「ただ頑張るだけではだめ」お金持ちに共通する習慣3選

  • 文:川畑明美
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頑張って稼いだあなたのお金だから、自分の譲れない価値観にお金を投じることが大事だ。つまり、何にお金を使ったら幸せなのか。ご自身の価値観をよく考えることだ。「あの時、無駄使いをしなければ」「もっと前から、お金を貯めておけば老後資金がもっと貯まったのに」なんて、後で後悔しても間に合わない。お金とちゃんと向き合わない限り、お金持ちになるのは無理なのだ。


しかも「ただ頑張るだけでは、お金持ちになれない」ようになっている。給料のことを考えてみて欲しい。通常、給料というのは世間の相場に応じて支払われるものだ。昨年は物価が随分上がった。それを受けてユニクロを経営するファーストリテイリングが最高で40%という年収の引き上げを発表した。また、経団連の十倉雅和会長は記者会見で、記録的な物価高を踏まえ、今年の春闘では、加盟企業がベースアップを中心とした賃金引き上げに取り組むことが望ましい、という考えを強調している。


つまり、物価が上がったから給料も上がったということに過ぎない。サラリーマンの給料とは「普通の生活ができる程度にもらえる」ということなのだ。逆に言うと「普通の生活に使ったら、ほとんど何も残らない」ということだ。

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お金に真摯に向き合うこと

普通の生活に使ったらほとんど残らない給料なのだから、真剣にお金の使い方を考えることが重要だ。多くのお金が貯まらない人は、お金を減らしてしまう「残念なお金の習慣」で行動している。残念なお金の習慣とは、収入が増えると何も考えずに支出を増やしてしまうことだ。収入が増えたら貯金しようと思っていても、増えたら増えた分だけ使ってしまう。さらにそれが「頑張った自分へのご褒美」と思ってしまうのだ。そして、それが人生の成功だと思ってしまっている。


たとえば、あなたが旅行に行ったとする。お金があれば、高級ホテルに泊まることもできるし安いところに泊まってもいい。ところがお金がなければ、安いところに泊まるしか選択肢がなくなる。収入が増えお金があるので、高級ホテルを選ぶ。それ自体は、悪くないことだが、「なぜ高級ホテルに泊まりたいのか?」という、あなたの価値観を明確にするということが大事なのだ。アクティビティによりお金をかけたいのならば、安いホテルでも十分だ。お金があるから高いものを選ぶという、残念なお金の習慣に気付いて欲しい。

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お金持ちに共通する習慣その1
貯蓄の目標を立てている

残念なお金の習慣ではなく、裕福な人に共通するお金の習慣を身に付けよう。それは「貯蓄の目標」を立てることだ。何年後にいくら貯めるのかという目標があれば、毎月いくら貯蓄すべきなのかが分かる。また、目標があることでモチベーションも上がる。


人生の3大費用である住宅費、教育費、老後の生活費の金額を試算してみよう。住宅費は、手取り収入の25%以下を目安にすると、購入可能なマイホームの金額が試算できる。そして住宅ローンを活用して、購入するとしても住宅価格の2割は頭金として準備したい。


次に教育費だ。子どもがどんな進路を進むのかで目標額は違ってくるが、大学費用として私立文系の大学の予算である700万円を目標にすると良い。中学校から私立と考えるのならば、その倍の1400万円を予算としよう。

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お金持ちに共通する習慣その2
老後費用をきちんと考えている

最後に老後費用を考えよう。2000万円とか3000万円とかネットを探すといろいろな金額を散見する。20〜30歳代ならば2000万円を目標にiDeCoを活用しよう。30年間、iDeCoでインデックス運用で2万3000円を毎月積立できれば、2000万円に増える可能性は高い。


40〜50歳代になったら、その時点での生活費を考えて老後資金の調整をして欲しい。2000万円というのは、老後の生活費の不足額だ。そしてこの2000万円というのは現在の年金受給者の生活費の不足額だから、時代とともに変化する可能性がある。


