お金に縁がない人というと「清貧」をイメージする方もいる。「清貧」とは、デジタル大辞泉を見てみると「私欲を捨てて行いが正しいために、貧しく生活が質素であること」と解説されている。「清貧」と混同しがちなのは「貧乏」だ。だが「清貧」と「貧乏」の意味は、まったく違う。「貧乏」とは、お金がなく貧しい暮らしをせざるを得ないこと。ところが「清貧」は、お金があるにも関わらず「物質的に豊かな暮らし」をあえて求めないということなのだ。所有するお金やモノが増えると、それらに人生を支配されてしまい精神的な豊かさがが奪われてしまうという考え方だ。
実際に、お金に縁のないご家庭ほどモノに溢れて生活している。友人のお片付けの先生が言うには、戸棚を整理するために、中身をすべて出してみると同じ洗剤が2個も3個もでてくるのだという。整理整頓されていないから、以前購入した洗剤が見つからずにまた購入してしまうのだ。同じものを何回も購入してしまうのだからお金も貯まらないし、部屋もモノで溢れてしまう。
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「金持ちは汚い」という人ほどお金が好き
お金に縁のない方は「清貧」とは、真逆の生活をしている。「清貧」の意味をはき違えているのだろう。節制をせずに、「お金への興味を抑えて貧乏に甘んじている」と、誤ってイメージしているのだと感じる。
なぜなら、「金持ちはケチだ。金持ちは汚い。きっと汚いやり方で儲けてる」と、口にする人ほど、本当は誰よりもお金が好きなのだ。さらに言うと「楽して儲けたい」一攫千金の話に食らいつく方が多い。「清貧」とはかけ離れた方ほど自分こそが清貧だと思っているのだ。モノで溢れている生活をしている方は、「清貧」とは言えない。逆にお金の亡者なのだ。
実際、筆者が赤字生活をしていた頃は、醤油がなくなって買い足したことを忘れて買って帰ったら、家にあった……。なんてことが、よくあった。生協で買い物するようになって在庫を確認してから注文するので、このような無駄使いはなくなった。
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お金が貯まる人の共通点
逆にお金が貯まる人達には共通点がある。「整理整頓」が得意だということだ。そもそも家計管理も整理整頓なのだ。毎月必ず引かれる固定費と、食費などの毎月変動する変動費の予算の振り分けをするのもお金の整理整頓だ。給料よりも使ってしまえば赤字家計になってしまうし、給料を使い過ぎないように整理整頓できればお金は貯まる。口座引き落としや現金、キャッシュレス決済などを上手に使い分け、お給料の範囲内で生活が回るような仕組みを作ることが大事なのだ。
お金の整理整頓ができている人は支出に対する優先順位をつけることができるのでムダな買い物が少ない傾向にある。一方、お金に縁がなく貧乏に甘んじている方の家計は、お金の整理整頓ができていない。そしてお宅に伺うとモノが溢れているケースも多いのだ。
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整理整頓できる人は時間も効率的
お金の整理整頓ができる方は、お部屋も片付いている。整理整頓の「整理」とは、いるものといらないものを分け、いらないものを捨てること。「整頓」とは、次に使う際に出しやすくすること。この両方ができているということが整理整頓だ。見た目がきれいに整っていても、必要な時にすぐに使えないのであればそれは整理整頓とはいえない。モノを綺麗に詰め込んだとしてもすぐに取り出せないのでは、そこにムダ使いされたモノが貯まっている状態だ。
パッと必要なモノがすぐに見つからないと探す時間のロスとなってしまう。結局見つからなくて、新しく購入してしまったら「浪費」になってしまうのだ。つまり、お金の貯まる人は、モノを探す時間が少ない人でもある。以前の編集部にいた筆者の同僚で、撮影用に借りた商品をいつも探している人がいた。2時間も3時間も探していて、その探している時間がなければ残業しなくて済むのにと、いつも横目で見ていた。
整理整頓ができていることで時間とお金を効率よく使えるのだ。特に今後はキャッシュレス決済も増えてきているので、お金の整理整頓ができていないといくら使っているのかがわからずついつい使い過ぎてしまうことになる。お金が貯まる人に共通するのは、お金も整理整頓できているのだ。
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週に一度、冷蔵庫を空っぽに
お金を貯めるために「節約」は大事だ。節約とは、ムダを省いて切り詰めること。なので節約というと「切り詰める」方に注目してしまう方も多いのだが、大事なのは「ムダを省く」ことも意識すること。ムダを省くとは、「使い切る」ことだ。
特に食費を抑えたいと思うのなら買うのを我慢するのではなく「使い切る」ことを意識してみよう。賞味期限切れの食品を捨てるということは、お金を捨てるのと同じ事だと意識して欲しい。まずは、1週間に1度で良いので冷蔵庫の整理をしてみよう。特に調味料などは、賞味期限を確認してみよう。そして、冷蔵庫が空っぽになる日をつくるといい。何も買い物をしない日をつくるということだ。
節約が苦手な人ほど、整理整頓も苦手なケースが多い。冷蔵庫が片付いていると、どこに何があるのかすぐわかるので、冷蔵庫のドアを開けて探すことも少なくなり、電気代の節約にもなるのだ。
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食品ストックは月に一度整理する
前述のように冷蔵庫は、1週間に1日空っぽにする日を作ること。そして食品をストックしている収納庫は1ヶ月に1回は整理しよう。筆者は、災害時のために缶詰や麺類などを備蓄している。袋ラーメンやパスタなどは安い時に、多めに買い置きしておく。毎月、賞味期限を確認して使い、使った分は、また安値の時に買い足しておくのだ。飲料水やすぐに食べられるお菓子の缶は1年に1度、物置を整理して賞味期限を確認している。
食品ストックの1ヶ月に1回の整理を推奨するのにも理由がある。月末の数日は、買い物をしないで冷蔵庫やストックしてある食品を使うようにしている。食品を買わないで済むならば、その方が節約になる。食品ロスの半分に近い45%が家庭ごみといわれている。フードロスも防げるので環境にも優しい節約方法だ。
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お金に縁がない人の思考とは?
お金の縁がない人ほど、お金を減らさないつもりで行動していても、結果的には損をしてしまうことがある。たとえば「30%OFFは、本日限り」なんて表示があると、今日買わないと「損」してしまうと考えてしまい結果的には、不要なモノを買ってしまったりしてしまうのだ。
お金持ちは、お金を使わなかった人ではない。お金持ちは、お金を使うことで、お金を増やしている。つまり「投資」をしているということ。自分に投資をして勉強してスキルアップすれば収入を増やすことができる。または、人のためにお金を使うことで協力者を増やすこともできる。
お金持ちは、一度事業で失敗してしまっても、再度事業を立ち上げ再びお金持ちになることも多い。米国の前大統領のトランプ氏もそのひとりだ。お金持ちは、たとえお金がなくなっても自分の力でまた1からお金を作ることができるのだ。
【執筆者】
川畑明美●ファイナンシャルプランナー 「私立中学に行きたいと」子どもに言われてから、お金に向き合い赤字家計からたった6年で2000万円を貯蓄した経験をもとに家計管理と資産運用を教えている。HP:https://www.akemikawabata.com/