“あのチェック柄”が大地に出現

  • 文:美矢川ゆき
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@Burberry - YouTube 

1856年創業のイギリスのファッションブランド「バーバリー」は、カナリア諸島と南アフリカで2つのインスタレーションを発表した。これらのインスタレーションは、上空から見るとブランドのシンボルであるバーバリーチェックが大地に広がっているように見える。材料は、天然素材を使用。環境に負荷がかからない配慮がなされているそうだ。

 

Dezeenによると、バーバリーは作品を通して「サステイナブルな実践をこれからも追求し続け、真剣に関わっていくこと。また、天然素材を用いて世界の景観にオリジナルの手法を付け加えることにより、“創造性が空間を開く”というバーバリーの信念を体現しています」と述べているそうだ。

 

バーバリーは自身のブランドの指針として「Creativity Opens Spaces(創造性は空間を開く)」を上げている。「これは、創造性によって限界を押し広げ、新たな可能性を追求することができるという信念を表しています」と、バーバリーのホームページ上にも明記している。

 

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天然素材の絵の具でカナリア諸島に描く

カナリア諸島で制作したのは、キューバ系アメリカ人アーティスト、ホルヘ・ロドリゲス・ゲラダ氏だ。制作にはミルクを基礎とした絵具を使用。大西洋アフリカ沖に浮かぶカナリア諸島のエル・ヒエロ島に、4500平方メートルに渡るバーバリーチェックを描き出した。空から見ると、ベージュ、赤、黒、白のバーバリー独特のチェック柄が、火山地帯の起伏のある風景に広がる。

 

バーバリーは、創業者トーマス・バーバリーの義理の娘である冒険家エルシー・バーバリーにちなんで、エル・ヒエロ島を選出。彼女は20世紀初頭にカナリア諸島を訪れ、この地の風景と親交を深めている。

ロドリゲス・ゲラダ氏はDezeenに、「この制作で楽しかったことのひとつは、絵の具の制作です。絵の具は鉱物から作られていて、色を混ぜている時は、まるで錬金術師の気分でした 」と語った。この作品は、昨年11月に制作。痕跡を残さないように、風や地元の水源を使用して1週間ほどで撤去されたそうだ。エル・ヒエロ島は、世界で初めて風力を主要エネルギー源とする自給自足の島であるということだ。

 

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南アフリカの草原で、草花を使ってチェックを表現

 

2つ目のインスタレーションが設置されたのは、南アフリカの立法首都ケープタウンの東に位置するオーバーバーグ地域の草原だ。この地は、1937年にロンドンからケープタウンまでバーバリーの飛行機を共同操縦し、オーバーバーグの草原近くに着陸させた飛行家の故ベティ・カービー=グリーンとアーサー・クラウストンにちなんで選ばれたそうだ。

 

昨年12月初旬、バーバリーは地元の植物専門家に依頼。専門家は、草原に花を手植えで植えつける方法で、草原に1,064平方メートルのバーバリーチェックを描写した。バーバリーチェックの色の表現には、アフリカ原産のヒナギクと蜂蜜の香りがするヘリクリサム・ペティオラレを選出。雨水貯留ダムから供給された水が植物を育て、設置中のバーバリーチェックには、鳥や昆虫を寄せ付けた。その後植物は分解され、堆肥となって土に還ったらしい。

 

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バーバリーが提唱するランドアート

この2つの制作プロジェクトは、クリエイターとブランドがコラボしてランドアートを制作する「バーバリー・ランドスケープ」シリーズの企画だ。ランドアートとは、砂漠や草原などに、天然素材を用いて作品を作り出す美術ジャンルである。バーバリーは過去にも、ドバイの砂漠などに作品をコラボ制作している。

 

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