また、生活費以外にも介護費用が必要だったり、受給できる年金額によっても金額は変わってくる。介護費用は、程度により幅があるが1人800万円を予算としておくといいだろう。そして実際の年金の受給額を調べて、今の生活費との差額を計算して欲しい。2000万円で足りない場合は、40歳代、50歳代から調整が必要になる。人生の3大費用を試算したら、毎月いくら貯蓄したらいいのかが見えてくる。お金の目標を立てるのが、お金の良い習慣の第一歩だ。さらにお金の目標ができたら、資産表にも目標額を記載しておくといい。モチベーションが上がるからだ。

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お金持ちに共通する習慣その3
寝ている間にお金を増やしている

そして「まじめに働く」だけでは、お金持ちにはなれない。なぜなら、お金持ちになる人は「寝てる間にお金を働かせて」いるのに、お金持ちになれない人は、「お金のために働かされて」いるからだ。つまり、今月働かないと来月生活できないという人は、お金のために働いているといえる。


お金持ちになる人は、投資したお金が働いてくれるので「寝ている間」にも収入が入るのだ。つまり「不労所得」があるということ。もちろん働かなくても生活できるほどの不労所得を得るには、それ相応の「投資額」が必要だ。ちなみに筆者が6年で2000万円を貯めたのは、投資信託の積立を続けたからだ。リーマンショック後の不景気の時にコツコツ積立していたので景気が回復した時は、ビックリするくらいお金が増えた。その増えたお金の一部を頭金にして投資用のアパートを購入したことで毎月不労所得が入るようになった。

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NISA枠を超えるほど投資額が?

投資信託協会が公表した「2022年投資信託に関するアンケート調査報告書」を見ていて、少し驚いたことがあった。投資信託の保有口座は「特定口座もしくは一般口座などの課税口座」が最も多かったのだ。63.5%が課税口座で保有をしているのだ。なぜ非課税のNISA口座を使わないのか資料をよく見てみると、現在保有している投資信託の平均保有額は403.4万円だった。さらに1000万円以上保有している方が大きく増加していた。


資料には1年間で購入した金額ではないが、120万円のNISA枠では収まり切れないほど投資信託を購入している方が多いということのようだ。お金持ちほど「資産運用」しているということだろう。ここで少し気になるのが、岸田総理の総裁選でのことだ。総裁選では「金融所得課税」の増税を声高に話していた。金融所得課税を増税すると発言してから株価が下がったので筆者はよく覚えている。

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新NISA1800万円の上限を超えるのは…

「金融所得課税」について少し解説しておこう。日本の所得税は、所得が増えるに従って税率が増加していく。ところが金融所得については、復興増税を除けば「所得税15%+住民税5%」の合計20%の税率で固定されている。高額の金融所得があっても20%の税率で済んでしまうのだ。例えば株式会社の創業社長は、大株主に名を連ねているが配当金を出して、多額の配当金を取得したとしても税率は20%なのだ。これを金持ち優遇としているのだ。創業社長が大株主になるのは、敵対的M&Aを避ける意味もあるので、例としては一般的ではないかもしれないが、所得が1億円を超える方は、株式などの金融資産にしていた方が税率が下がる。


話を戻して岸田総理の総裁選では金融所得課税に前向きの発言をしていたが、総裁選に勝利すると株価が暴落したのだ。それを受けて、金融所得課税の強化が昨年の税制改正大綱には入らなかったのだと思う。ただ、筆者が少し懸念しているのはNISAの非課税枠の上限が1800万円に上がるという点だ。「この1800万円という金額を超えて金融資産を保有している場合に増税する」なんてことになる可能性だ。筆者の懸念で終われば良いのだが、来年から投資するならNISA口座を積極的に使うことをお勧めする。

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【執筆者】
川畑明美●ファイナンシャルプランナー 「私立中学に行きたいと」子どもに言われてから、お金に向き合い赤字家計からたった6年で2000万円を貯蓄した経験をもとに家計管理と資産運用を教えている。HP:https://www.akemikawabata.com/