊んだ」、そんな作品と解釈しても良いではないだろうか。

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ブラッド・ピットが演じたレディバグのスタイル

ブラッド・ピットが演じたレディバグはとにかく運の悪い殺し屋。暴力とは無縁の人間になる決意を胸にセラピーまで通うが、次々と事件に巻き込まれてしまう。GQ誌のWEB版によれば、本作品の衣装を担当したセーラ・エヴリンがそんなレディバグのために用意したのは、ワークウェアのセットアップに黒縁メガネというスタイル。同サイトには彼女が「小説を読み、“レトロフューチャーな日本”で人々が着るであろう服を想像した」と語る。レディバグはずっと生成りのバケットハットを被っているが、実はこれはブラッド・ピット自身の提案だったとも書かれている。

「バケットハットを被るのはどうだろう? 現役から引退して、桟橋で釣りをしているようなキャラクターを演出したいんだ」とピットの発言が明記されている。なるほど、作品での彼は日本を旅するごくごく普通の外国人のように、日本の人々にも風景にも馴染んで見える。しかし考えてみれば、殺し屋とはそういう悪目立ちしないスタイルが求められる職業だ。ちなみにこの帽子を含めてレディバグが着ていた服の多くはカスタム、つまり特別に仕立てたものと書かれている。

劇中で重要な役割を果たしているレディバグが狙ったシルバーのブリーフケースもこの映画のために製作されたものだ。しかも製作したのはアメリカの有名なバッグブランドのトゥミ。日本のビジネスマンからも圧倒的な支持を受けているブランドで、列車や電車に乗って見かけない日はないほどの高い人気を誇る。トゥミの創業は1975年。ブランド名は南米の青年平和部隊が主催するボランティア活動に参加した創業者のチャーリー・クリフォードがペルーの神「トゥミ」にちなんで名付けたと言われている。

80年代に黒のバリスティックナイロンを素材に採用した機能的なトラベルバッグを発売し、一躍人気ブランドへと上り詰めた。映画に登場したブリーフケースは、自然界の流動的な要素から着想を得たという19度の斜角をもたせた外装に特徴がある「19 Degree Aluminium」コレクションからの特注品。特別に誂えたブリーフケースは、昨年の映画公開に合わせて、世界限定150個で抽選販売されたが、すでに売り切れたしまったと聞く。

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トゥミの最高峰「19 Degree」コレクション

ブラッド・ピットが狙ったアルミのブリーフをいまから手に入れることは至難の業だが、トゥミの「19 Degree」コレクションではトラベルラゲージが用意されている。

「19 Degree」コレクションが発表されたのは2016年で、同ブランドのトラベルギアの最高峰に位置するプレミアムコレクション。その中で今回取り上げるのがその代表作とも言える「19 Degree Aluminium インターナショナル・キャリーオン」と呼ばれるモデルだ。短期や一泊程度の旅行に最適なサイズで、国内旅行を含めてさまざまな旅や出張に使える。19度の角度をもった特殊なタイプのアルミニウムの外装はレディバッグをはじめ、殺し屋たちが狙ったブリーフケースとイメージが重なる。もちろん堅牢さなどの機能性が特徴のトゥミらしく、強度あるフレームデザインと整然とした収納が可能になる内装など、多彩な特徴をもつ。これまでのバリスティックナイロンを採用した定番ラゲージとは違ったラグジュアリーな雰囲気のトラベルスタイルが味わえる逸品で、トゥミファンにもとても新鮮に見えるはずだ。

シルバーに輝くこのトラベルラゲージを持って新幹線に乗り込んだら、ブラット・ピットが演じた殺し屋、レディバグの気分になれることは確実だ。

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堅牢なアルミニウム素材を採用。19度の角度をもった外装がゴージャスで、エルゴノミックな雰囲気を漂わせる。

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安心な旅に欠かせないはTSAロック。このロックが装備されたクリップ式開閉システムを2箇所に装備している。

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ハンドルのグリップにはレザーがあしらわれ、高級感が感じられる。ハンドルは3段階で高さの調節が可能。

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ビジネスピープルのユーザーが多いトゥミらしく、内部は旅のグッズなどが機能的に配置できるように設計されている。

 

問い合わせ先/トゥミ・カスタマーセンター TEL:0120-006-267

https://www.tumi.co.jp/

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